2022年12月04日

DXとは何か。改めて問われると明確な回答はなかなか難しいのではないだろうか。
DXは、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念で、「テクノロジーの進化(ITとリアルの融合)が、人びとの生活を、より良く、より豊かにしていく」ことを指すようだ。これを土台に、識者や機関がさまざまに定義している。経済産業省によると「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」を指す。
 

▼ドリーム・アーツが大企業のDXに対する認識や取り組みの把握を目的に実施した調べによると、「あなたはDXとデジタル化の違いについて説明できますか」という問いでは、全体の約73%もの回答者が「説明できない、わからない/どちらかというと説明できない」と応えている。しかし、職位別では、上位になればなるほど説明できる回答者の割合が増える。「パソコンを使えずデジタルに否定的な経営層」のイメージはすでになく、むしろ上層部ほどデジタルを理解しようとしている。ところが、デジタルを使った改革となると、上層部の危機感が社内に共有されていない。
 

▼回答を見ると、①「デジタル化が業務の効率化を目指すものに対し、DXは変革を目指すもの」②「DXの目的は競争力の強化、デジタル化の目的は業務効率化」。①は“模範解答”で、②はそれをわかりやすく説明したもの。③「DXはデジタル化を活用した次のビジネスの創出や生産性の向上、デジタル化は単なるツール」。DXは、ツールで実現=標準化できる領域ではなく、「デジタルの本質を理解した上で、デジタルをうまく使ってビジネスを変革する」という見識だ。④「DXはデジタル化によるビジネス変革をねらう」⑤「DXの中にデジタル化が含まれる」。
デジタル化の延長線上にDXをとらえる意見は多い。その代表例が④と⑤に見られる。デジタル化とDXに明確な線引きをせず、「DXを実現するために、デジタル化は土台として必要だ」という考え方になる。新しい社会では、業務が変わってしまうから、「何をもって生産性と呼ぶのか」という問題もある。業務、組織、プロセス、企業文化・風土のすべてを改革することになれば、デジタル化は不可欠になる。
 

▼デジタル化とDXの違いは明らかで、DXは、デジタル化した社会に最適化したビジネスモデルを備えるための破壊的変革であり、デジタル・トランスフォーメーションではなく、デジタル・ディスラプションと呼ぶほうが適切だとも指摘されている。DXとデジタル化の違いは「X」=「トランスフォーメーション」だ。「デジタル」はあくまで手段。一番の目的は「トランスフォーメーション」=「変容・変態」である。デジタライゼーションを積み上げたところでトランスフォーメーションにはつながらない。
 

(「印刷界」2022年12月号から)

 

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