2021年03月25日

周知のとおり「2020年(1~12月)日本の総広告費」(電通調べ)は、世界的な新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)拡大の影響による各種イベントや広告販促キャンペーンの延期・中止により、4-6月期を中心に大幅に減少した。7月以降は徐々に回復の兆しを見せ、10-12月期には前年並みに回復したものの、通年で6兆1594億円(前年比88・8%)となり、東日本大震災のあった11年以来、9年ぶりのマイナス成長。リーマン・ショックの影響を受けた09年(同88・5%)に次ぐ下げ幅だった。
 

▼外出・移動の自粛により、巣ごもり需要が活発化、デリバリーやネット通販、オンライン会議やオンラインイベント・セミナー(ウェビナー)、リモートワーク、キャッシュレス決済など、社会におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が一気に加速。それに伴い、インターネット広告費は、通年でプラス成長となった。マスコミ四媒体由来のデジタル広告費も前年に続き2桁成長。デジタル起点の広告販促活動がさらに進化・成長した。一方、プロモーションメディア広告費は、東京2020オリンピック・パラリンピックをはじめ各種イベント・展示会、従来型の広告販促キャンペーンの延期・中止に伴い大幅に減少。折込広告は前年比70・9%。新聞の発行部数減少・折込大判サイズの減少に加え、新型コロナの影響による流通関連の折込自粛が要因となった。DM(ダイレクト・メール)は同90・3%。4月の緊急事態宣言で実施予定案件の延期、中止が相次ぎ、厳しい状況に陥った。特に来店促進タイプの送客型DMは外出自粛の影響も受け、大幅に減少した。
 

▼マスコミ四媒体由来のデジタル広告費は前年に続き2桁成長した。そのうち、ラジオデジタル広告費は前年比110・0%の伸びだった。外出自粛やリモートワークの普及によりradiko(ラジコ)の聴取率が伸びたことでラジオデジタルの運用型広告への注目が集まった。また、従来型のイベントが減った一方で、ラジオとオンラインイベント、ラジオとソーシャルメディアを掛け合わせた施策が増え、それに伴う出稿が増えた。テレビメディアデジタルのうち、「テレビメディア関連動画広告」は同113・3%。中でも「TVer(ティーバー)」は地上波テレビ放送由来のコンテンツ力を背景に、ユーザー数を大きく伸ばしており、テレビ受像機での利用も伸びてきたことが成長に寄与した。
 

▼パソコンやスマートフォン/スマートスピーカーでラジオが無料で聴けるラジコの月間平均利用者数は900万人を超え、1ユーザー当たり1日130分利用しているという。サービス開始は2010年。全国のラジオが聴ける「エリアフリー」機能が14年に、過去一週間の番組が聴ける「タイムフリー」機能が16年に加わり、ラジオの新路を拓いた。民放99局が参加。有料会員(月額385円)になると、放送エリア・時間にとらわれず、日本全国のラジオ局を聴くことができる。「オールドメディア」が旬なメディアとして静かに浮上している。
 

(「月刊印刷界」2021年4月号から)

 

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