2023年02月08日

日本アグフア・ゲバルト㈱(本社・東京都品川区、岡本勝弘社長)は「page2023」会期初日の2月1日、同会場に隣接する東京・豊島のサンシャインシティコンベンションセンターで「第38回アグフアユーザー会」を開催した。

多くの参加者が視聴した今回のユーザー会は、①同社経営企画室の高坂哲也氏による「ANTWERP CONNECT2023」を演題としたセミナー、②やさしいビジネススクールの中川功一学長による「データと理論で確認する、現代日本での高成長企業の作り方“PRIMAL”」を演題としたセミナー、③㈱共進ペイパー&パッケージ(本社・兵庫県神戸市中央区元町通6の1の6)の鍛治川和広社長による「共進ペイパー&パッケージにおける『オフセットの逆襲』」を演題としたセミナー、④「スブリマプラス印刷コンテスト2022-2023」表彰式--の4部構成で行われた。

 

西川会長

西川会長

会の冒頭、あいさつに立った同会の西川誠一会長(㈱ニシカワ・社長)は、「このユーザー会は2002年に、PDFワークフローシステムの“アポジー”を使っているユーザーが集まり、共通の経営課題を話し合うという目的で発足した。そして4年前、ワークフローシステムだけではなく、アグフア製品全体に層を広げるとともに、会の名称も現在の“アグフアユーザー会”と改め、これまでは接点があまりなかった大判プリントやパッケージ業界のみなさんとも交流を持つことができるようになった。そして今、ロシアによるウクライナ侵攻やコロナ禍によるさまざまな影響から、相変わらず厳しい状況が続き、みなさんいろいろと苦労されていることと思う。だからこそここで、我々がこれからも世の中から必要とされるような提案、そして印刷物の良さを発信することが求められている。本日の各講演はそのためのヒントになるものだと思う。せっかく縁あって席をともにしているので、設立当社からのこの会の主旨でもある、共通の話題をとおした意見交換や課題に対する解答の模索、共同でなにかを展開するマインドの醸成などに役立ててもらいたい」と会の開催意義を述べた。

 

岡本社長

岡本社長

続いて同社の岡本社長が、昨年8月にアグフア・ゲバルトグループがオフセット・ソリューションズ事業をドイツの投資グループ・AURELIUS(アウレリウス)に譲渡するという発表を受け、その件について説明した。「ユーザーのみなさまからも多くの問い合わせをいただいたので、この場を借りて説明をしたい。アウレリウスグループはドイツ・ミュンヘンに本社を置き、約3600億円の売上をもつ会社となる。アグフアグループ全体の売上が約2500億円となるので、アグフアよりも大きな会社が株主となった。アグフアグループには3つの事業部門があり、オフセット事業は売上の約50%を占めている。そのオフセット事業部門だけ、株主が変更になる。これにともない、4~5月頃にアグフアというブランドから新たなブランドへ名称変更を予定している。ただ、このオフセット事業の本社経営陣、そして我々の日本アグフアも体制に変更はなく、これまで同様の経営を行っていく。アズーラやアポジーといった製品ブランドにも変更はない。アグフアは150年以上の歴史がある会社で、良い企業文化がある。その良い部分はこれからもしっかりと継承していき、そして新たなグループの新しい文化も採り入れ、新たなブランドとして展開していく。また、このアグフアユーザー会やスブリマコンテストについては、名称は変えることになるが、運営は継続して行っていくので、これからも支援と積極的な参加をお願いしたい」と述べた。

 

現代における高成長企業の作り方をわかりやすく解説

 

セミナーの1つ、やさしいビジネススクールの中川学長による「データと理論で確認する、現代日本での高成長企業の作り方“PRIMAL”」を演題としたセミナーでは、コロナ禍においても成長している企業の特徴や共通項を見定め、その取り組みを行っていくための方法や考え方などについて解説した。

まず中川氏は、コロナ禍において成長している企業の特徴を6つ挙げ、その頭文字が演題タイトルの「PRIMAL」になると紹介した。その6つとは、▽成果にコミットメントする報酬体系、▽現場へのエンパワーメント、▽現場でのイノベーション実現率、▽チームワークを高める横のコミュニケーション、▽技能的多様性、▽従業員の精神的レジリエンス--となる。

