2015年11月28日

富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)(FFGS、真茅久則社長)は、IGAS2015の会期に合わせて、5つのテーマで最新の市場動向やソリューションの活用事例などを紹介するセミナーを開講した。その中から、9月14日にアドビシステムズ社のMark・Lewieckiシニアプロダクトマネージャーを講師に迎えて開催した講演の要旨を紹介する。テーマは「Adobeが目指すデジタルデバイス戦略とは」。

 

◆Adobeが提供するクラウドサービス

 

Mark・Lewieckiシニアプロダクトマネージャー

Mark・Lewieckiシニアプロダクトマネージャー

Adobeは、すでにリリースしている「AdobeCreativeCloud」「AdobeMarketingCloud」に加えて、2015年3月、新たに「AdobeDocumentCloud」という3本目のクラウドサービスの提供を開始した。
AdobeCreativeCloud(CC)について紹介する。

 
CCは、紙媒体、Web、モバイル、ビデオ・オーディオなどの分野に向けて提供する、最もパワフルなデザインアプリケーション。ユーザーは、個々のアプリケーションを選んで利用することも、月額5000円ですべてのアプリケーションを使うことも可能である。
CCを使うことで、ユーザーは、あるデバイスで開始した作業を、異なるデバイスでもそのまま続けることができる。その際、ファイルやフォント、写真、デザインのアセット、設定、メタデータなどがすべて同期し、つねに最新の状態で使えるようになっている。毎月350万人にCCを利用してもらっている。
最近では、AdobeBrush、AdobeShapeなど、モバイル用のタッチアプリケーションを新たに導入している。

 
新しく提供を始めたAdobeDocumentCloudは、クラウドベースのドキュメントサービス。これにより、Acrobatがタブレットやモバイル端末でも使えるようになった(料金は月額1380円から)。Acrobatのインターフェースなどはすべて一からつくり直したことから、ツールなどはより見つけやすく、また使いやすい。

 

◆ワークフローの信頼性を高めるAdobe PDF Print Engine(APPE)

 
APPEはPDFプリントワークフローの中で最も広く使われ、また急速に成長しているRIPテクノロジーである。実際、世界中で現在12万台のシステムが稼働している。当社で行った研究結果では、APPEが最速のRIPであること、とくに透明効果、スポットカラー、スムーズなシェードなど、複雑なグラフィックの処理において最速のRIPであることが実証されている。
また、APPEは、最も信頼性の高いレンダリングテクノロジーでもある。グラフィックがどれだけ複雑であっても、最終的な印刷物がAcrobat Readerなどのデジタルソフトプルーフと一致することが保証されている。

 
富士フイルムのワークフローシステム「XMF Ver・6」には、Adobe Mercury RIPアーキテクチャが搭載されている。Mercury RIPアーキテクチャを使うことで、APPEの機能を拡張させ、バリアブルデータ印刷(VDP)のジョブをデジタル印刷機で高速印刷することが可能になる。
これは、最新のマルチプロセッサコア環境を最大限に活用することで、リアルタイムに高速なバリアブルデータ組版が行えるためである。
Mercury RIPアーキテクチャは、PDF VT形式のサポートや、ページの並列処理など、高速・大量のデジタル印刷に対応した機能を持つ。また、ダイナミックな負荷分散のサポートや、APPEに対するダイナミックなインスタンスの割り当ても可能であることから、同一ネットワーク上の複数の印刷機から同時に出力したり、ネットワークの通信量を最小限に抑えたりといったことが可能になる。

 

◆富士フイルムとAdobeの連携

 
富士フイルムと当社の関係は、すでに20年以上続いている。厳しい状況にある印刷市場において、われわれは今後も積極的に連携をとりながらイノベーションを進めていくことを約束する。
APPEについては、当社が2006年にリリースした後、2007年に富士フイルムがわれわれの初のOEMパートナーとしてRIPに採用。Post ScriptからPDFへの切り換えを促進した。こうした流れを通じて、APPEが最新のXMFワークフローに組み込まれることとなった。現在、XMFは、Mercury RIPアーキテクチャを採用し、それによってオフセット印刷・デジタル印刷双方の市場において、最も進んだワークフローソリューションとなっている。

 

◆バリアブルデータ印刷(VDP)の活用による市場開拓

 
デジタル印刷機による印刷量は、現在、年率およそ9%という非常にハイペースな成長を遂げている。その一方で、オフセット印刷量は減少している。このペースが続けば、デジタル印刷量は、約23年後にはオフセット印刷量を上回ると予測される。

 
アプリケーション(印刷物の種類)別では、パッケージ分野が大きな注目を集めている。業界アナリストによれば、デジタル印刷機によるパッケージ印刷の売上が年間20%以上の成長を遂げると予測されている。
デジタル印刷によるパッケージは、従来型のフレキソ印刷やグラビア印刷と比較するとコストは高めではあるが、実はさまざまな重要な価値を提供することが可能である。
ダイレクトメール(DM)も、デジタル印刷により急成長を遂げている。DMは、2024年にグローバルの印刷業界で700億ドルの売上が見込まれる分野である。デジタル印刷機を用いればパーソナライズが可能であるが、現時点で実際にパーソナライズされているのはほんの2割である。これは、バリアブルデータ印刷(VDP)によってDMのマーケティング効果を高める非常に大きなチャンスであることを示している。

 
ところで、VDPは商業印刷の領域でPDF以外のフォーマットが広く使われている唯一の分野である。PDF VTはVDP向けに最適化されたPDFの変形バージョン(亜種)で、ISOで規格化されており、その仕様は2010年に発行、その翌年(2011年)にPIA(米国の印刷業界団体)によって認められた。
PDF VTにより、印刷会社はVDPの生産環境においてPDFのメリットを享受できるようになった。つまり、カラーマネージメントを含むPDFワークフローを、そのままVDPのジョブにも当てはめることができる。
 
つまり、PDF VTの活用によって、異なるワークフローを用意することなく、パーソナライズを通じてクライアント企業の販促効果向上に貢献することができる。この機会をぜひ活かしていただきたい。

 

 

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