2020年11月24日

塚田社長(左)と藤原社長

塚田社長(左)と藤原社長

 

コダックジャパン(本社・東京都品川区、藤原浩社長)は10月15日、埼玉県鶴ヶ島市の錦明印刷㈱富士見事業部(本社・東京都千代田区西神田3の3の3、塚田司郎社長)で「SONORA Plate Green Leaf Award」の授賞式ならびに富士見事業部工場見学会を実施し、藤原社長から塚田社長に楯を贈るとともに、錦明印刷の環境負荷低減の取り組み、「SONORAプロセスフリープレート」の導入効果を聴いた。

 

「SONORA Plate Green Leaf Award」は2014年にスタートした、品質や生産量を落とさずに環境・経済の両面で大きなメリットをもたらすKODAK SONORAプロセスフリープレートにちなんだ賞で、グローバルリーダーとして持続可能な印刷ソリューションを推進する同社が、持続可能な印刷会社経営や製品・サービス・運用において環境負荷軽減に取り組み、とくにすぐれた実績をあげているユーザーを表彰している。受賞企業は各社ともKODAK SONORAプロセスフリープレートを実際のオペレーションで運用しており、持続可能な事業の実現への投資に継続的に取り組んでいる。賞の評価ポイントは、エネルギーおよび水利用の効率化を推進する経営方針、地域社会のサステナビリティプログラムへの参加、環境に配慮した資材の使用などが挙げられ、エントリーされた全企業について同社の審査委員会がスコアを付けて評価が行われた。7回目となる19年度の受賞は45社。日本からは2社が選ばれた。

 

無処理化したLED-UVオフ輪

LED-UVオフ輪の無処理化により全工場の完全刷版無処理化を達成した

 

錦明印刷は、超ロングランの仕事でSONORAプロセスフリープレートを使用し、2020年9月には、日本で初めてLED-UVオフ輪での無処理化を実現。全工場で完全刷版無処理化を達成している。

 

同社は、富士見事業部のオフ輪を改造し、UVインキをLEDランプで硬化させる方式のオフ輪では世界初の設備に一新した。従来のドライヤーによる熱風乾燥と比べ電気使用量を39・4%、ガス使用量は100%削減。CO2排出量の抑制を実現した。VOC(揮発性有機化合物)については、通常の油性インキで印刷した場合に比べて100%削減を達成したという。一方、品質面ではオフ輪特有の火ジワや波打ちを解消し、高品質化を果たした。

 

2台のコダック製CTPが稼働

2台のコダック製CTPが稼働

 

授賞式冒頭のあいさつで藤原社長はこう述べて受賞を称えた。
「SONORAを使ってサステナブルな社会、環境にやさしい社会を目指している印刷会社、実現している印刷会社を表彰するプログラムを続けてきてきている。日本では4社目となる。錦明印刷は、業界でもパイオニアの会社であり、104年の歴史がある。日本の印刷業界を引っ張ってきた会社である。品質に厳しいことで有名である。われわれにとっては大変にタフなお客様という面もある。常に業界の技術をけん引、印刷技術を磨くことに貢献している会社でもある。SONORAを使った賞を受けられたことは有意義なことと考えている。環境問題に取り組むのはどの企業でも当然のことだとは思うが、その中でも、最先端の技術を使って、経営効率なり、社会貢献なりを目指していくことは、どの会社にでもできることではない。SONORAは経営環境、労働環境、自然環境の改善に貢献するものである。
無処理版の歴史をたどると、当初は中小の顧客が比較的多かったが、昨年ごろから錦明印刷のような大きな影響力のある会社が増えてきている。とくにSONORAの使用という意味ではLED-UVオフ輪、出版という非常に難しい分野で日本で最初に取り組んでいただいた。非常に意義のあることだ。スクエアスポットを使って無処理版SONORAを用いていただくと、よりお客様の満足度の高い印刷ができるという声をいただいている。今後、いろいろなお客様に体感していただきたい」

 

塚田社長の謝辞、同社の環境への取り組み方針の説明(=後掲)の後、黒岩信司技術顧問がSONORA導入の経緯を説明した。

 

