2015年08月17日

 (一社)日本印刷産業機械工業会(宮腰巖会長)は、平成26年度に実施した「グローバル市場への展開のための課題対応および基盤整備に関する調査研究」でインドネシアおよびベトナムの印刷業界を取り上げ、市場動向とこれらの国々への印刷産業機械を輸出する際の規制などの動向について調査を行い、このほど報告書(A4判106ページ)をまとめた。両国市場の開拓には、他国に負けない保守サービスの充実がポイントになると指摘している。25年度の中国・インドの調査研究に続く成果となる。

 

 インドネシア、ベトナム両国とも経済が急速に成長し、「人口ボーナス期」を迎え、今後生活水準の飛躍的向上が見込まれる国であり、印刷産業機械における市場拡大のポテンシャルは大きい。現地ユーザーが持つ懸念事項として、メンテナンスサービスがある。台湾や中国製の部品は現地で直ぐに購入できるが、日本製は、品質の高い日本独自の部品を多用しているため、現地での交換部品の入手が難しいとの報告もある。

 

 報告書のポイントは次の7つ。

 

 ①インドネシア・ベトナム両国とも、人口増、経済発展の上で消費経済の発展が見込まれ、それによる印刷需要増も見込まれるが、書籍・新聞に関しては、現在以上の増加は見込めず、むしろ減少することが予想される。

 

 ②両国とも、輸入に対する政府への届け出、輸入を取り扱うためのライセンスなど制度が複雑であり、それらを十分に理解しないと円滑に取引を進めることができない。

 

 ③イスラム教に由来する独自の商習慣はないが、両国独自の「慣行」はある。また、わが国のオンライン決済のようにスムーズに進むわけではない。

 

 ④両国とも中古機が多く使われているが、中古機の商取引上の規制もある。

 

 ⑤物流事情(港湾設備も含め)の整備が進んでいるわけではない。むしろ遅れている。

 

 ⑥アンケートから、アフターサービスの充実が望まれている。これは、故障時の対応は当然のこととして、印刷や印刷産業機械に関する先端的な情報の提供なども期待されているし、この点は欧州メーカーと比較されている。25年度調査研究の中国でも同じ要望がでていたことから、アジアでの日本製機械の販売強化では大きな意味を持つと考えられる。

 

 ⑦中古機が過半を占める現状から、(a)中古機のユーザーで将来新台を購入できる規模の会社へのアプローチ、(b)日本製の新台を使用しているユーザー、と(c)日本製以外の新台を使用しているユーザーへそれぞれに適した働きかけがキーポイントとなる。

 

 アンケート調査によると、インドネシアの3分の2のユーザー、ベトナムの4分の3のユーザーが日本製機械を保有している。これらのユーザーの現有機が新台か中古かは不明であるが、導入の理由として、価格、品質性能、生産性、信頼性をあげており、価格の問題は別として、他の項目は日本の得意とするところであり、次に導入する機械も日本製を選択してもらうには、保守サービスで他国に負けないことが重要になる。日本製を使用していないユーザーが示した「導入しない理由」で価格の次にあげているのが保守サービスであることから、すでに日本製を使っているユーザーに対して保守サービスを充実することは、保守サービスへの不安から日本製を使用していない顧客を日本製品の新しい顧客として取り込めることが期待できる。

 
 
 

インドネシア、ベトナムの基本情報
インドネシア ベトナム
人口(百万人)(2013年) 250.8 89.6
名目GDP(米10億ドル)(2013年) 1,922 152.2
一人当たりGDP(米ドル)(購買力平価)(2013年) 5,150 3,790
実質GDP成長率(%)(2013年) 5.6 5.3
消費者物価インフレ(%)(2013年後半) 8.0 7.3
印刷市場(米百万ドル)(2013年) 5,671.2 950.7
印刷市場(年平均成長率)(2012‐17年) 11.2 4.2
識字率(%)(2009年) 92.6 93.2

 
 (「平成26年度グローバル市場への展開の課題対応及び基盤整備に関する調査報告書」から作成。原資料はNPES)

 
 

インドネシアについては2015年8月22日ベトナムについては8月29日に詳細を掲載予定

 
 

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