セイコーエプソン㈱(本社・長野県諏訪市、小川恭範社長)は、11月30日からアラブ首長国連邦・ドバイで開催される「第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(以下、COP28)」を前に、気候変動に対する世界的な関心度をより深く理解するために、39の国と地域で3万人超を対象にして意識調査を行った。
また今回は、1995年の第1回COP開催以降に生まれた若い世代(以下、COP世代)にも焦点を当て、比較考察している。
その意識調査の結果によると、多くの人々が重要な問題として気候変動を挙げており、気候変動に対して企業が行うべき取り組みとして環境技術への投資が重要な手段であるとみなされていることが明らかになった。
同社の小川社長は「気候変動による影響が深刻化する中で、我々はこれまで以上に取り組みと姿勢を再考する必要がある。この意識調査を通じて、COP世代も気候変動に対する関心を持っていることがわかった。持続可能でこころ豊かな社会を実現するためにも当社は、創業以来培ってきた『省・小・精の技術』を通じて環境を含めた社会課題の解決を目指していく。たとえば、乾式オフィス製紙機“PaperLab”と、低消費電力・省資源化を実現するインクジェットプリンターを導入することで、脱炭素社会に向けたオフィスの実現を後押しする。また、循環型経済の牽引に向けて、ドライファイバーテクノロジーによって廃棄された衣服の再生を行い、デジタル捺染技術でデザイナーの創造性を広げる取り組みも行っている。若い世代の未来に向け、さまざまなパートナーとともに知恵を出しながら、テクノロジーの開発や研究をさらに進めていく」と述べている。
調査結果の概要は、次のとおり。
【COP世代「災害を回避できると思う」が約半数】
今後の気候変動に対する取り組みにおいては、若い世代の意識と行動変容を知る必要があると考え、同社はCOP世代(29歳以下)の意識と行動にも焦点を当てた。
「あなたが生きているうちに気候変動による災害を回避できると思いますか?」という質問に対し、地域差はあるものの、COP世代は49%、非COP世代(30歳以上)では46%が「災害を回避できると思う」と答えた。
年代別では、45~54歳と55歳以上ではそれぞれ42%、32%という回答結果だった。
【COP世代の意識と行動変容】
「世界が直面している喫緊の課題は何だと思いますか?」という質問に対しては、COP世代は「物価の高騰」の回答率が51%で1位に挙げられ、次いで「気候変動」(47%)、「貧困」(35%)だった。
それに対し、非COP世代では「気候変動」が58%、次いで「物価の高騰」が54%、「貧困」が37%だった。
また、「気候変動に対してすでにどのような行動を起こしていますか?」という質問に対しては、COP世代はさまざまな取り組みをすでに行っているものの、非COP世代と比較すると14種類の行動項目のうち9項目において行動を起こしている率が若干下回る結果だった。(再利用できる商品やモノを選ぶ:COP世代60%/非COP世代71%、徒歩や自転車利用の頻度を増やす:COP世代55%/非COP世代60%、リサイクルの習慣を改善する:COP世代54%/非COP世代65%)
【解決策としてのテクノロジー】
この意識調査の回答者は気候変動との闘いにおいて、テクノロジーが重要な取り組みであると答えている。
「気候変動に対し、企業ができるもっとも重要な取り組みは何だと思いますか?」という質問に対して、48%が「環境技術への投資」を挙げており、これと僅差で「製品のリサイクルと再利用の改善」(45%)、続いて「資源使用量の削減」(28%)、「従業員の環境活動への参加奨励」(21%)、「炭素・プラスチックのオフセット」(21%)が選択された。