2015年10月16日

大日本印刷(DNP)は、ルーヴル美術館との共同プロジェクトである「ルーヴル-DNPミュージアムラボ」で開発した美術鑑賞システムを活用したワークショップの取り組みで、企業メセナ協議会が主宰する「メセナアワード2015」の大賞を受賞した。1996年のメセナ普及賞、2005年のアート情報文化賞の受賞に続き、初の大賞受賞となった。

 

DNPは、事業の成長領域のひとつに「知とコミュニケーション」を掲げ、高度情報化社会における安全・安心で活発なコミュニケーションによって暮らしを支え、文化を育む取り組みを進めている。その一環としてDNPはルーヴル美術館と共同で、デジタル技術の活用などによって新たな美術鑑賞の手法を開発するプロジェクト「ルーヴル-DNPミュージアムラボ」を2006年から推進している。これまで、ルーヴル美術館の作品や展覧会のテーマに合わせた独自の美術鑑賞システムを開発し、そのうちのいくつかはルーヴル美術館本館などに導入されている。

 

2011年には、作品がない場所でも美術作品に親しめるよう、タブレット端末を使用した2つの美術鑑賞ワークショップ用のアプリを開発した。これらのアプリは、鑑賞教育の手法を模索していた中学校の美術の授業に向けて、日本やフランスの美術教育の専門家と作り上げたワークショップのシナリオとともに提供し、実践を重ねてきた。場所を選ばず簡便な操作で、美術作品について学び美術の面白さを実感できることから、中学校以外にも児童や親子を対象とした鑑賞ワークショップを開催するなど、より幅広い層に体験の機会を提供している。

 

1.作品比較ワークショップアプリ

タブレット端末に内蔵した複数の作品画像を使って、細部を拡大して観察したり、作品相互の相対的な大きさを比較したりすることができ、作品の主題や造形的な特徴に気づきやすくなっている。参加者は画面上に自分の気づいたことを自由に書き込んで、他の参加者とネットワーク機能を介し共有することができる。ものの見かたの多様性を学ぶシナリオとともに提供している。

 

2.AR(Augumented Reality)ワークショップアプリ

AR(Augmented Reality:拡張現実)技術を活用し、美術作品の画像をタブレット端末のカメラで写している実際の風景に合成して写真にとることができるアプリ。識別用のARマーカーが印刷されたパネルをタブレット端末で撮影すると、マーカーの画像が、あらかじめ選択した美術作品の画像と入れ替わって表示される。作品のサイズは、その場所に置かれた場合の実物大で表示されるので、空間と美術作品、見る人と美術作品の対比や関係性を考えるシナリオとして展開している。目の前の風景の中に美術作品が出現する楽しさから、美術にあまり馴染みのない人びとに、美術そのものへの関心を向けさせることもできる。

 

〇メセナアワードとは
企業によるメセナの充実と社会からの関心を高めることを目的に企業メセナ協議会が1991年に「メセナ大賞」として創設。2003年「メセナアワード」に改称。市民が芸術・文化を楽しむ機会の提供、地域文化を守り育てる活動、芸術・文化団体との協働や資金支援などといった、芸術・文化振興による豊かな社会作りにつながる活動を対象としている。日本各地で取り組まれている創意工夫に満ちたメセナ活動への理解や共感がより深まることを目的としている。

 

 

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