2021年03月17日

 3月中に公募開始見込みの「中小企業等事業再構築促進事業」は、中小企業庁が企業の思い切った事業再構築を支援するもので、補助対象経費には、建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)とともに広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)があげられている。自社の事業再構築だけでなく、顧客の事業再構築支援の提案にも活かせる。令和2年度第3次補正予算で1兆1485億円が計上されている。事務局は㈱パソナ(東京都千代田区丸の内1の5の1)。
 

 補助額は最大1億円(補助率3分の2)。公募は1回ではなく、21年度にさらに4回程度実施の予定。初回の公募期間は1カ月程度の見通し。従業員の人件費および従業員の旅費や不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具など)の購入費、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費は補助対象外だ。
 

 現段階で準備可能な事項には次のようなことがある。
 電子申請の準備=申請は全て電子申請で「GビズIDプライムアカウント」が必要になる。同アカウントの発行には2、3週間要する場合がある。事前にIDを取得しておきたい。GビズIDプライムアカウントは、ホームページで必要事項を記載し、必要書類を郵送して作成する。
 
 ○GビズIDhttps://gbiz-id.go.jp/top/
 

 事業計画の策定準備=現在の企業の強み弱み分析、新しい事業の市場分析、優位性の確保に向けた課題設定および解決方法、実施体制、資金計画などの検討。
 認定経営革新等支援機関との相談=必要に応じて、認定経営革新等支援機関に相談する。支援機関は中小企業庁ホームページで確認できる。
 
 ○認定経営革新等支援機関検索システムhttps://ninteishien.force.com/NSK_CertificationArea

 

活用イメージ

 
 次に同事業の活用イメージを見ておこう。
 
 【飲食業】
 喫茶店経営=飲食スペースを縮小し、新たにコーヒー豆や焼き菓子のテイクアウト販売を実施。 居酒屋経営=オンライン専用の注文サービスを新たに開拓し、宅配や持ち帰りの需要に対応。
 レストラン経営=店舗の一部を改修し、新にドライブイン形式での食事のテイクアウト販売を実施。
 弁当販売=新規に高齢者向けの食事宅配事業を開始。地域の高齢化へのニーズに対応。
 【小売業】
 衣服販売業=衣料品のネット販売やサブスクリプション形式のサービス事業に業態を転換。
 ガソリン販売=新規にフィットネスジムの運営を開始。地域の健康増進ニーズに対応。
 【サービス業】
 ヨガ教室=室内での密を回避するため、新たにオンライン形式でのヨガ教室の運営を開始。
 高齢者向けデイサービス=一部事業を他社に譲渡。病院向けの給食、事務などの受託サービスを新規に開始。
 【製造業】
 半導体製造装置部品製造=半導体製造装置の技術を応用した洋上風力設備の部品製造を新たに開始。
 航空機部品製造=ロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立ち上げ。
 伝統工芸品製造=百貨店などでの売上が激減。ECサイト(オンライン上)での販売を開始。
 【運輸業】
 タクシー事業=新たに一般貨物自動車運送事業の許可を取得し、食料などの宅配サービスを開始。
 【食品製造業】
 和菓子製造・販売=和菓子の製造過程で生成される成分を活用し、新たに化粧品の製造・販売を開始。
 【建設業】
 土木造成・造園=自社所有の土地を活用してオートキャンプ場を整備し、観光事業に新規参入。
 【情報処理業】
 画像処理サービス=映像編集向けの画像処理技術を活用し、新たに医療向けの診断サービスを開始。
 

 なお、補助金の審査は事業計画を基に行われる。採択されるためには、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要になる。
 事業計画に含めるべきポイントは次のようなものだ。
 ▽現在の企業の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性
 ▽事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事など)
 ▽事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法
 ▽実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)
 具体的な審査項目は公募要領に掲載される予定。事業化に向けた計画の妥当性、再構築の必要性、地域経済への貢献、イノベーションの促進などが審査項目となる可能性がある。
 

【要件】

 
次のすべての要件を満たすことが必要になる。
1、申請前の直近6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等。
2.事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等。
3.補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3・0%(一部5・0%)以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3・0%(同)以上増加の達成。
 

【補助額】

 
中小企業(範囲は中小企業基本法と同様)の場合:「通常枠」で補助額100万円~6000万円(補助率3分の2)。「卒業枠」では補助額6000万円超~1億円(同3分の2)。
「卒業枠」は400社限定。事業計画期間内に、①組織再編②新規設備投資③グローバル展開のいずれかにより、資本金または従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠。
 

中堅企業の場合:「通常枠」で補助額100万円~8000万円(補助率2分の1。4000万円超は同3分の1)。
 

「グローバルV字回復枠」:100社限定。補助額8000万円超~1億円(補助率2分の1)。「グローバルV字回復枠」は、次の要件をすべて満たす中堅企業向けの特別枠。①直前6カ月間のうち任意の3カ月の合計売上高がコロナ以前の同3カ月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業②補助事業終了後3~5年で付加価値額または従業員1人当たり付加価値額の年率5・0%以上増加を達成すること③グローバル展開を果たす企業であること。
 

「緊急事態宣言特別枠」:申請要件1~3に加え、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少していることが要件になる。
補助額は、従業員数5人以下100万円~500万円、同6~20人100万円~1000万円、同21人以上100万円~1500万円。補助率は中小企業4分3、中堅企業3分の2。
 
 
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