電通が2月24日発表した「日本の広告費」によると、22年の国内広告費は、社会のデジタル化を背景とする「インターネット広告費」の成長に市場全体が支えられ、前年比4・4%増の7兆1021億円となった。リーマンショック前の07年以来15年ぶりに過去最高を更新した。
▼ネット広告費は、14・3%増の3兆0912億円。2兆円を超えた19年からわずか3年で約1兆円増加した。インストリーム広告を中心とした動画広告需要は前年に続き高まっており、デジタルプロモーションの拡大も市場の成長に寄与した。マスコミ四媒体広告費は2・3%減の2兆3985億円だった。21年にネットに抜かれており、その差が拡大した。新聞は3・1%減の3697億円、雑誌は6・9%減の1140億円、テレビは2・0%減の1兆8019億円だった。ラジオは2・1%増の1129億円。
▼プロモーションメディア広告費のうち、折込は0・8%増の2652億円だった。巣ごもり・在宅需要を後押しする媒体として引き続き活用され、9月までは前年を上回る水準で推移した。10月以降は電気代や紙代をはじめとするエネルギーや原材料などの経費高騰により販促活動が減少し、低調となったものの、通年では前年を上回った。業種別ではスーパーやホームセンター、家電量販店を含む流通・小売が増加。サービス業は前年に続き買い取り業者が好調だった。旅行・ホテルも大幅に回復。メーカーは前年に続き通信販売が好調で大きく増加。
DMは1・9%減の3381億円。個人用の在宅向けや、BtoB営業目的のオフィス向けなどの広告需要が一巡し、減少した。外出自粛の緩和に伴い、観光・旅行などの交通・レジャー関連や、通信販売、金融・保険などが増加。データマーケティングを活用したパーソナライズDMやデジタル施策と連動したDMが多い。無宛名便DMは、公告や各種告知物などを中心に、ネット広告やマスメディアなど他のメディアではカバーしきれない層へのアプローチ手段として活用が進んだ。
▼「日本の広告費」市場には含まれない「その他、広告関連市場」の「商業印刷」は0・3%減の1兆7750億円。ポスター・チラシ・パンフレットの印刷市場は、0・5%減の1兆0650億円とわずかに減少。用紙・インク・版など原材料費やエネルギー関連コストの高騰により、価格転嫁を実施したものの、ロットの減少やサイズダウン、実施回数減の影響を受け広告費も減少した。「ポスティング」は8・1%増の1387億円。前年に続き新型コロナの影響や代替媒体などで全戸配布の社会的需要が継続した。官公庁・自治体関連の配布物や公告などの引き合いは継続した。主要都市圏を中心に地域の求人情報、グルメ・飲食、塾・教育、住宅・不動産、宅配などが増加した。「DM制作関連」は3・0%増の1103億円。対人営業の代替手段やリモート営業の販促ツールとしてDMが活用され、企画制作作業が前年より増加した。データマーケティングをはじめとした作業運用費も増加した。
(『印刷界』2023年3月号から)