2020年12月25日

出典:「A Circular Economy in the Netherlands by 2050」

出典:「A Circular Economy in the Netherlands by 2050」

■ラスト10年を切ったSDGsの目標を達成するための具体的な方法論としてサーキュラー・エコノミー(CE)が注目されている。サーキュラーエコノミー・ジャパン代表理事の中石和良(なかいし・かずひこ)氏によると、CEとは「再生可能エネルギーに依存し、有害な化学物質の使用を最小化・追跡管理した上で、製品・部品・材料・資源の価値が可能な限り長期にわたって維持され、資源の使用と廃棄物の発生が最小限に抑えられる経済システム」。SDGsを達成するため世界の多くの先端的な企業が意識して取り組んでいる。各社が従来の大量生産・大量消費の経済システムに終止符を打ち、CEに移行し始め、画期的な新製品や魅力的なサービスが生み出されるなど新しい経済システムへのパラダイム・シフトが起きている。
 

▼地球から資源やエネルギーを奪い、製品を製造・販売し、使い終わったら廃棄する一方通行の「リニア・エコノミー(直線型経済)に対し、CEは「採って、作って、使い・作り続ける」経済システムでサーキュラー(円)にして循環させていくシステムである。従来行われてきた「リサイクリング・エコノミー」は廃棄物を排出することが前提になっていた。廃棄物を少なくし、有用な廃棄物は再利用し、有用でない廃棄物は適正に処分するものでリニア・エコノミーの延長線上にある。これに対しCEは、廃棄物と汚染物を発生させないことを前提としている。モノやサービスの設計段階から廃棄物と汚染を生み出さないプランを考え、一度採取した資源を「作って、使い・作り続ける」ことで循環させる。
 

▼CEの3原則は次の3つ。①廃棄物と汚染を生み出さないデザイン(設計)を行う②製品と原料を使い続ける③自然システムを再生する。モノやサービスを考え・作るときは、最初から廃棄物や汚染を生み出さず、製品や原料を使い続けられるデザイン(設計)をした上でモノやサービスを使い続ける。すでに深刻な状況で、負荷を与えないだけでは済まされない段階にきている環境については③の「自然システムを再生する」ところまで踏み込んでいかなければならない。この3原則の背景には、欧米で広がっている「クレイドル・トゥ・クレイドル(揺りかごから揺りかごへ)」というモノづくりのコンセプトがある。揺りかご=地球から採った資源をゴミとして墓場=廃棄場へ捨てていた従来のリニア・エコノミーから脱却し、揺りかごから採った資源は継続的に再利用して揺りかごで使い続ける、完全循環をめざしたモノづくりである。CEでは5つのビジネスモデルが特定されている(総合コンサルティング会社・アクセンチュア「サーキュラー・バリューチェーン」)。①循環型供給②シェリング・プラットフォーム③サービスとしての製品④製品寿命の延長⑤資源回収とリサイクル。印刷業界でも今後、デジタルトランスフォーメーション(DX)による「印刷の最適化」、「適地適量」生産――「プリント・アズ・ア・サービス」が急進展することになりそうだ。

 

(「月刊印刷界」2021年1月号から)

 

 

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