2022年11月01日

印刷白書2022

印刷白書2022


 
日本印刷技術協会の『印刷白書2022』が10月末に届いた。塚田司郎会長は「SDGs、DXが叫ばれる時代にあって、クライアントも印刷物の価値や必要性を見直している。ますます小ロット化が進むと思われる状況において、さまざまに注文を増やす戦略をとらないと、収益性の確保は難しくなっていくだろう。印刷業界に必要なのは造注・創注である」旨述べ、具体的にどのような戦略、手法をとるべきか、どこに着目すれば指針となるのかなど、各テーマに沿って事例を交えて考察を行ったと白書を紹介する。また、積極的に業態を転換させる努力をしている企業もある一方で、そうでない企業もあって、後者の場合は変化し続ける現代社会のニーズに適合できずにやがて業界周辺の限界的存在となって融資も滞ることが予想され、業界の再編がさらに進むのかもしれない、と懸念する。

 
▼本文を開くと第1章キーノートのタイトルが「いま印刷業界に必要なのは『創注』」。駆け足で辿ってみよう――
最近の広告代理店の営業担当者は、銀座で接待することを覚える前にITの勉強をする人が増えて、知識レベルは相当上がった。旧態依然としているのは印刷会社の営業担当者のほうで、いまだにゴルフの話ばかりだ。この話を持ち出したのは、「印刷発注者は何を望んでいるのか」ということが大事だからだ。商業印刷物には直接的な効果を望むだろう。つまり商品の売上アップやブランド(企業)イメージの向上だ。印刷会社が印刷発注者の希望を叶えることができれば、それに越したことはない。マーケティングサポート会社の仕事を印刷会社ができてしまえば、これほどスッキリすることはない。これから小ロット化が加速度的に進むと思われる。大量印刷時代と同等の売上高を稼ぐのは難しく、印刷物の製作だけではビジネスの縮小を招くことになるだろう。
 

▼大事なことは、付き合うと「メリットがある」のだと発注者に思ってもらうことだ。そのためにマーケティング知識だけは経営者や営業担当者は勉強しておかなければならない。マーケティングが「創注」のために必要なのは言うまでもないが、商業印刷でいえばその真の目的は「印刷物を製作すること」ではなく「印刷物で印刷発注者の売上を上げること」である。

 
▼デジタルマーケティングでは、データに基づいてIT施策や戦術を考案するため、もしくは経営者に助言するために、「データサイエンティスト」が必要になる。統計解析やITのスキルに加えて、ビジネスや市場トレンドに関する幅広い知識が求められる。今後、商業印刷分野で、社内にそうした人間が必要である。マーケティングは「創注」のために必要だが、そうした人間は「創注」に限らず、幅広い分野で役に立つ。データサイエンティストが中心になり、デジタル印刷を活用して「創注」を目指し、周辺ビジネス(BPO)とともに印刷物のマーケティング的付加価値を高めることが求められる。マーケティングサポート会社や広告代理店の補助的役割を果たすことから始めるのが現実的である。


 
(「印刷界」2022年11月号から)

 
 


 
 

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