2022年05月31日

東京商工リサーチの調べによると、ピークの1968年に1万7999軒を数えた銭湯の減少が続き、91年に1万軒、2006年には5千軒を割り、22年は1865軒となった。ピークから1万6134軒も減少(89・6%減)した。53年連続の減少でピーク時の10分の1となった。
ただ、ここにきて燃料価格や固定経費が上昇し、廃業がさらに加速することが懸念されている。高度経済成長で風呂が各戸に設置された団地や住宅が爆発的に増えると、次第に客数は減少。さらに常連客の高齢化が進み、高額な設備改修や更新費用もかさんだ。経営者の高齢化も追い打ちをかけ、廃業や転業が増えた。
「新型コロナウイルス」感染拡大も追い打ちをかけている。三密回避の広がりで「入浴客が約2割落ち込んだ」(銭湯関係者)。

 

▼廃業に歯止めがかからない一方で、21年度の銭湯(一般公衆浴場業)の倒産(負債1000万円以上)はわずか1件。新型コロナ関連の資金繰り支援策の効果もあるが、銭湯を運営する事業者の多くは個人経営で、先行きを見越し、体力のあるうちに廃業や転業の苦渋の選択をしているようだという。
また、事業者の多くは不動産を所有しており、銭湯の資産を活用して不動産賃貸業などへ転業するケースも多いようだ。
銭湯の過去20年間の倒産は、2006年と07年の9件がピーク。

 

▼円安やロシアのウクライナ侵攻の影響で燃料の重油やガスなどが高騰している。銭湯は入浴客数に関係なく、一定の固定費が掛かる。この経費が燃料高騰などで上昇し、銭湯の経営を圧迫している。
銭湯の主な収入(売上高)は入浴料だ。入浴料は銭湯業者が独自で決められず、各都道府県が金額の上限額を決めている。入浴料の最高は大阪府と神奈川県の490円(注:東京480円)。最低は佐賀県の280円(22年4月22日現在)。一方、スーパー銭湯などは各事業者が自由に利用料金を決定できる。
銭湯の入浴料は、審議会などの議論を経て決定されるため時間がかかる。現在のように燃料高騰が急速に進むと、入浴料と燃料費のギャップが拡大し、経営悪化に拍車をかける。また、値上げ幅が大きいと固定客の足が遠のき、入浴客の減少につながりかねない。

 

▼いまのペースで廃業が続くと、32年には全国の銭湯は1000軒を下回る可能性がある。
1982年、銭湯を維持する目的で「公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律」が施行された。第3条は「国及び地方公共団体は、公衆浴場の経営の安定を図る等必要な措置を講ずることにより、住民の公衆浴場の利用の機会の確保に努めなければならない」と定めている。銭湯文化を絶やさないためにも、行政は見守るだけでなく、地域活性化にもつながる役割を担うことが期待されている。

 

(「月刊印刷界」2022年6月号から)

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