2015年12月26日

柳井紙工(株)(蔵本栄治社長、山口県熊毛郡平生町)は、1920年に創業。北海道から九州まで全国8営業所を設け、地域に根ざした営業を展開している菓子パッケージ製造会社である。2001年から予防保全活動を導入し、多能工化や新台増設により仕事の幅を拡大。またクレーム件数の大幅削減の実現など、成果を上げている。
 
今年7月決算の年間売上額は49・6億円。従業員は168人で王子紙器グループ8社の中核をなす。顧客の要望に応じた別注パッケージばかりか、クリスマスやバレンタインなど季節イベントの同社オリジナル既製品も販売している。

 

◆多能工化で製造部の組織再編

 

リスロンG40を操作する吉中係長代理(右)と田房機長

リスロンG40を操作する吉中係長代理(右)と田房機長

同社は予防保全活動の先駆者といえるが、4年前に原紙倉庫・製版室などの新工場を増設し、2年前には製造部の多能工化と組織再編を推進してきた。そして今年5月にUV対応のリスロンG40(菊全判6色機、コーター、ダブルデリバリー、インターデッキ付)を増設し、印刷機3台体制とした。
 
重本典雄製造部長代理は言う。
「製造部では印刷係は以前から1人2役・1人3役の多能工化を進めていたが、2年前に打抜係と製函係を統合して加工係にし、双方の人事交流を図った。さらに昨年からは加工係と印刷係の人事交流にも踏み出した。これにより、印刷係は増員なしで新台を含む3台の増設体制での稼働ができた」と語る。
 
中村賢治印刷係長は多能工化について、「多能工化で能力の幅が広がっており、責任感も強くなってきたから、3台体制でも『やろう!』と前向きな気持ちになっている。機械トラブルやメンテナンスについても、みんなが強くなっている」と語る。
 
「新台のリスロンG40をみんなで使えるように取り組んでいる。2人休んでも機械が止まってしまうことがない多能工化は本当にいい」とは吉中英雄印刷係長代理。

 

◆クレームによる金額が大幅削減

 

表1 製品クレーム件数・金額比較表表1の「製品クレーム件数・金額比較表」は、顧客から返ってきた製品クレームの比較。

 

印刷は、前年比で件数は68%で、金額はわずか9%。つまり91%減であるが、これはクレームによる金額がひと桁違うところまで減ったという驚くべき削減である。後工程でも、件数は154%であるが、金額は81%で19%減である。そして製造部門全体でも、件数で139%であるが、金額は72%で28%減となっている。

 

これは主要因である印刷の大幅削減だけでなく、製造部門全体で大きなクレームがなくなり、細かなクレームに変化したことによる。生産体制全般の安定化が進んだがゆえの成果といえる。今後はより細かなミスを1つひとつつぶしていくことが課題になってきた。

 

「3年前から『不良品を社外に出すな』という品質基本方針を打ち出した。これ位いいだろうという意識から、品質にプライドを持つ意識への転換を図った。今は『印刷係の品質クレームはない!』と言ってもいいと思っている」(重本部長代理)

 

リスロン44(四六全判4色機、コーター、IR付)の機長でもある下田大樹印刷係長代理も、「品質は確実によくなっている。いいものを作ろうと意識が上がっている」と自信を深める。

 

◆「加工が間に合わない」

 

印刷係のスタッフ

印刷係のスタッフ

印刷係は印刷だけ行っているわけではない。IR・UV対応のリスロン40(菊全判5色機、コーター、ダブルデリバリー)の西田芳雄機長は、「今までは断裁は他部門だったが、2年前から印刷係が兼務するようになった。今は自分で断裁もできるから、工程変更や紙待ちなどの時に、『この後どうしよう?』という待ちがなくなって、『これをやろう!』とみんなで役割分担する。ロスがなくなった」と効果を強調。
 
重本部長代理は製造部の生産能力について、「印刷機3台になって、品質や納期に合わせた機械のすみ分けができてきたので、印刷係全体としてより効率的な工程管理ができるようになった。印刷の生産能力がアップしたので、『加工が間に合わない』という嬉しい悲鳴も出ている。今後は加工の生産能力アップが課題」という。

 

◆「顧客の役に立ちたい」

 

河井浩取締役製造部長は、「小ロット・品質アップ・短納期という顧客の要望に対して、インターデッキ付の6色機という夢のある新しいリスロG40を使って、商品開発部の能力を発揮して新製品を開発していく。疑似エンボスなどを使ったデザインと販売ノウハウを一体化した高付加価値商品を顧客に積極的に提案していく」と今後を見据える。
 
また蔵本社長は、「菓子のパッケージは主役ではない。主役は菓子でありお菓子業界。女性の服が女性をより魅力的に見せるように、パッケージで菓子業界が発展していけるよう、役に立ちたい。だから、菓子以外のパッケージ、包装紙や紙袋、トレイ・リボンばかりか販売のノウハウまですべてを提供している。『柳井紙工がなくなったら当社が困る』と顧客に言われるようにならないといけない」と語る。
 
そして今後の経営戦略については、「菓子に特化して成功してきたが、今後はさらに周辺に事業を拡大していきたい」と決意を述べる。
 

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