2015年11月17日

日本印刷産業連合会(稲木歳明会長)は、6月にポルトガルで開かれたWPCF(World Print&Communication Forum)と、8月にマレーシアで開かれたFAPGA(Forum of Asia Pacific GraphicArts)の会合に参加、11月12日午前10時から日本印刷会館5階会議室で出張報告会を開催した。WPCFで、国ごとの電子書籍の普及率について、オーストラリア、インド、英国、米国が高く、ドイツと韓国が中位で、フランスと日本が下位であることが報告された。
WPCFは、かつてのWorld PrintCongressが母体で、米国、欧州、ブラジル、香港、日本、中国、インド、オーストラリア、韓国が参加しているグローバルな集まり。FAPGAは日本印刷技術協会が中心となって設立したFAGATが母体のアジア地域の印刷連合会。
出張報告会では日印産連広報部の石橋邦夫氏が、それぞれの発表内容を約1時時間半にわたって報告した。その中で、ベルギーVrije大学のSMIT(Studies on Media,Information and Telecommunication)による調査研究で、ベルギーのフランダース地域で5000人にアンケートを発送し、1094人の回答から消費者が電子書籍に対していくらぐらいなら妥当と感じるかをもとに、将来の電子書籍市場規模を予測した。
それによると、EUの出版市場は、2006年の235億ユーロ(3・29兆円)から2013年の223億ユーロ(3・12兆円)へと微減する一方、タイトル数は47・5万から56万タイトルへと増加している。PWCによる予測では世界の電子書籍市場は2014年の110億ドル(1・32兆円)から2018年には190億ドル(2・28兆円)へ成長すると見込んでいる。
米国ではタイトルの70~100%を電子化している出版社が45%を占めており、50%以上が67%。一方、収益面では、電子書籍による収益が全体の1~10%の出版社が57%で、まったく収益が上がっていない出版社も7%あり、収益面ではまだ厳しい状況にある。
人口に対するインターネット普及率、インターネットユーザーが過去6カ月に電子書籍をダウンロード(有料・無料)した比率などをもとに国ごとの電子書籍の普及率をみると、オーストラリア、インド、英国、米国の普及率が高く、ドイツと韓国が中位、フランスと日本が下位であることが報告された。
同アンケートで、19ユーロの書籍が電子書籍としてはいくらが妥当か調査した結果、中間値は10・91ユーロで、7~10ユーロに回答が集中した。
電子書籍を持っている場合、追加で紙の書籍に支払っていいと思う金額は、5ユーロまでで72・4%を占めた。平均値は4・5ユーロ。追加を支払いたくない人は27%。
書籍を持っている場合、追加で電子書籍に払ってもいいと思う金額は、5ユーロまでで94・1%、追加を払いたくない人は41・5%だった。平均値は2・5ユーロで電子書籍に対する対価の支払いには消極的なことが明らかになった。
ベルギーにおける現在の書籍市場規模は1・86億ユーロ(223億円)。分配は出版社30%、書店49%、著者10%、印刷5%、消費税6%で、出版社の取り分は5580万ユーロ(78億円)となる。すべてが電子書籍となった場合の市場規模の分配は出版社33%、ネット書店30%、著者10%、制作5%、消費税21%で、電子書籍の購入、レンタル、サブスクリプションなどのビジネスモデルを想定してみると、出版社の取り分は2800万ユーロと、現在の51%になるなど、出版社にとって非常に厳しい状況になる。
日本の場合、インプレス総合研究所(東京)によると、2014年度の電子書籍市場規模は前年比35%増の1266億円で、2019年度には14年度の2・3倍の2890億円程度になると予測。電子雑誌とあわせた電子出版市場は2014年度1411億円で、19年度には3400億円程度と予測している。

 

 

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