2021年05月20日

沖縄県屈指のパッケージ印刷会社である㈱ミヤギパッケージ(本社・沖縄県島尻郡八重瀬町字屋宜原176の1、宮城祥吏社長)が今年4月、本社および工場を新築・移転し、それを機に製函機、断裁機、打ち抜き機などの工場設備も一新した。

このリスタートの目玉となった設備が、リョービMHIグラフィックテクノロジー㈱(本社・広島県府中市、広川勝士社長)の代理店である菱栄機械㈱(本社・千葉県柏市、高木雄二社長)から導入した、厚紙対応の菊全寸のび判6色ニスコーター付UV印刷機「RMGT10 1050LX-6」だ。

この印刷機の能力を核に、コロナ禍にも生き残るためのビジネススタイル変革を目指す。

 

生き残りを賭けて本社・工場を移転

パッケージ製品を作り置きしないことで、在庫のためのスペースを削減して省スペース化

 

同社は、県内の顧客に向けて、パッケージの企画・提案、デザインから印刷、後加工まで一貫して請け負うパッケージメーカー。

売上構成は日用品のパッケージ製作が7割で、土産物・観光用途のパッケージ製作が3割を占めていた。

ところが、このコロナ禍によって沖縄県への観光・来訪者が激減し、土産物・観光用途のパッケージ需要もそれと歩調を合わせて縮小したため、昨年度の売上も約3割減となった。

 

宮城社長

宮城社長

昭和27年に那覇市内で創業した同社にとって、今回が4回目の移転となる。

このたびの移転に関して同社の宮城社長は、「移転することを決めたのは一昨年の夏だったが、その後のコロナ禍で状況が一変したため、生き残りを賭けたかけたものとなる。移転に際してまずは、本社屋、工場、名刺、ユニフォームをデザイン性に富んだおしゃれなものにし、当社のデザイン力とクリエイティビティを顧客のみなさんに感じてもらおうと思った。その上で、本業であるパッケージ製作に磨きをかけるべく一新した、印刷機、打ち抜き機、製函機など、新工場に並ぶ最新鋭機をご覧頂いて、当社のパッケージ製作における総合力に期待して頂きたい」と、その狙いを表した。

 

同社はこれまで、土地4700坪・建物2000坪からなる本社工場を豊見城市に構えていたが、機械設備の数量に対して工場面積がとても広い状態となっていた。

「製造業である以上、土地・建物よりも製品を生み出してくれる機械設備にこそ投資をするべき」(同社・比嘉智志専務)という強い信念に基づいて設計したのが同社・新城工場(沖縄県島尻郡八重瀬町字新城2109)だ。

新本社の社屋

新本社の社屋

床面積600坪の新城工場では、まず効率的で短い動線になるような工場レイアウトを施した。

それに加え、これまでの工場では大きなスペースを要していた顧客のパッケージ製品の在庫について、今後は社内で在庫をしないという方針を採り、そのためのスペースを廃している。

 

この新たなビジネス戦略に基づいた工場設計をした背景について、同社の比嘉専務は「1回で大量に製作すると単価が安くなるという認識から、パッケージ製品を大量に作り置きして分納することを望む顧客が多かったため、当社内で大量の在庫をストックする必要があった。在庫スペースという無駄なコスト要因を改善するため、顧客との契約形態を変え、大量生産でも少量生産でも単価は変わらず、年間生産量に基づいた単価設定をすることにした。すなわち、少量の追加リピート発注にも応えるということだ。顧客にとっては、作り置きのもので納品することと、少量の追加リピート発注で納品することが、コスト面では同じということになる。ただしこれを実現するには、小ロット生産に適応した環境・技術を持つこと、瞬発力のある対応ができること、安定した色再現をすぐにできること、そしてすべてのジョブを内製化することが必須となる。そのための切り札が今回新たに導入した印刷機だ」とその狙いについて語る。

 

分割生産・小ロット印刷を効率的に行うための数々の機能を搭載

表面加工も高品質なインライン処理で行うことで生産の瞬発力が向上

 

同社のビジネススタイル変革の切り札として位置付けられている「RMGT10 1050LX-6」は、菊全寸のび判6色ニスコーター付UV印刷機。

RMGT10 1050LX-6

RMGT10 1050LX-6

同社では4年半前に導入した、菊全判6色ニスコーター付UV印刷機「NewDAIYA306+ニスコーター」が稼働していたが、この印刷機の対応紙厚は0.6㍉までだったため、それ以上の紙厚の仕事については外注せざるを得なかった。

今回、その印刷機と入れ替えで導入した「RMGT10 1050LX-6」は紙厚1㍉に対応する厚紙仕様機を選択し、完全内製化への道筋をつけた。

 

作り置きを排するための分割生産(小ロット印刷)を効率的に行えるよう、「RMGT10 1050LX-6」に全自動同時刷版交換装置「サイマルチェンジャー」を搭載してジョブ替え作業の時間短縮を図っている。

また、印刷物の全数品質検査、濃度追従、自動見当調整を、用紙抜き取りをせずにインラインで行える印刷品質管理システム「PQS-D(I+C+R)」も搭載。

これをフル活用することでジョブ替え時の色調および見当調整の自動化が図れるとともに、調整時間と損紙量の大幅な減少にもつながる。

さらに、印刷後の全数目視検品による時間や労力を省ける上、機械による精度の高い品質検査体制も確立できる。

 

この「RMGT10 1050LX-6」では印刷品質を追求し、6胴の印刷ユニットの後、インキがレベリングしてからUV乾燥させるシリンダーエクステンション胴、そしてタワーコーター、ロングデリバリーと続く構成にした。

これにより光沢性が強くて艶のある仕上がりになることから、これまでは別工程で行っていたプレスコートはやめて、表面加工はすべてこの印刷機でのインライン処理で行うことを可能にしている。

 

これらのさまざまな機能による進化・変革を掛け合わせた結果として、実生産性は従来比3~4割増になると予想。

さらに、販売管理システムを強化してAIによる受注予測をする仕組みも構築する計画にあり、リピートの分割生産にも高い瞬発性で対応できる環境を整えていく方針にある。

 

比嘉専務

比嘉専務

コロナ禍による社会変化や影響の予測が難しいことから同社では、仮に土産物・観光用途のパッケージ需要が今より減ることになったとしても、日用品のパッケージ製作だけで経営していける基盤作りを目指す。

そのためのビジネススタイルの変革であり、そのための印刷機の導入となる。

比嘉専務は、「当社では今後も商業印刷を手掛けることはないので、地域の商業印刷会社のみなさまがパッケージ印刷の仕事でお困りならば、箱の専門業者としてそのサポートを引き受けていきたい。この厳しい経済環境下では地域の印刷会社が連携・協力することが、共存共栄への道になると思う。現在は1シフト体制だが同業のみなさまからの仕事に対応するべく、2シフト体制で生産キャパシティを拡大することも視野に入れている」と、「RMGT10 1050LX-6」を地域印刷業全体のために活用していくことも展望している。

また宮城社長は「紙器を製造して納めるだけでなく、ものづくり・ことづくりを含めた“包むこと”を通して、弊社に関わるみなさまや社会を笑顔にすることを目指す」と語っている。

 

日本印刷新聞 2021年5月24日付掲載【取材・文 小原安貴】

 

 

 

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