2015年08月03日

藤森社長

会見をする藤森社長

共同印刷㈱(藤森康彰社長)は7月23日、神奈川県相模原市の同社相模原工場で印刷業界紙記者懇談会を開き、藤森社長が共同印刷グループの概況をはじめ、情報系事業/生活・産業資材系事業など事業概要について説明した。

 

2015年3月期における業績は売上高924億8300万(前期比2・1%減)、営業利益17億7200万(前15・6%減)、経常利益25億1700万(前11・1%減)、当期純利益は14億500万(前11・1%減)。また、中期経営方針「強みを活かし事業領域を拡大して利益を創出する」に基づき、グループ一丸で業績の向上に取り組み、2016年3月期の連結業績見通しは、売上高960億円、営業利益23億円、経常利益30億、当期純利益21億円を見込んでいる。

 

藤森社長は当期の景況について、「政府の経済対策や日銀の金融政策を背景に緩やかな回復の兆しが見えた。一方で、個人消費の伸び悩みや新興国経済における減速など、先行き不透明な状況もある」と分析。

 

 
また、印刷業界においても「電子メディア普及による紙媒体の需要減少、競争激化に伴う受注価格の下落、円安による原材料価格の上昇など厳しい経営環境だった」としたうえで、「共同印刷グループでは中期経営方針『強みを活かし事業領域を拡大して利益を創出する』をテーマにグループ一丸となって業績向上に取り組んだ」と述べ、事業の経過および今後の経営戦略について説明した。

 

事業領域拡大を推進 既存市場は生産効率化を図る

 

共同印刷グループでは、出版商印部門およびビジネスメディア部門からなる情報系事業。紙器・軟包材、産業資材などを取り扱う、生活産業資材系事業を展開している。

 

それらを支える事業インフラの整備、経営基盤の強化においては、グループの強みを具現化する組織として、トータルソリューションオフィス(企画部)の設置や、中国やベトナムでの海外子会社の立ち上げと新工場の建設、収支構造・利益構造の可視化、コスト競争力の強化などを通じて取り組んできた。
グループで働く社員が抱える問題に対しては、今年7月にスタートした「もっと良い会社プロジェクト」からアプローチしていく。共同印刷グループの社会的価値向上およびCSR推進の一環として、全グループがそれぞれの職場におけるコンプライアンスやコミュニケーションを見直し、課題を共有することで解決策を考え改善に取り組む。
2017年に迎える創業120周年に向けて、評価や人事などの全グループで抱える問題、それぞれの部門単位で解決しなければならない問題を洗い出し、解決に向けて動いていく。

 

グループの総合力を発揮する体制を整え、新たなステージに向けた足がかりを得るなか、今年6月末の株主総会では、社外取締役に髙岡美佳氏(立教大学教授)が選任された。藤森社長は予てより「私の在任中に女性取締役を選任する」と宣言していたが、女性としての視点、またCSRの専門家である同氏の発想により、多様性の高まりや事業の隆盛、企業価値の向上につなげていくとしている。
基本的な経営戦略としては、従来型の印刷が縮小していくなか、共同印刷グループでは成長分野の事業領域拡大を推進し、既存印刷市場へは生産効率化と採算重視の事業活動で利益の確保を図るとした。

 

情報系事業のテーマは「競争力の再構築」

 

情報系事業におけるテーマは「競争力の再構築」。

ITとものづくり技術の融合を図り、グループの営業ノウハウ・ソフト資産をもとに付加価値の高い体系的な開発をすすめ、販売促進や業務効率向上など、トータルソリューションによって顧客の課題解決を支援していく。
BPO(業務委託)案件は豊富なノウハウと高いセキュリティ環境などの強みをもつ、埼玉県比企郡の川島ソリューションセンターを生かし、信頼のおけるサービスを提供し市場での評価を高める。
具体的施作としては、出版印刷はコンテンツを紙とデジタルの双方で展開するサービスの提案で、漫画を中心とした受注拡大を目指す。また、小ロット領域の生産力強化、教育関連物件の受注拡大に取り組み、同社が展開する学びの電子書籍サイト「自己ガク」では学校や企業向けの教育支援プラットフォームなどの関連事業も推進する。

 

一般商業印刷では販売促進や業務効率向上など、課題解決を支援するためのソリューション提案型の営業スタイルを推進。事業分野を従来の企画制作からブランディング・マーケティングまで広げ、事務局や物流加工案件の拡大も図り、川上・川下へと受注拡大していく。
ビジネスメディア分野では人材育成による営業力および品質保証体制の強化により、データプリントやBPOの受注拡大に取り組む。

