2020年11月25日

「紙製品への思い」ポスター

「紙製品への思い」ポスター

■「紙製品への思い‐国誉の礎とコクヨの現在‐」展が12月13日まで滋賀県の愛荘町立歴史文化博物館(愛知郡愛荘町松尾寺878番地)で開かれている。総合文具メーカーであるコクヨの1905(明治38)年の創業から54(昭和29)年の「紙製品製造業確立期-大コクヨの誕生-」に至る資料や製品が展示されており、わが国における紙製品製造史の一端に触れることができる。地域や環境に貢献するコクヨ工業滋賀の無線綴ノート、複写伝票、PPC用紙などモノづくりも紹介されている。
 

▽わが国で今日的な既成紙製品が登場したのは、外国から洋紙や既製品を輸入し、洋式帳簿として販売し始めた明治の初めといわれる。しかし、明治末期になっても一般の会社や商店では「大福帳」などのように、束ねた和紙に厚めの表紙を付け、こよりで綴っただけの帳面が使われていた。大正時代になり、経営の近代化が急速に進むと同時に洋式帳簿が急速に普及する。その前夜、1905(明治38)年にコクヨの創業者である黒田善太郎(1879-1966)は、コクヨの前身「黒田表紙店」を起業し、13(大正2)年には洋式帳簿の既製品化を開始した。
 

▽周知のとおり、洋式(複式)簿記自体は、明治初期に福沢諭吉によってわが国に紹介されていた。諭吉は和式簿記からの移行の必要性を説くが、当初導入したのはもっぱら銀行業界で、多くの企業は、伝統の和式帳簿からなかなか離れられなかった。善太郎は、洋式帳簿が早晩主流となるのは明白と、洋式帳簿の製造に着手した。製品化にあたっては、自ら洋式帳簿の付け方を学ぶとともに、高給の経理係を採用して自店の会計処理を複式簿記に変更。そこで得たノウハウを商品開発に活かしていった。時代の趨勢を見越した善太郎の「紙製品への思い」は改めてしられていい。

 
 

■消費税転嫁対策特別措置法の特例措置が来年3月31日に終了する。前号でも触れたが、それに伴い同4月1日から消費税を含めた「総額表示」義務化が復活しようとしている。
 

▽小売業界では日本チェーンストア協会が令和3年度税制改正要望などで「本体価格表示の恒久化」を訴え、「画一的な消費税の総額表示義務の廃止」を提言。商品・サービスの価格と消費税額の表示のあり方については、「法律で一律に課すべきではなく、事業者と消費者、事業者と事業者との関係において事業者自らが適切な方法を選択すべき問題である」と主張している。
 
▽スリップを使用してる出版社はすでに半数以下といわれ、「すでに廃止」「徐々に廃止」「廃止を検討」を合わせると半数以上になる(日本書籍出版協会アンケート)。「どのような方法が可能か」という問いに対しては、「どの方法も難しい」との回答が半数近かった。対応に苦慮しているのが実情だ。大幅な経費増・業績悪化が進路を塞いでいる。アンケートを受け、書協は、日本雑誌協会とともに出版物の消費税総額表示の免除継続を求める要望書を財務省に提出するとはいうのだが。
 

(「月刊印刷界」2020年12月号から)

 
 

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