2020年08月13日

㈱第一印刷所(堀一社長、新潟市中央区和合町2の4の18)は、営業改革の一環として、2015年4月から富士フイルムのWebポータルシステム「XMF Remote」の活用を開始し、現在、約500社のクライアントとオンライン校正を行っている。その成果は、社内にもクライアント側にも明確に表われているという。具体的な活用例やメリットなどについて、常務取締役企画開発本部長兼営業本部長・阿部正喜氏、プリプレス工程を担うグループ会社、㈱プレスメディアのメディア推進部付専門役・関原公則氏に聞いた。

 

時間短縮のメリットと安全性の訴求で採用が拡大

 

阿部正喜本部長

阿部正喜本部長

第一印刷所は、新潟県内9カ所と東京に拠点を持つ総合印刷会社。
グループ会社7社と独自のネットワーク「D’s NET」を構築し、各社との連携でプランニングから印刷・加工、配送、さらにはビジネスプロセスのアウトソーシング受託、イベントの運営・施工、デジタルメディア制作に至るまで、ハード・ソフトの両面でワンストップサービスを提供している。
17年には、インクジェットデジタルプレス「Jet Press720S」を導入し、オフセットとデジタルのハイブリッドワークフローを確立。それぞれをロットに応じて使い分けることで、つねに高い品質、かつ最適なコストでの印刷物製作を実現している。
同社は、印刷物製作における品質とスピードをより高い次元で両立させ、小ロット・多品種・短納期ニーズに応えるため、生産工程の変革に力を入れてきた。その一環でワークフローシステムの更新を検討した際、Webポータル機能(XMF Remote)が充実した「XMF」に着目。営業・制作の効率化も視野に入れ、14年末に導入した。

「営業でとくに課題になっていたのが、校正のやり取りに多大な時間を費やしていることだった。遠方のお客さまにも直接校正紙を届け、その場で見ていただき、持ち帰る。営業の本来の業務は、お客さまに付加価値のある製品や情報を提供することだが、そのための時間が校正の業務によって削られてしまっていた。制作部門も、営業が校正を持ち帰るのを待ってから作業するため、残業を強いられることもしばしばあった。Webポータルシステムを使えば、こうした状況を改善できるのではないかと考えた」(阿部常務)
システム検討の際、同社がとくに評価したのがXMF Remoteの「使いやすさ」だった。

 

関原様インタビュー1

関原公則氏

関原氏は第一印象をこう語る。
「オンライン校正などの機能が、他のシステムより見やすく使いやすいという印象を受けた。これならお客さまもすぐに馴染めるのではないかと感じ、それが導入の決め手になった」

 

営業改革推進の強力なツールとして導入したXMF Remoteは、15年4月から、オンライン校正を中心に運用をスタートした。

しかし当初は、クライアントの紙の校正への依存度が高く、また営業スタッフにも、対面営業が減ることへの不安感があったという。
「当時は、校正を届けるのが自分の仕事だと思い込んでいる営業が多く、お客さまと直接話ができないシステムは受け入れてもらえないのではないかという声もあった。オンライン校正のメリットをわかりやすく説明するノウハウが身についていなかったことも一因だろう」(阿部常務)
そこで、営業だけでなく、制作を担当するプレスメディアのスタッフも必要に応じて同行し、提案活動を推進。クライアントの不安を払拭するため、まずデジタル検版の機能で操作に慣れてもらい、徐々にオンライン校正に移行するなど、段階的に活用を広げていった。
「検版機能だけでも、一度体験していただくと、『これは便利だね』と魅力を感じていただけるので、そこからはスムーズに運用に入っていくことができた」(阿部常務)
関原氏は、提案の際のポイントについてこう語る。
「まず説明したのは、校正の大幅な時間短縮が図れるということ。営業が到着するのを待たずに、お客さまの都合で校正が行える。赤字をアップしていただければ、私どもがタイムラグなしにその修正を反映することができる。
もう一つは、簡単・安全にデータの受け渡しができるということ。SSL暗号化通信のため安全性が高く、しかも当社は1つのジョブにつき10GBまでの容量を確保しているので、XMF Remoteの共有フォルダを安心して使っていただける。この点を評価して採用いただくケースも多い」(関原氏)
こうしたクライアント目線の提案により、オンライン化に抵抗感を示していた校正担当者もそのメリットを理解し、XMF Remoteの採用は加速度的に増えていったという。

 

担当者が多人数・出張中でも効率よく校正が進行

 

XMF Remoteのメリットが発揮される活用シーンについて、関原氏は2つの例を挙げる。
一つは、遠方のクライアントとのやり取りだ。以前は、車で片道2時間の距離を、校正のために3往復することもあったが、XMF Remoteに切り替えてからは、営業は受注時に1回訪問するだけになり、移動時間が大幅に削減できたという。同社はWebサイトでもXMF Remoteのメリットを紹介している。

 

