2015年12月28日

2015年も残すところあとわずか。印刷各社は不透明な経営環境に加え、用紙はじめ資材の値上がりによって、厳しい環境下に置かれている。情報産業としての位置づけを確かなものとするため業態変革に取り組んだ会社も少なくない。業界では新たな転機とも言える団体の周年行事やトップ交代があった。「IGAS」では、経営のヒントとなるソリューションやビジネスモデルが提示された。栗田出版販売の経営破綻という印刷・出版界に衝撃を及ぼした出来事も記憶に新しい。今年の話題を追った。(順不同)

グランドデザイン元年スタート

日本印刷産業連合会は、発足30年を迎えるのにあたり、「業界の発展と国民生活および文化の向上に寄与」という設立目的の達成に向けた新たなグランドデザインの策定を進め、「ミッション・ステートメント(事業指針)」を制定。事業・組織の再編成と今後の活動を再構築し、印刷産業の社会的責任を遂行するため活動していくことを確認した。
平成27年度を「グランドデザイン元年」と位置付けた。

印刷関係団体が周年行事を開く

中小企業等協同組合法が一部改正された昭和30年に誕生した組合団体が、今年で発足60周年を迎え、各地で例年以上に多くの周年行事が開催された。
全日本印刷工業組合連合会、日本グラフィックサービス工業会、東京都光沢化工紙協同組合などが今年60周年を迎えて盛大に記念行事を行った。全印工連は10月16日にパレスホテル東京で記念行事を開催し900人が参加した。
日印産連は9月の印刷に合わせて9月16日に、ホテルニューオータニで設立30周年記念式典「2015年印刷文化典」を開き700人が参加した。
日本フォーム印刷工業連合会が来年1月創立50周年記念事業、全日本製本工業組合連合会が来年9月24日に創立60周年記念全国大会(東京大会)を計画している。

盛況のIGAS次回は3年後に

出展345者・2688小間の規模で9月に開催されたIGAS2015。「Print+innovationプリントテクノロジーのさらなる挑戦!」のテーマのもと、展示、実演、セミナーを通して新製品、新技術が紹介された。今回は当初予想を上回る延べ5万6533人が入場したが、海外の人たちの姿も目立った。次回は2018年の開催となる。これはdrupaの開催周期が2016年以降、従来の4年から3年に変わるのに伴うもの。

女性労働力活用支援に力が入る

女性活躍推進法が制定され、平成28年4月1日から、労働者301人以上の大企業は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが義務づけられることから、日印産連が女性活躍推進部会、印刷工業会が女性活躍推進部会、全印工連が女性活躍推進室を設置して印刷業界の女性労働力の活用を支援する取り組みが積極的に行われた。印刷工業会は今年度「女性の意識改革」「ワーク・ライフ・バランス」「マネジメント(コミュニケーション促進)」の3分科会を立ち上げ水平展開を図っている。

業界に影響あるかマイナンバー

平成27年10月から住民票を有するすべての人を対象として、一人ひとりに12桁のマイナンバー(個人番号)が通知された。平成28年1月からは社会保障・税など、各行政手続きでマイナンバーの併記および、企業側としての安全管理措置、体制整備および実施が求められているが、マイナンバーの収集サービスや業務を提供する企業が印刷業界のみならず、IT・セキュリティ業界などから出てきている。
情報を中心に扱う印刷業界への影響はまだ数値化されるに至ってないが、来年度以降の潮流も目が離せない。

印刷年金、印刷健保新たな動き

昨年施行された厚生年金基本見直し法に伴い、全国に13ある印刷厚生年金基金のうち、これまでに6基金が解散、残りの7基金のほとんども今年度中に解散する予定である。その中で、東京印刷工業厚生年金基金は来年1月解散、4月新企業年金設立、また関東五県印刷年金基金も、同じく4月に確定給付企業年金をスタートさせるなど、新たな動きも出ている。
一方、全国印刷工業健康保険組合は、今年の2月に支部を廃止し、本部中心の組織に再編、財政の健全化を図っている。

印刷通販市場で各社特色生かす

プリントパックとグラフィックに代表される印刷通販だが、中小印刷会社においても、チラシやはがき、同人誌、クリアファイルなど、各社が分野に特化した強みを発揮し、印刷通販サイトを開設している。
推定市場(JAGAT推計)は670億円にのぼるとされるが、ラクスルやプラザクリエイト/ビスタプリントジャパンといった、印刷業界外からの参入者も増え、動向に注目が集まっている。

出版市場が不況10年連続で下落

出版科学研究所によると、2014年の出版物の推定販売金額は前年比4・5%減の1兆6065億円、10年連続の減少を記録した。増税の影響が強く表れたとされる一方で、インプレス総合研究所は2014年度電子書籍市場規模が1266億円の市場であると発表した。2015年においても同様の傾向が強まるものとされるが、電子出版は新しいユーザーの需要を掘り起こし、紙の出版市場の減少を補完しているといえる。

青年印刷人達が全国各地で活動

全日本印刷工業組合連合会全国青年印刷人協議会、全国印刷緑友会、日本グラフィックサービス工業会青年部SPACE21など、印刷業界の将来を担う若手青年印刷人の活動が今年度も全国各地で開かれた。
2016年2月6日には大手町サンケイプラザで「Print Next2016」が開催され、新時代に対応するための知識と見識を身に付ける契機として青年印刷人のみならず、一般や学生からも参加を募るなど、業界内外から多くの注目が集まっている。

3業界団体で新リーダーが誕生

日印産連傘下10団体のうち、今年3団体でトップ交代が行われた。日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会は小林博美氏から田村壽孝氏、全日本シール印刷協同組合連合会は小宮山光男氏から田中浩一氏、全日本スクリーン・デジタル印刷協同組合連合会は吉田弘氏から吉見正彦氏へバトンタッチした。
吉見氏が54歳、田村氏が57歳、田中氏が62歳と前任から1回り以上若返り、新たなリーダーシップが期待されている。

 

※「日本印刷新聞」から

 
 

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