2015年12月09日

モリサワ会(浅野健会長)は11月30日午後3時から東京・飯田橋のホテルグランドパレスで「歴史を彩った書物たち」をテーマに秋期研修会を開き、印刷博物館学芸員の中西保仁氏から、時代を変えた古今東西の書物にまつわる数々のエピソードを聴いた。中西氏は、書物の役割として①記録する②伝える③熟考するの3つの機能を指摘し、それらがどうなっていくかを踏まえ、次世代のメディアを考えていきたいと強調した。

 

浅野会長

浅野会長

開会に当たって浅野会長は次のとおり研修会の趣旨を述べた。
「印刷産業人は、印刷は文化産業だと思っているし、文化の母だと思っている。ある大学教授にそう申し上げたら、印刷は文化ではなく文明だ、とおっしゃった。文明は技術である。文化は個性であり、地域性である。最新の技術を使ってさまざまな印刷を施しているとすると、印刷は文明である。そういわれた。次の機会に『最先端の文明を駆使して文化を支えている』といういい方ならいかがか尋ねたら、それなら納得できるということだった。本を読むことは、文化だろうか、文明だろうか。コンテンツがどのようであろうと、本を読むことは文化である。5000年前に文字が発明され、文字を駆使して印刷本をつくり、読書という文化が根付いている。今日の研修会は、印刷がどれだけ人類に貢献したか、さらに学ぶことがテーマである。印刷がいままで歩んできた道を知らずして印刷の将来を語る資格はないと考える。印刷の歴史には、多くの印刷産業人があまり興味をもたないという現実がある。中西講師の話を聴いていただき、次は自らさまざまな歴史に関する文献を選んでいただければと願っている」

 

中西講師

中西講師

中西講師は、文京区と書物づくり、コンビニでの立ち読みについて考える、複製時代の到来―『グーテンベルグ聖書』(1455年刊)、母国語が生まれるために―『7カ国語(蘭・英・独・羅・仏・西・伊)会話帳』(1586年刊)、雑誌は知識の宝庫―「ジェントルマンズ・マガジン」(1731年刊)、冒険ヒーロー参上!―『魯敏孫漂行紀略』(1857年刊)、首都東京が生んだミリオンセラー―「キング」(創刊号1925年1月号)、などについて、書物の画像や古写真を示しながら印刷が文化に果たしてきた歴史的な役割をわかりやすく説明した。

 

森澤社長

森澤社長

懇親会の席上、森澤彰彦モリサワ社長は「中西講師の話の最後に温故知新ということばが出てきた。私の座右の銘も温故知新である。写本で培われたものがグーテンベルグの活版、42行聖書にも根付いている。過去のものを工夫しながら新しい生産手法へ変わってきた。いいものを継続させ発展させていくことは、いまも脈々と受け継いできているし、私どもの会社自身も『文字組版』を大切にして皆様に利用していただいている。新しい電子書籍の世界でもモリサワの組版を継続して利用していただくという、温故知新の考え方で事業を展開しているつもりである。これからも皆さんとともに新しい時代に向けた新しい文明、文化を築いていければと強く思った」とあいさつした。

 

 

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