2015年10月01日

グロセイム

H.グロセイム氏

日本印刷産業連合会(稲木歳明会長)は9月15日、IGAS2015会場に隣接する東京ビッグサイト会議棟で「国際印刷フォーラム」を開いた。ハーバード・グロセイム氏(07 Media社CEO、元Intergraf会長)が欧州印刷業界の現状と課題について講演したのち、日本の業界関係者とのパネルディスカッションを通じて相互の課題や今後の展望について議論した。
グロセイム氏はノルウェーに6カ所の事業所を持つ印刷会社、07 Media社のCEO。顧客の変化に対応するため、ウェブやデジタルサービスといった領域にまで新規事業を立ち上げ、また、欧州20カ国による印刷連合会Intergrafでは7年間にわたり会長を務めた。

 

欧州印刷業界の現状は日本と同様に厳しい状況が続いている。2002年から2012年までに、企業数6%、従業員数30%、出荷額19%の減少を示すなど、日本と同様にマイナス成長を続けてきた。
「『デジタルに取って代わる印刷に未来はない』と言う識者はいつの時代も現れる」とグロセイム氏は述べながらも、「必ずしもデジタルがすべてにおいて勝っているということはない。しかし、そのためにわれわれは考えることを続けながら、しっかりとナビゲートしていかなければならない」と行動していくことの重要性を話し、いくつかの実例をあげた。

 

オーストラリアはDMを調査し、紙のDMはデジタルベースの7倍以上反応が返ってくると発表した。また、電子書籍において最も強力であったアメリカやイギリスでは、電子書籍利用者の数値は下がり始めており、それらは「選択肢が少ない」「値段は高いが読みづらい」などの背景に起因している。
環境対応では、「紙に対する多くの誤解が生じている」としながら、紙と環境の関わりについて伝える団体「Two sides」の取り組みを紹介。同団体では事実に基づきながら、森林を伐採して作る紙が少ないなど、印刷産業が環境に優しい業界であることを伝え続けているという。
「われわれはデジタル業界と戦うわけではない。目的は紙とデジタルの新しいバランスを見つけ出すことである。印刷産業のイメージとパワーを創造していくとともに、郵便や出版といった隣接業界とも協力しながら推進している」とグロセイム氏は話した。

 

 

読書を促す施策求める

 

EU、日本の課題や今後について話し合った

EU、日本の今後について話し合った

第2部のパネルディスカッションでは、新たに石橋邦夫氏(日印産連)をコーディネーター、臼田真人氏(アドピア)、岩尾純一氏(一九堂印刷所)、岩岡正哲氏(岩岡印刷工業)、塚田司郎氏(錦明印刷)、松浦豊氏(ローヤル企画)をパネリストに迎え、日本の印刷業界関係者とグロセイム氏によるパネルディスカッションとなった。

 

パネリストからは「出版における通販ショップの脅威」について話題があがり、日本では米国の通販サイト、アマゾンの台頭により、リアル書店や流通の廃業が相次いでいると説明。これに対しグロセイム氏は「欧州では昔のほうがアマゾンを怖がっていた」としながら、読書行動自体が減っていることについて言及。電子書籍の伸長が伸び悩んでいるなか、オーディオブックが高齢者のあいだで需要を増やしていることを踏まえながら、読書行動そのものを促す施策が求められるとした。

 

 

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