2020年10月31日

■2021年3月31日に消費税転嫁対策特別措置法が失効する。
 出版物に適用されていた「本体価格+税」といった消費税別価格表示の特例措置が終了することになる。それにともない21年4月1日からは消費税法に基づき、事業者が消費者に対して価格表示する際の総額表示(税込価格)義務が適用される(従来行ってきた本に挟むスリップの「ボウズ」(突起部)への総額表示は引き続き有効とされる)。
 

 ▽とくに罰則規定があるわけではないが、出版物の場合なんらかの形で税込表示が求められることになる。
 また、チラシ、新聞広告など消費者に対する価格表示であれば、総額表示が義務付けられる。来年4月1日以降に本体価格だけを表示した出版物を店頭に並べることは「違法」ということになる。
 
 ▽13年10月に設けられた消費税転嫁対策特別措置法は、誤認されないための措置を講じていれば、税込価格の表示を要しないことを特例としてきた。
 しかし、消費税10%への引き上げの1年半後を期限とすることは当初から決まっていたことで、特例の維持は難しいことのようだ。
 消費税総額表示義務化まで半年を切った。法を犯すことのないよう対応を急ぎたい。
 
 

■日本新聞協会の調べによると、新聞91社の回答から推計した2019年度の総売上高は前年対比0・6%減の1兆6526億円だった。
 販売収入、広告収入の減少が続く中、「その他収入」は11・5%増。総売上高に占める割合は25・7%に達した。
 総売上高 0・6%(99億円)減 1兆6526億円
 販売収入 3・4%(322億円)減 9180億円
 広告収入 6・5%(216億円)減 3092億円
 その他収入 11・5%(438億円)増 4253億円
 その他収入は7期連続の増加だった。
 
 ▽総売上高に占める構成比は―
 販売収入 1・7ポイント減 55・5%
 広告収入 1・2ポイント減 18・7%
 その他収入 2・8ポイント増 25・7%
 出版、事業、受託印刷などの営業収入や営業外収益、特別利益を含む、「その他の収入」は、2ケタ成長を示しただけでなく、3期つづけて広告収入の構成比率を上回った。変化は常態のようだ。
 
 ▽10年前、09年の数字をみると―
 総売上高 2兆0024億円 
 販売収入 1兆2087億円(構成比60・4%)
 広告収入 4785億円(同23・9%)
 その他収入 3152億円(同15・7%)
 10年でざっと総売上3500億円、販売収入3000億円、広告収入1700億円が消失した一方、その他収入は1100億円増大した。 
            
 

(「月刊印刷界」2020年11月号から)

 
 

PAGE TOP