2015年07月25日

出版関連業者の総売上高は5年間で1兆2500億円消失し、大手と中小で出版社の収益状況は2極化している。電子書籍の台頭や、活字離れが騒がれるなか、出版業界を取り巻く環境は大きく変化している。大手企業は、こうした変化をビジネスチャンスと捉えデジタルコンテンツの充実を図るなど対策を立てている一方、大半の出版業者は厳しい経営環境を強いられており、老舗出版業者の倒産も散見される。また、2015年6月には準大手の出版取次業者である栗田出版販売が民事再生法の適用を申請。同社の倒産により、旧来の書籍流通モデルの限界を指摘する声も聞かれる――。

 

帝国データバンクは、企業概要ファイル「COSMOS2」(収録件数146万社)から出版社、出版取次業者、書店経営業者を抽出。2013年度と5年前の2008年度の売上高や損益状況などについて分析し、7月23日に「出版関連業者の経営動向調査」として結果を発表した。

 

同調査によると、2013年度における出版業界全体の総売上高は約5兆0997億3500万円となり、5年前の2008年度比(総売上高約6兆3495億7500万円)で19.7%減少。金額にして約1兆2500億円減少している
出版関連業者の数は2672社(2013年度)となり、2008年度比で17.6%(569件)減少した。
2013年度において、黒字が確認できた出版関連業者の比率は35.6%。業態別に5年前と比べると、「出版取次業者」(2008年度41.5%、2013年度34.8%)が6.7ポイント減少しており、次いで「書店経営業者」(5.3ポイント減)、「出版社」(2.9ポイント減)の順となった。
年商規模別に見ると、「50億円以上」(減益企業比率43.1%)、「10億~50億円未満」(同53.0%)、「10億円未満」(同58.5%)の順に減益企業比率が高まっており、年商規模が縮小するにつれ、利益確保が困難になっている。

 

総売上高の推移
総売上高の推移を見ると、2013年度における出版業界全体の総売上高は約5兆0997億3500万円となり、5年前の2008年度比(総売上高約6兆3495億7500万円)で19.7%減少している。
業態別に見ると、減少率が最も高かったのは「出版社」(2008年度総売上高約2兆5920億8900万円、2013年度総売上高約1兆9616億9500万円)の24.3%。次いで「書店経営業者」(減少率18.3%)、「出版取次業者」(同 15.1%)となった。
書籍の販売不振により、出版社をはじめとするすべての業態で、総売上高が減少していた。

 

業者数の推移
業者数の推移を見ると、2013年度における出版関連業者の数は2672社となり、2008年度比で17.6%(569社)減少した。
業態別に見ると、最も減少率が高かったのは、「書店経営業者」(2008年度1115社、2013年度855社)の23.3%。次いで、「出版社」(減少率17.8%)、「出版取次業者」(同 5.3%)となった。出版業界の厳しい経営状況を背景として、業者数も減少している。

 

黒字企業の比率
2013年度において、黒字が確認できた出版関連業者の比率は35.6%となった。2008年度は39.8%であったため、同年度比4.2ポイント減となっており、業界全体で黒字判明企業が減少している。
また、業態別に見ると、最も悪化が著しかったのは「出版取次業者」の6.7ポイント減。次いで「書店経営業者」(5.3ポイント減)、「出版社」(2.9 ポイント減)となった。
黒字企業の構成比は減少基調で推移しており、今後のさらなる収益悪化が懸念される。

 

損益状況
2008年度と2013年度で利益比較が可能な企業(1327社)を見ると、増益となった企業の割合(増益企業比率)は44.0%となった一方、減益となった企業の割合(減益企業比率)は56.0%であることが判明した。年商規模別に見ると、「50億円以上」(減益企業比率43.1%)、「10億~50億円未満」(同53.0%)、「10億円未満」(同58.5%)の順に減益企業比率が上がっており、年商規模が小さくなるにつれ、利益確保が困難であるようすがうかがえる。また、業態別に見ると、商流の川上である「出版社」は増益企業比率が46.6%であるのに対し、「出版取次業者」(増益企業比率44.9%)、「書店経営業者」(同38.8%)の順に増益企業比率が下がっている。

 

 

「出版関連業者の経営動向調査」はこう結果をまとめている。

 
出版関連業者の総売上高は5年前と比べ約1兆2500億円減少しているほか、業者数も569社減少している。また、損益状況においては、大手出版社が社有不動産の売却や不採算部門の見直しなどリストラを図ることで収益性が高まっている一方で、大半の出版業者は収益確保が困難な状況に追い込まれている。
2013年度以降は、慢性的な業界不振が続くなか、2014年4月に消費税が8%に引き上げられ、雑誌・書籍の販売不振に拍車をかけた。特に週刊誌など雑誌のジャンルでは増税以降販売部数が1割以上減少するコンテンツも散見され、各社ともに苦戦している。また、今年6月には準大手の出版取次業者である栗田出版販売が民事再生法の適用を申請したことで、書籍流通の業界構造も大きく変化する可能性がある。2013年度における出版関連業者の倒産件数は42件であったが、2014年度は72件まで増加したという数値が表すとおり、今後も出版業界は厳しい業界環境が続くことが予想される。

 

 

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