もう一つは、クライアント側の校正担当者が多人数のケース。
従来は、担当者間で校正紙を回覧するため1回の校正に2日以上かかっていたがオンライン校正の活用によって、大幅な時間短縮が実現。出張先からも修正指示を入れられるため 担当者が不在で校正が止まってしまうといった時間のロスもなくなった。
また、関原氏によると、オンライン校正によってもう一つ変化している点がある。
「XMF Remoteの活用を始めると、お客さまの修正指示が丁寧になる傾向がある。オンラインで確実に伝わるよう整理して赤字を入れていただける。結果として、校正回数の削減にもつながっている」
データの受け渡しがスムーズになり、校正にかかる時間が短縮され、校正の回数も減る。XMF Remoteによって、さまざまな無駄やロスが削減できる。

作業現場1

制作現場とクライアントがダイレクトにつながるのもメリット

 

創出した時間を活かし、提案力強化へ

 

XMF Remoteによるオンライン校正で、クライアントからとくに評価されているポイントは、時間を有効に使えること、そして、修正のやり取りを制作現場とダイレクトに行えることだという。
時間的メリットについて、阿部常務はこう語る。
「担当者が多忙で、校正紙を受け取って見ている時間がなかなか取れないという状況でも、XMF Remoteならちょっと空いた時間にブラウザを開いて10分ほどでチェックできてしまう。また、夜まで都合がつかない場合は、翌朝8時半ごろまでに赤字をアップしていただければ、私どもが始業と同時に修正作業を始めることができる。お客さまは、『営業が来るまでに見ておかなければという縛りがなくなり、その日の都合に合わせて校正を進められる」
さらに、校正を制作現場に直接戻せることは、クライアントにとって、意図を確実に伝えられるというメリットにつながっていると関原氏は説明する。
「以前は、営業経由の伝言ゲームになってしまい、修正意図を正確に反映できずに再修正になるケースもあったが、XMF Remoteを通じてお客さまと制作がダイレクトにコミュニケーションをとることで、そのようなトラブルは大幅に減った。また、デザインの微妙な変更など、文字だけではニュアンスが伝わりにくい場合も、電話でお話ししながらXMF Remoteに赤字を入れていただくことで、確実に反映しやすくなる。これも校正回数の削減につながっている」

 

一方、第一印刷所にとっての最大のメリットは、校正に関わる時間の大幅な削減により、営業や制作の働き方改革を推進できたことだ。
関原氏は、制作側の効果についてこう語る。
「いままで2校・3校まで出して何日もかかっていた校正が、1回で済むようになった。1ジョブにつき校正が1回減るだけでも、オペレーターの作業時間は1~2時間変わってくるから、月に何十時間もの短縮になっているのではないだろうか」
営業については、やはり移動時間の削減による効果が大きいようだ。現在全社的に取り組んでいる効率化施策との相乗効果で、営業部門の残業時間は前年比10%以上の削減を実現。グループ全体では、今年3月期の実績で、昨年度同等の加工高を維持しながら「1000時間以上の残業時間削減」を達成したという。
また、阿部常務は、「営業の“本業”のための時間を創出できたことが、最も重要な効果」と強調する。
「校正にかける時間が短縮した分、お客さまの課題のヒアリング、解決策の提案などに注力できるようになった。営業には、いままで以上にお客さまをよく知り、お客さまの業界が抱えている課題や向かっていく方向性、さらには世の中の動きを知るために時間を使ってほしい。お客さまを我が身と思って行動するよう言っている」(阿部常務)
生まれた時間を活用して、クライアントへの提案力の強化に取り組み、営業の質をさらに高めている。

 

XMF Remoteは有事におけるインフラとしても強さを発揮

 

第一印刷所グループでは現在、新型コロナウィルス感染拡大の中、可能な部署からテレワークを推進しているが、クライアント側でも、校正担当者が在宅勤務となるケースが増えており、在社であってもリスク防止の観点から訪問が難しい状況だ。しかし、すでに約500社ものクライアントとXMF Remoteを活用している同社では、とくに支障なく仕事を継続できているという。
「現在のように変則的な勤務形態のお客さまが多くなっても、XMF Remoteなら入稿から下版までをオンラインで進めることができるし、複数の方に校正を同時に見ていただくこともできる。この状況でもお客さまには何一つご迷惑をおかけすることなく、遠隔・非接触の中で確実に仕事を進行できているし、『すぐに情報発信したい』という急なご要望にも即応できる」(阿部常務)
XMF Remoteが、効率化や働き方改革だけでなく、BCP(事業継続計画)の面でも有効に活かされている。
同社は今後、XMFによるワークフローをベースに、上流から下流までのシームレスなシステム連携を図り、生産工程のスマートファクトリー化を進めていく。同時に、オンライン校正の活用についても、さらなる拡大を目指すという。
「将来的には、校正をすべて営業レスで行えるようにしたいですね。お客さまの環境やスキルの課題、セキュリティに対する不安などを解消していけば、不可能ではないと思う」(阿部常務)
XMF Remote導入の最大の意義は営業改革にあると言い切る阿部常務。これまでの運用の成果をあらためて振り返り、こう結んだ。
「『お客さまの社長の誕生日にお花を届け、ありがとうと言ってもらえた』。最近は営業からこんな話が出てくるようになった。オンライン校正によって時間に余裕が生まれたことで、精神的にもゆとりが出てきており、これが新しい発想、新しい提案につながっていくのではないかと期待している。今後も引き続き、営業の質的変革に取り組む」

 

第一印刷所正面

第一印刷所正面

 

 

 

 

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