2023年08月24日

 著作権の権利団体である日本雑誌協会、日本写真著作権協会、日本書籍出版協会、日本新聞協会の4団体は8月17日、「生成AIに関する共同声明」を発表した。

 

 「現在の生成AIは、AIに学習させる大量の著作物データなしには機能しない。多くの場合、これらのデータはネット上のクローリングにより著作権者の同意取得や対価の支払いなしに収集され、その解析結果に基づきコンテンツが生成されている」と著作権者の権利が侵害されるリスクを懸念している。生成AIが社会の様々な場面で利便性を向上させる技術として期待される一方で、偽情報の拡散や個人情報の漏洩を招く恐れ、著作権者の権利侵害の懸念があるとして、政府当局との意見交換の場を求めている。

 
 共同声明は要旨次のとおり。
 

 

 近時、生成AIが注目を集めている。社会の様々な場面で利便性を向上させる技術として期待される一方で、偽情報の拡散や個人情報の漏洩を招く恐れがあるほか、著作権者の権利が侵害されるリスクが強く懸念されている。私たちは、生成AIと著作権の保護に関する検討が不十分な現状を大いに危惧している。

 
 現在の生成AIは、AIに学習させる大量の著作物データなしには機能しない。多くの場合、これらのデータはネット上のクローリングにより著作権者の同意取得や対価の支払いなしに収集され、その解析結果に基づきコンテンツが生成されている。日本の著作権法第30条の4(注)は諸外国に比べ、AI学習に極めて有利に作られていることは大きな課題である。同条のただし書きでは「著作権者の利益を不当に害する」場合は学習利用できないとされているが、その解釈は明確でなく、また海賊版の学習利用も禁止されていない。権利侵害コンテンツが大量に流通する恐れがあるにもかかわらず、著作権者に対する実効的な救済策は何ら示されていない。

 
 このため、以下のような事態が生じて、著作権法が目的とする文化の発展を阻害する恐れがある。

 
 ▽学習利用の価値が著作権者に還元されないまま大量のコンテンツが生成されることで、創作機会が失われ、経済的にも著作活動が困難になる。
 ▽海賊版をはじめとする違法コンテンツを利用した、非倫理的なAIの開発・生成が行われる。
 ▽元の作品への依拠性・類似性が高い著作権侵害コンテンツが生成・拡散される。AI利用者自身が意図せず権利侵害という違法行為を行う可能性がある。

 
 著作権法第30条の4は2018年の改正でつくられたが、当時、生成AIのような高度なAIの負の影響が十分に想定されていたわけではなかった。
 第30条の4ただし書きの解釈を明確にし、著作権法改正の必要性を見極める必要がある。

 
 また、創作活動で生成AIを活用するにも責任が伴う。生成物に権利侵害リスクがあるままでは、安心して生成AIを補助的に活用することもできない。

 
 生成AIが文化の発展を阻害しないよう、技術の進化に合わせた著作権保護策があらためて検討されるべきであると考える。

 
 私たち権利者団体と関係当局の間で意見交換を行う場が設けられることを望む。

 

 

 【注】著作権が制限される場合(著作物が自由に使える場合)
著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用
第30条の4 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
1 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
2 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第47条の5第1項第2号において同じ)の用に供する場合
3 前2号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く)に供する場合

 

 

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