黒岩信司技術顧問

黒岩信司技術顧問

「2000年ごろのdrupaで無処理版に初めて出会った。

15年の夏に『SONORA XJ』がリリースされ、翌年の春ごろからテストを始めた。実際には自動現像機のついたCTPで無処理版を通すと、その刷版を”横どり”しなければならず、作業者の負担が大きかった。テストはしていたが、すぐには本格的な採用には至らなかった。
15年の12月から当社のオフ輪をLED-UV化した。そこでは従来のポジタイプのPS版を使っていたが、耐刷力が足りないので、バーニングをするのか、ネガタイプの刷版を選択してチャレンジするのか、検討を重ねていた。コダックの『TRILLIAN SP』というネガタイプのプレートの耐刷性が高いことから、16年の秋にテストをして、オフ輪の刷版をTRILLIAN SPに替えた。
17年1月初めに非常に大きな仕事を受注し、納期的に24時間休まず回しても消化できないような量のものを何台もの機械にかけなければならなくなった。いままでポジ版を使っていた印刷機をすべてTRILLIAN SPに替えて、ともかく版替えの回数を減らして消化しようと考えた。
残念ながらB全判の両面機は自現機のサイズの問題でTRILLIAN SPが使えなかった。そこでテストしたことのある無処理版のSONORAに本格的にチャレンジすることになった。見事に、従来の有処理版よりも耐刷性がよかった。無処理版の耐刷力が足りないというのが当時の見方だったが、実際に使ったら有処理版より耐刷力がある。そういうことから本格的な無処理版採用に動いた。
17年10月にこの工場はLED-UVを除いた油性の印刷機に関しては100%無処理版化した。当時はまだXJの時代である。17年12月からオフ輪についてもコダック社と検討をはじめた。18年には『SONORA CX』という新しい無処理版が発表された。枚葉でのテストの結果、非常に好結果だった。19年からCXのオフ輪でのテストを始めた。紙によって10数万もつものもあれば、3~4万のものもある。DICグラフィックスに刷版にダメージを与えないようなLED-UVインキはできないものか、インキの改良も重ねてもらった。19年末に『SONORA CX2』が発表された。19年12月から段階的に枚葉機の方をCX2に切り替えていった。その段階で枚葉のLED-UV機の耐刷性も問題がなく、枚葉機はすべて無処理版化した。
オフ輪は今年の5月から本格的にテストを開始した。最大で30万枚のものも通るし、紙が変わっても、弊社で印刷しているロットの範疇では問題のないことがわかった。9月の上旬にはオフ輪もすべて無処理版化。刷版室からは自現機はなくなった。関係の設備もなくなった。
無処理版の発表から20年。今回、LED-UVオフ輪を無処理版化したことによって、錦明印刷の完全無処理化が実現した」

 

同社富士見事業部・三橋滋部長、同・金沢英昭次長からは耐刷性・視認性の高さへの評価とともに、環境への対応に終わりはないことなどが示された。

 

 

「社内の完全無処理化を実現」 塚田司郎社長

 

「グローバルな活動をされている中でGreen Leaf Awardを今年は日本から2社が表彰していただくとのことで、うれしく思っている。日ごろのわが社の環境負荷低減の活動が認められものと光栄である。
当社は、祖父が1916(大正5)年に神田神保町で活版印刷の会社『塚田印刷』として創業した。その後、オフセット化に伴い、1947年に錦町に分工場としてオフセットの工場をつくった。あまりにも技術が違うので『錦明印刷』というオフセットの別会社にした。その後、80年に両方を統合。2016年に100周年を迎え、皆さんにも祝っていただいた。
環境問題では、以前のゴア副大統領の『不都合な真実』、その後出た写真集にインパクトを受けた。地球温暖化で世界各地でさまざまな災害が起こっている。現代の企業の経営者は環境問題を抜きに企業経営をすることは考えられない。
この工場をみたときに一番エネルギーを使って無駄だなと思ったのは、オフ輪のヒートセットドライヤーだった。浸透乾燥だけですめばいいが、スピードの要求もあるし、社会のさまざまなニーズに対して、応えていかなければならない。油性の浸透乾燥もあれば、オフ輪のヒートドライヤーもあれば、LED-UVもある。
最盛期には4台ほどオフ輪があったが、ヒートセットドライヤーはガスも使うし、ファンも回す。非常に電力が大きい。排気するときに空気を汚すので大きなヒートセットドライヤーの上にアフターバーナーという空気を浄化する装置を付けなければならず、大変だった。
枚葉印刷機でLED-UVの乾燥を使っていたので、もしこのランプのパワーが強力になったらオフ輪でもできるだろう。そうしたらヒートセットの装置は要らないだろうと思って、取り組んだ。従来のヒートセットに比べて電力で40%削減した。ガスはゼロになった。
そうこうしているうちに業界でもグリーンプリンティング認証制度が始まった。その取得に取り組み2017年度にグリープリンティング認証を受けた。今年の8月にはその更新も行った。2017年にはわが社の環境方針を定めた。
2017年から無処理版のSONORAに取り組んだ。すべて今まで通りの条件で無処理版に置き換えることは口で言うほど容易なことではなかった。とくにLED-UV印刷の耐刷性については、コダックにお願いしてオフ輪でも使えるように開発をお願いした。DICグラフィックスの協力もいただいた。
お蔭様でわが社のオフ輪については、現像液もガスも使わない。電力も削減できた。
環境負荷という点については、何の後ろめたい気持ちもなくビジネスができるようになった」

 

 【錦明印刷 環境方針】

 

錦明印刷株式会社は環境にやさしい社会をつくるため継続的改善を行います。

 

印刷事業を通じ低炭素・リサイクル社会をめざした企業活動を行うことで地球環境保全に貢献します。

 

①企業活動および産み出される商品・サービスが環境に与える影響を把握し、環境負荷低減のPDCAを回し設定目標をクリアします。
②環境関連の要求法規制を遵守し、環境汚染の防止と改善に努めます。
③品質管理を徹底し資源をムダにしない投資と工夫を行います。
④省エネ、省資源を推進し、廃棄物の削減などの環境負荷の低減に努めます。
⑤環境に配慮したグリーン資材の優先購入とグリーン印刷物の開発と生産を推進します。
⑥環境方針を公開するとともに、環境教育を全社で実施し、環境意識の高い人材を育成します。

 

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