その前提として、日本企業では会社の利益・売上・費用にコミットして働いてもらうという原点理解が弱いと指摘した。たとえば1つの商品が作る売上とは、お客様はその商品にはその金額に見合った価値・必要性があると思うから買うわけであり、売れたということはお客様の役に立ったということになる。その金額分だけ社会の役に立っているということなので、売上とはどれほどの幸せや社会貢献を、どれだけ多くの人に届けられたのかという証であり、売上を稼ぐことは気高き行為であると説明した。

一方、費用の1つである人件費というのは、人生における貴重な時間や労力への対価となるものなので、これも気高くて尊厳のある数値となる。売上をあげる、すなわち社会貢献をしている人というのは社会の中の大切な資源であり、それを使わせてもらっている以上、しっかりとその対価をまっとうに支払わなければならない。そして、その責務を果たした上で残った部分が利益となる。地球上の価値あるもの・人を消費し、それ以上に価値あるもの・商品に変えて届ける。そして、会社に貢献した人を正当に評価して按分する。この原則から目を逸らしてしまうと、会社の軸がズレてしまって健全な企業経営ができなくなるので、従業員全員でこの原則を誤解なく共有することが大事になると総論を説き、各論の説明へと移った。

 

デジタル印刷機からオフセット印刷機へ入れ替えの背景を語る

200通しの小ロットにも対応するオフセット印刷の技術進化に評価

 

もうひとつの講演となる共進ペイパー&パッケージの鍛治川社長による「共進ペイパー&パッケージにおける『オフセットの逆襲』」を演題としたセミナーでは、パッケージ印刷に特化した印刷通販事業「ハコプレ」を展開する上で、小ロットのパッケージ印刷を効率良く製作するためにデジタル印刷機を活用してきた同社が、B1判デジタル印刷機から枚葉オフセット印刷機へと置き換えをした背景や、デジタル印刷機を凌駕するオフセット印刷機の小ロット対応力について説明した。

鍛治川社長

鍛治川社長

共進ペイパー&パッケージでは、段ボール事業、印刷紙器事業、ハコプレ事業の3つを事業の柱としている。そのうちの1つとなるハコプレ事業では、デジタル印刷技術を活かして、オリジナルパッケージを小ロット・短納期で製造・納品する印刷オンラインサービス「ハコプレ(Hacoplay)」を展開し、これまでにはなかったパッケージの印刷通販という革新的なサービスを確立させている。この事業を強化する目的で2019年11月に、ハイデルベルグ社製のB1判インクジェットデジタル印刷機「プライムファイア106」を導入したものの、その後の2020年、ハイデルベルグ社が「プライムファイア106」の生産終了を決めた。また、共進ペイパー&パッケージの印刷紙器事業では元々、枚葉オフセット印刷機が主力生産機となっており、この事業の競争力強化・効率化を図るための投資も検討していたことから、デジタル印刷機「プライムファイア106」から枚葉オフセット印刷機への入れ替えについて検討した。

結果的として共進ペイパー&パッケージは、菊全寸延び判7色コーター付の枚葉オフセット印刷機を核とした包括的な一連のシステムを導入する。その決断をした大きな理由として、導入前のテストにおいて150通しの小ロットジョブを1時間で24種類もこなせたことにある。1時間で150枚を24種類ということは、合計で3600枚を印刷することになり、これだけの生産性をB1判デジタル印刷機では実現できない。これにより共進ペイパー&パッケージでは、枚葉オフセット印刷機の活用範囲となるロットの下限を200枚にまで減少させることに成功し、それより少ないロットのジョブについては大判インクジェット機を活用することでまかなっている。また、デジタル印刷機ならではの広い色域についても、枚葉オフセット印刷機で固定7色インキによる再現で代替できている。

共進ペイパー&パッケージではこの枚葉オフセット印刷機の導入を機に、環境対応や印刷品質などを勘案し、アグフア製の高耐刷性・UV印刷適性を持ったガム洗浄方式の現像レスプレート「アダマス」を採用した。そして、この枚葉オフセット印刷機を活用した、本機校正⇒本生産の印刷会社向け厚紙印刷通販ビジネス「Imprenta」などの新規展開も目指している。

 

 

 

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