2023年07月05日

凸版印刷とケアネットのグループ会社で医療ビッグデータの分析により健康・医療に関わる課題解決に取り組むヘルスケアコンサルティング(HCC)は2022年6月に業務提携を締結し、電子カルテデータに関する解析研究プロジェクトを共同で推進している。

 

このほど、その成果として電子カルテデータを用いて膵がん早期診断の一助となる予測因子を解析した論文を2023年5月末日に共同発表した。次世代医療基盤法で、認定匿名加工医療情報作成事業者である、日本医師会医療情報管理機構(J-MIMO)が保持する医療ビッグデータの臨床的意味を解析した初めての論文である。

 

また、凸版印刷とHCCは共同で、製薬会社向けの電子カルテデータを用いた解析・レポートサービスの提供を2023年7月から開始する。今後も、高品質かつ効率的な研究開発を支援するサービスの展開により、健康寿命の延伸と持続可能な社会の実現に貢献していく。

 

アンメット・メディカル・ニーズ(まだ治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ)を満たす新薬開発を加速するためにはあらゆる疾患領域における治療実態の正確な把握が必要であり、そのためにもアウトカムと言われる治療や投薬の効果に基づく分析が重要である。しかしながらニーズの顕在化および治療実態の把握においては、大規模な臨床研究ではコストや時間、単一施設による小規模な臨床研究ではデータのバイアス、また、希少疾患の場合は十分なデータ数が集まらないなどの課題がある。

 

そのような課題に対し、RWD(Real World Data)解析の利活用が注目されているが、従来のレセプトデータ解析では、原則的には月単位の情報しか取得できず日単位の情報は完全ではない。また、取得できる情報は主に診療報酬に関するものであり、臨床検査値などの定量的なアウトカムを解析することは困難である。一方で電子カルテデータベースは、診療イベントごとに診断、治療に関する情報を記録したデータベースであり、使用薬剤に加え、多くの臨床検査項目・検査値などの定量的な情報が取得可能であり、上記課題を克服できる可能性を秘めている。

 

そこで、J-MIMO匿名加工医療情報提供審査委員会の審査を受け、医学研究等への利用可能性探索を行う中で、電子カルテデータベースを用いた分析としてどのようなことができるか、早期診断が難しいとされている膵がんを取り上げ、診断の一助となる示唆の探索研究を実施した。

 

凸版印刷は、2023年5月に発表した新中期経営計画(2023年4月~2026年3月)において「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、新事業分野ではヘルスケア事業を注力テーマの1つに掲げている。中でもDXによる新たな取り組みとしてヘルスビッグデータ領域においてカルテデータをベースとした分析サービスを核に事業を推進している。今回の論文発表と、電子カルテデータを用いた解析・レポートサービスの提供により、ヘルスケア事業のさらなる推進を図る。

 

同論文は、膵がんの早期診断の予測因子を機械学習モデル(ニューラルネットワーク)を用いて探索的に抽出することを目的として実施された。凸版印刷が提供する医療情報提供サービス「DATuM IDEA」の電子カルテデータベースのデータを使用し、膵がんの診断に影響を与える比較的重要な変数を抽出したうえで、膵がんの危険因子であるかどうかを評価した。結論としては、急性扁桃炎、Ⅰ型インスリン依存性糖尿病、女性生殖器がんおよびその他の呼吸器疾患などが関連要因として検出された。ただし、これらの予測因子の臨床応用可能性は、今後の研究で検証される必要がある。

 

○ 次世代医療基盤法 正式名「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」は、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関し、匿名加工医療情報作成事業を行う者の認定、医療情報及び匿名加工医療情報等の取扱いに関する規制等を定めている。

○ 「DATuM IDEA」 次世代医療基盤法認定事業者との連携により収集された電⼦カルテデータを中心とした医療現場由来のリアルワールドデータを提供する凸版印刷の医療情報提供サービス。
「DATuM IDEA」:https://datumidea.jp

 

 

 

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