2015年10月23日

マーケティングの観点から見た付加価値創造を検討

マーケティングの観点から見た付加価値創造を検討

日本印刷技術協会(塚田司郎会長)は10月9日午後1時半から東京・文京区の椿山荘で「印刷のイノベーション―デジタル、マーケティング、競争戦略」をテーマにJAGAT大会2015を開いた。印刷ビジネスが社会的な役割を果たすためには、メディアの枠を越えて顧客や生活者との関係を築き直す戦略が求められるとして、とくにマーケティングの観点から見た付加価値創造とは何か、具体的に一歩踏み出すにはどうしたらいいか検討した。

 

第一部のあいさつでは花崎博己副会長が「変化を味方につけて追い風に乗るか、向かい風として受けて逆風として受けるか。この違いは大変に大きい。視点を変えることが重要である。情報を受け取る側の消費者視点、顧客の戦略を理解する得意先の視点、視点を変えることによって今まで見えていなかったことが見えてくる場合がある。それにより戦略の妥当性が向上することもある。デジタル化されたマーケティング情報の蓄積がかなり進んできている。ポイントカードの例では、ポイントが自動的に加算される。一方でどこでだれが何を買ったかという貴重なマーケティングデータが蓄積されている。それが有効に活用されず、手つかずになっているところがかなりある。ネット上で買い物をすれば購買履歴が蓄積される。買い物に至らなかったもの、欲しいものなども蓄積される。サイト内の閲覧の解析ログが蓄積されている。一般企業の間ではそうした情報を活用し、マーケティングを最適化する動きが表れている。印刷業としては、最適な相手に、最適な時期に、最適な情報を提供する。そういう新しい役割が求められている。印刷会社が活躍できるフィールドがある」と述べ、幅広いメニューを揃えているJAGATの活用を訴えた。

 

塚田会長は『未来を創る』に見る新しい企業経営とは」と題してKeynoteを述べた。
塚田会長はベルギー・ブリュッセルで開かれたラベル・エキスポの報告を行い、同展の熱気を伝えた。
また「ウォール・ストリート・ジャーナル」の「ネット小売業者がカタログを郵送するわけ」、「ハーバード・ビジネス・レビュー」の「いま『紙のカタログ』が見直される理由」などの記事を取り上げ、一時は時代遅れとされてきた紙のカタログが、アメリカの小売業界で見直されていること、EC企業でさえも単なる景気回復の手段ではなく、ブランド構築の強力なツールとして紙が見直されていることを統計を交え紹介した。
さらにウェブ博士の著書『未来を創る』に触れ、「2020年までに印刷企業が行うべきこと」などをまとめている第5章から読むとわかりやすいと示した。
それを実践している例として、国際印刷フォーラムで来日したハーバード・グロセイム07 Media社CEOの発言を紹介。
同社が、コミュニケーションコンセプトと戦略、編集およびコミュニケーションデザイン、マルチプラットフォームデザイン、パッケージデザイン、戦略デザイン、インストア・コミュニケーション、コンテンツマーケティング、テキストおよび編集、ビデオ、展示会・ディスプレイおよびサイネージなどを取り込み、新規ビジネスでは、クロスメディア、物流、データベース、DM、パーソナライズ、出版を軸に展開をしていると話した。
グロセイム氏によると、とくにプリントとデジタルメディアとの新しいバランスを見つけ出すことがポイントで、「プリントがデジタルを支えデジタルを活性化する(プリントカタログからオンラインショッピングへ/ネットショッピングにおけるパッケージ製品)」ことと、「プリントがデジタルに移行(ネットショッピング、検索エンジン、オンライン出版、GPSなど)」ことのバランスが重要になる。この間には、プリントがデジタルとともに働くQRコード、AR、オンライン発注、ウエブ・ツー・プリントなどがあると紹介。
「本当の発見の旅とは、新しい土地を探すことではなく、新しい目で見ることだ(マルセル・プルースト)」とのことばで講演を結んだ。

 

続く講演1では藤井健人日本印刷技術協会研究調査部部長による「JAGAT新刊本から読み解く印刷業界の最新動向―『JAGAT印刷産業経営動向調査2015』+『印刷白書2015』にみる業界動向」、郡司秀明同専務理事による「『未来を創る』+『デジタル印刷レポート』に見る印刷の未来」の2つの講演が行われた。

 
休憩を挟んで開いた講演2・特別講演では「異業種に学ぶ『競争しない競争戦略』―収益を生むイノベーションとは』をテーマに山田英夫早稲田大学ビジネススクール教授が講演した。

 

 

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