日本製紙㈱(本社・東京都千代田区、野沢徹社長)は、スギやヒノキ、マツ類で、花粉が少なく、成長性にすぐれる特徴を持つエリートツリーなどの普及拡大を加速するため、原材料本部林材部内にエリートツリー推進室を10月に新設し、グループを挙げた推進体制を強化する。
今年6月に閣議決定された、骨太の方針2023(経済財政運営と改革の基本方針2023)では、新たに政府一体となって花粉症対策に取り組むことが明記されたほか、GX(グリーントランスフォーメーション)の一環として森林吸収源対策の加速化や再造林の促進などが盛り込まれた。
とくに花粉症対策においては、5月に策定された「花粉症対策の全体像」に基づき、10月には花粉症対策初期集中対応パッケージが取りまとめられ、必要な予算が経済対策に盛り込まれる見通しとなっている。
エリートツリーは、花粉が少ない特徴に加え、成長にもすぐれることからCO2吸収量の向上や下刈り期間の短縮による再造林費用の低減も図れる。
このため農林水産省では「みどりの食料システム戦略」の中でエリートツリーを2030年までに林業用苗木の3割、2050年までに9割以上を目指す目標が設定されている。
こうした国の政策のもと、同社はこれまでも林野庁および都道府県と歩調を合わせ、2030年度中に1000万本/年のエリートツリー苗生産体制構築を目標とする取り組みを進めてきた。
林業種苗法に基づくスギ種苗配布区域である国内7区域のうち、同社はこれまでに秋田県(一区)、静岡県(三区)、鳥取県・広島県北部(四区)、広島県南部(五区)、熊本県・大分県(六区)で認定を受けて採種園・採穂園を開設(秋田県では11月中旬に開設予定)し、地元の山林種苗協同組合員や新規生産者との協業により、エリートツリー苗の生産体制を整備している。
協業先との連携をよりいっそう強化して普及拡大を加速するため、このたびエリートツリー推進室を新設し、苗の販売を担当する日本製紙木材、日本紙通商とともに苗生産事業の推進体制強化を図る。
また、同社はこれまでに培ってきた樹木に関する技術を結集させた苗を「スゴイ苗」シリーズとしてブランド化する。
今後もエリートツリーの「スゴイ苗」を中心にグループを挙げて事業を展開していく。