 

 

また、昨年はセキュリティ強化を狙いに、外部機関の協力のもと個人情報を取り扱う部門のリスク分析をおこなった。深刻なリスクは認められなかったが、マイナンバー開始に伴ういっそうの厳しさに対応し、関連業務の受注を図るとともに、堅牢な情報セキュリティ体制を敷いていく。そのような〝情報漏えいをさせない仕組み〟を強化していくため、共同印刷グループでは3カ年からなるロードマップを作成しながら挑むとした。
外部とのネットワーク遮断性などの体制を整えていくだけでなく、「情報漏えい最大の窓口は人である」という認識のもと、現場で働いている社員の意識を高めていくよう努め、ハードとソフトの両面から遥かに高いセキュリティレベルを実現していく。

 

生活・産業資材系事業は「競争力の強化」がテーマに

 

生活・産業資材系では、「競争力の強化」がテーマになっており、化粧品向けの高品質ラミネートチューブ、医薬・電子部品向けの高機能フィルムを中心とした、高付加価値製品の開発を加速させていく。

 

今年の7月13日には、共同印刷のベトナム現地法人の工場(ベトナム工場)が竣工した。日本国内でも高い評価を得ているラミネートチューブを現地で製造し、東アジア地域の営業活動拠点になっている共印商貿(上海)と東アジア・ASEAN地域のネットワークを強化し、海外市場を開拓する。

 

紙器事業は環境に配慮した、樹脂や紙などの非金属刃を使用したラップカートンをアピールしながら、医薬部外品・化粧品カートンの受注拡大を目指す。

 

軟包装などの特印事業では、アメリカのダウ・ケミカル社とエココンテナー「pacXpert」のライセンス契約を締結し、日本における製造・販売権を取得した。同製品はキュービック形状のフィルム製コンテナーで、軽量かつ持ち運びにも優れている。技術や生産体制の確立に努め、業務用包材市場をリードする製品に育てていくとしている。

 

産業資材では医薬品・電子部品精密機器などで、湿気やアウトガスを除去する「モイストキャッチ」などの高機能フィルムの市場拡大を図る。また、コンバーター向けに機能性フィルムにおける汎用シリーズの販売を決定し、8月には第一弾となるモイストキャッチの汎用シーラントフィルム「モイストキャッチCZ」が発売される。

 

 

取引先工場と連結したチューブ加工の相模原工場

 

チューブ事業の主力製品は、歯磨き粉や化粧品に利用されるラミネートチューブ、わさびなどの香辛料系で主に使用されるブローチューブ、医療品等に用いられるアルミチューブの3種類。国内では小田原工場と相模原工場、和歌山工場をそれぞれの拠点として、チューブおよびキャップの製造をしている(現在、アルミチューブは外注製造委託)。

 

2014年5月に竣工した相模原工場では、ラミネートチューブの製造を2ライン体制でおこなっている。最新の工場として徹底した品質管理体制を敷くとともに、隣接する取引先工場である日本ゼトック㈱と、両社の2階部分をブリッジ状に連結させているのも大きな特徴であり、共同印刷で製作されたラミネートチューブはブリッジ上に設置されたベルトコンベアに乗せられることで、屋外に出すことなく、日本ゼトックの充填・包装工場へ直接納品される。

 

2014年5月に竣工した相模原工場

2014年5月に竣工した相模原工場

 

従来は約50㌔㍍離れた小田原工場から、1日約30万本のチューブを数台のトラックで往復し、日本ゼトックに納品していた。しかし、衛生用品である製品を取り扱う以上、異物の混入や輸送時のキズを防ぐため、製品を詰めるパレットは厳重に包装する必要があり、包装材も納品後に回収して処分しなければならなかった。それが今回の連携により、輸送の効率化やコスト削減が起こるだけでなく、衛生保持・品質管理・環境負荷の低減など、さまざまなメリットを生むこととなった。

 

 

 

ラミネートチューブにおいては歯磨き粉製品で国内トップシェアを獲得している共同印刷だが、近年はスキンケアやボディケアなどをメインとした、コスメ化粧品のチューブにも力を入れてきた。

安全や機能性といった品質だけでなく、高精細・美麗性がとくに求められる化粧品市場では、肩部・エンドシール部・サイドシール部に至るまで、継ぎ目の空白を残すことなく、全体に高精細な印刷が可能な「フルプリントラミネートチューブ」を提案しながら、顧客の要望に応えている。
今後も引き続き、楕円形や大口径のチューブなど、金型のバリエーションを増やしていくとともに、国内外の拠点による製造・営業活動を通じ注力していく。

 

 

 

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