2022年03月31日

ウクライナの基幹産業は農業で、耕地面積は日本の全面積ほど。農業国であるフランスの耕地面積の2倍あるといわれる。ヨーロッパやアメリカでは、ロシアとその他ヨーロッパとの間という地政学上枢要な位置にあるウクライナが独立を維持していることは、ヨーロッパ全体の平和と安定のために極めて重要であると考えられている。
 

――ロシアとウクライナとでは、産業構造はどのように異なるのだろうか。東京商工リサーチの調べでは、企業数はロシア350万社以上、ウクライナ150万社以上。両国の売上高の高い主な企業を抽出すると、ロシアは石油精製業や石油製品卸売業など石油関連が目立つ。銀行や証券業も上位に並ぶ。ウクライナは、国家防衛関連機関や保健、衛生関連機関など公的機関とインフラ企業が上位にある。
 

▼売上高トップ千社の売上高合計は、ロシア1兆4957億ドル、ウクライナ2274億ドル。ロシアの2020年の名目GDPは1兆4785億ドル(世界11位)、ウクライナは1553億ドル(同55位)。GDPは10倍近く差が開いているのに対し、売上高合計の開きは6・5倍。ロシアは貿易黒字、ウクライナは貿易赤字であり、こうしたこともGDPとトップ千社売上高の差異に繋がったとみられるという。ロシアの人口は1億4680万人(17年)、ウクライナは4159万人(クリミア除く、21年)で人口規模では3倍以上の開きがある。
 

▼トップ千社を産業別でみると、ロシアは①卸売業241社②製造業179社③運輸・郵便・電気・ガス及び衛生サービス156社④金融・保険及び不動産業121社⑤小売業98社⑥鉱業97社と続く。ウクライナも卸売業が最も多く309社に上り、製造業はロシアとほぼ同数の180社。以下③運輸・郵便・電気・ガス及び衛生サービス157社④サービス業80社と続く。金融・保険及び不動産業は42社にとどまり、ロシアとの違いが浮かび上がる。ロシアの経済規模はウクライナに比べ約10倍の大きさ。鉱業はウクライナ35社に対して、ロシア97社で資源大国ロシアを物語る。輸出入規制はこうした企業への打撃になるが、ロシアに依存する原材料の入手難や価格に跳ね返る。
 

▼産業を細分化した業種別で、両国の売上高トップ千社をみると、両国とも①卸売業(消耗品)(ロ160社、ウ235社)②電気、ガス、水道業(ロ83社、ウ101社)③卸売業(耐久消費財)(ロ81社、ウ74社)の順だった。4番目はロシアが銀行業76社だったのに対し、ウクライナは食料品製造業74社だった。業種別でも、ロシア経済は金融の比重が大きい。5番目以下は、ロシアが⑤原油、ガス鉱業69社⑥その他の小売業44社⑦鉄鋼、非鉄金属製造業39社⑧食料品製造業32社⑨輸送用機械器具製造業29社。ウクライナは⑤総合建築業34社⑥耕種農業32社⑦食品小売業26社⑦証券、商品仲買業26社⑨鉄鋼、非鉄金属製造業23社。今回の調査からも農業が重要な地位にあることがわかる。ウクライナ国家統計局の数字でも20年の主要輸出品目は穀物が約2割を占める。

 

(「月刊印刷界」2022年4月号から)

 

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