2022年02月08日

(左から)リコージャパンの三浦克久PP事業部長、正文舎の岸社長、クイックスの岡本社長、佐川印刷の佐川社長、J SPIRITSの地代所社長、ホリゾンの衣川竜二取締役

(左から)リコージャパンの三浦克久PP事業部長、正文舎の岸社長、クイックスの岡本社長、佐川印刷の佐川社長、J SPIRITSの地代所社長、ホリゾンの衣川竜二取締役

㈱クイックス(本社・愛知県刈谷市、岡本泰社長)、佐川印刷㈱(本社・愛媛県松山市、佐川正純社長)、㈱正文舎(本社・北海道札幌市、岸昌洋社長)の印刷会社3社と、㈱J SPIRITS(本社・東京都千代田区、地代所伸治社長)、㈱ホリゾン(本社・滋賀県高島市、堀英二郎社長)、リコージャパン㈱(本社・東京都港区、坂主智弘社長)の6社が手を組み、受注からデジタル印刷、後加工、配送にいたるまでの工程の自動化構想を打ち出した。

印刷革新会と銘打ったこのグループでは、JDFによって複数メーカーのシステムを統合するシステムを作り上げていく。

このプロジェクトではベンダー側ではなく、3社の印刷会社がワークフロー像を描きつつシステム開発に要する投資についても費用負担をしていき、さらにこれを通して開発・完成したシステムについては各ベンダーが販売展開をしていく。

2月4日、この6社の代表者が東京・港のリコージャパン本社に集まって記者会見を開催し、このかつてない開拓者的プロジェクトの詳細について説明した。

 

印刷会社主導で、印刷会社が費用負担し、実運用できるシステムを開発

完成したシステムは自由に販売できるようにすることで業界の進化・発展に

 

会の冒頭、クイックスの岡本社長がこの構想の概要について説明に立ち、「これまではJDF運用について、それぞれのメーカーごとに方言のようなものがあってひとつのシステムではなかなかうまく動かすことができず、異なるメーカーによる同じ標準言語を使ったJDFがなかったように感じている。では、なぜ今まで標準言語を作ることができなかったのか?それは、JDF運用法や開発を個々のメーカー任せにしていて、実際に使う側であるはずの印刷会社がJDF運用についてしっかりと向き合わず、自社の設備投資戦略の中に位置付けてこなかったからだと思う。そこで今回、我々3社が音頭を取りながら実際に設備投資をして、JDF運用によるデジタル印刷工程の最上流部から最終配送までを自動化するひとつのシステムを作り上げていこうと思う」と狙いを表した。

 

そのシステムとして考えているのが、自動化構造図(右の表)になる。

自動化構想図メーカー3社が持っているものと、印刷会社3社が持っているノウハウとこれから投資していく案件を合わせて1つの形にしていく。

印刷会社3社がそれぞれ得意なところを伸ばし、苦手なところを補完しあいながら、一緒に開発をしてそれぞれがこの理想図に近付いていくことで、結果として制作・受注からデジタル印刷、後加工を経て配送をするまでのプロセスにおいてかかる人員を、自動化することによって極力減らしていく。

また印刷会社3社は、「印刷会社3社とメーカー3社は完全に対等なパートナーとして、開発にかかるコストは印刷会社3社で分担し、できあがったシステムについては販売に条件や制限を設けることはしない。この開発プロセスにおいて完成したものについてはそれぞれのメーカーで自由に販売してもらい、それを通して印刷業界の進化・発展に役立ててもらいたい。さらには、北海道・愛知・愛媛にある我々の工場3ヶ所を、自社のデモンストレーションセンター/ショールームのような感覚で、見学などに活用してもらいたい」とコメントしている。

 

受注からデジタル印刷、後加工、梱包・配送に至るまでの工程を

JDFを活用した1つのパッケージシステムによって統合・自動化

 

具体的なデジタル印刷の自動化システムの構成としては、▽J SPIRITS製のMIS「PRINT SAPIENS」、▽ホリゾン製のクラウドベースの工程管理/製本ワークフローシステム「iCE LiNK」、▽リコー製の印刷ワークフローシステム「RICOH TotalFlow BatchBuilder」とRPA(ロボティク・プロセス・オートメーション)を使った「リコープリンティングROBO」--を連動させたものとなる。

クイックスでは「PRINT SAPIENS」、佐川印刷では「iCE LiNK」、正文舎では「RICOH TotalFlow BatchBuilder」と「リコープリンティングROBO」の運用を得意としていることから、それぞれの印刷会社がシステム構築を通じて得たノウハウを相互補完していく。

 

クイックスではMISについて、生産効率向上や工程の見える化だけにとどまらず、単品損益もできるようにしている。

これにより全社員が正確な数値を把握できて、社員自身で問題発見および解決をするPDCAサイクルを回すことができるようにしており、いわば人材評価・育成ツールとしても役立てている。

今後はさらに踏み込み、社員の計画生産、計画残業、計画有給休暇が組めるようにMISを改善し、働き方改革を大きく進めるためのツールとしても活用していくことを見通している。

 

また佐川印刷では、現段階では製本工程だけの管理にとどまっている「iCE LiNK」について、デジタル印刷機の運用・進捗管理をも包括できるようにする開発をホリゾンに依頼。

デジタル印刷機から後加工までを一体とした管理・見える化を展開していく構えだ。

すでに佐川印刷では、「PRINT SAPIENS」と「iCE LiNK」を連携させて運用をしているが、将来的にはマーケティングオートメーション、ECサイト、セールスフォースオートメーションにも取り組んでいき、工場内だけにとどまらない自動化運営をしていく構想。

「MISをオフセット印刷機と連携するケースでは原価計算・稼働管理に主眼を置いているが、デジタル印刷や後工程の場合は1人がその機械の稼働中につきっきりになるわけではなく複数台を同時に稼働させられるので、1人1人の動き方を捉えることがポイントとなる。それを踏まえて効率的に作業ができるようにすることで、社員を幸せにすることが可能になるのではないかと考えている」と佐川社長は語っている。

 

正文舎では長年にわたりリコー製のデジタル印刷機を採用しており、無人自動運転するデジタル印刷機を核に、断裁・製本や梱包・発送工程に至るまでをデジタルワークフローによる自動化と管理制御を実現したデジタルプリントファクトリーの開設もしている。

製本までの一貫生産する中で、アナログ色の強い製本工程はデジタルの世界とは分断されていたが、ホリゾンのシステムによって入口から出口まで一貫して接続連動できるようになっている。

岸社長は、「これまで当社では、自社開発のMISを使ってきたが、クイックスと佐川印刷の2社の知見や単品損益の考え方を参考にさせてもらい、PRINT SAPIENSへと移行することにした。自動化構想とは人員削減を目的とするものではなく、単純労働から解放された社員が、人にしかできない頭を使う業務、言い換えればその人の特性に合わせたその人にしかできないような業務・工程を担ってもらうことにある。そしてその先には、社員のやりがい向上につながると思う」と語った。

 

 

 

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