マンローランドジャパン㈱(本社・埼玉県戸田市、サーシャ・バンセマー社長)は、drupa2020での発表を予定していたA倍判枚葉オフセット印刷機の新製品「ROLAND900Evolution」の発売を開始する。
「ROLAND900Evolution」は最大用紙サイズ1450×1060㍉に対応するA倍判の枚葉オフセット印刷機で、前身機「ROLAND900」から対応用紙サイズを大きくした上、50以上の新たな技術を搭載している。
先のdrupa2016で発表された菊全判機「ROLAND700Evolution」で採用された準備時間短縮や自動運転などの先進機能を移植するともに、機械デザインも前身機から一新してEvolution仕様となった。
大判印刷やパッケージ印刷でも小ロット化傾向が進んでいることから、実生産性時間を確保するためにジョブ替え時間の短縮化は必須となる。
それを実現するための機能の1つが、全自動版同時交換「SPL(Simultaneous Plate Loading)」だ。
全胴の版交換を自動で同時に行うので、胴数に関わらず交換作業に要する時間は同じとなり、かつその交換作業は圧胴洗浄/ブランケット洗浄作業をしている間に行われるため、実質的な作業時間はゼロとなる。
同社の試算では従来モデルの7色機の場合、この「SPL」と後述の「インラインカラーパイロット」を活用すると、1ジョブあたり12分以上の時間短縮効果を図ることができる。
これは、仮に1日9ジョブで年間320日稼働をすると、年間に576時間の生産時間をさらに生むことができる。
印刷物の濃度と見当を自動調整する機能については、最新バージョンとなる「インラインカラーパイロット3.0」を搭載した。
インラインで印刷物のカラーバーをカメラで読み取り、刷り出し時においてはいち早く自動でOKシートが得られるように濃度および見当を合わせる。
具体的には、R・G・Bの3回、フラッシュ露光をして印刷物内のカラーバーを読んで、その濃度に応じてインキキーを自動で制御・調整する。
これにより刷り出し時の色合わせに要する時間と損紙を最少に抑えられるとともに、本刷りから刷了までの色調も安定する。
最新バージョンの3.0では、パッケージ印刷で多用される特色の計測精度が向上。
さらに、10色まで測定することができるようになった。
色合わせが早くできるための機構として、これまではオプション機能だった「トリプルフロー」が標準搭載となった。
これは、刷り出し時にインキローラーの上部と下部をクラッチで切り離し/接続をタイミング制御することで、色合わせ作業や用紙流れ方向の色ムラ解消が早くできるようになる。
用紙搬送については、原反の厚さに応じた調整を自動的に行う「クイックチェンジトランスファーター」を搭載。
用紙の厚さに対してトランスファーターとインフィードドラムの爪台の高さを確実に素早く自動で調整する。
これにより、紙から板紙への切り替えが簡単にできるようになる上、手動調整ミスによる紙破れや加圧によって爪痕が紙につくことも防ぐことができるようになる。
そのほかの「ROLAND900Evolution」の主な機能・特徴は次のとおり。
▽フィーダー
無段階昇降の給紙パイル、静音振動、頑丈に設計されたサクションヘッドを採用。
また、斜めのインフィード見当を修正する機構、ジョブごとのエアー設定や特性のデータ保存機能、操作性のしやすさを実現している。
さらに、フィーダー横で色見台と同じ操作もできるようになった。
▽自動パレットシステム「オーパシス」
印刷物流の自動化をコンセプトに、空のパレットの自動排出、次のパレットの紙搬入、既存パイルに新たなパイルを追加することを可能とし、ノンストップ印刷をサポート。
200㌘/平方㍍以上の厚さの原反に適したシステムで、生産効率がアップする。
▽LED-UV
従来のランプ方式やLEC(省電力ランプ方式)に加え、LED-UVも搭載可能になった。
特色インキや白インキ、メタリックインキ、ニスにも対応。
狭幅の用紙に印刷する場合には、用紙範囲の外側となるモジュールを消灯することでエネルギー消費を軽減できる。
また、流れ方向が短い用紙の場合の消灯/点灯の最適化も図れる。
▽デリバリー
ノンストップ運転のための自動板取り装置を搭載。ベルトシステムをデリバリーの紙搬送方向に挿入。
▽コーティングユニット
コーティングユニットにはアニロックスローラーを2本収納することができ、ボタン操作のみでその入れ替えをすることができる。
入れ替えが簡単にできるので、ニスの盛り量の変更・適正化を気軽にできるようになる。
▽コントロールコンソール
23インチ大画面でのタッチ操作と新しいインターフェースで、スマートフォンのように扱える簡単な操作性を実現している。
▽最高印刷速度は毎時1万6500枚、対応紙厚は0.04~1.2㍉。