2020年07月22日

Koenig&Bauer社は6月16~25日まで、drupa2020で披露予定だったものも含めた全分野の製品を紹介するオンラインライブデモンストレーションを開催した。

ここでは、▽drupa2021出展の展望、▽段ボール用、新聞用、商業印刷用のデジタル印刷機RotaJETおよびフレキソ印刷機、▽マーキング、コーディング、金属、缶、ガラス、紙幣の各印刷ソリューション、▽Durst社とのジョイントベンチャーによる菊全判枚葉デジタル印刷機VariVET106、▽枚葉オフセット印刷機のデジタルサービスプログラムKoenig&Bauer4.0--などについて、連日にわたって紹介した。

8色コーター付のRapida106X

8色コーター付のRapida106X

その中の最大の目玉として、枚葉オフセット印刷機の新モデル「Rapida106X」が発表された。

外観もサイドパネルがガラス調のデザインへと一新されたこの新モデルには、パッケージ用途の厚紙片面印刷および薄紙の両面印刷でも毎時2万枚を実現するさらなる高生産性に加え、高度な自律・自動運転のための数多の機能が搭載されている。

また、CTPから出力された刷版を人がまったく触れることなく印刷機へと直接セットされる無人化コンセプトまで、枚葉オフセット印刷工場の未来をここに示した。

 

「Rapida106X」は高性能な菊全判枚葉オフセット印刷機の新モデル。

自動化、デジタル化、ワークフローソリューションといったあらゆる面での要求を満たし、将来の枚葉オフセット印刷機のあるべき姿を定義するものという位置付けで開発された。

外観は従来の白と青を基調とした「Rapida」シリーズから一新し、ガラス調のサイドパネルで近未来感を演出。

新しくなったのはもちろん外観だけではなく、新しいタッチスクリーン操作コンセプト、独特な機械デザインや機能を備えている。

「Rapida106X」シリーズは、ユーザーの収益性とパフォーマンスをさらに向上させることを目指し、▽準備時間の短縮、▽高速印刷・高効率処理、▽信頼できる自動品質制御、▽メンテナンス作業削減による生産時間の増大、▽デジタル化とAIの活用による収益性向上--という5つのコンセプトをもって開発されている。

 

【準備時間の短縮】

準備時間による無駄を1秒でも削減するために、「Rapida106X」には多くの先進的かつ正確に調整された機能が組み込まれている。

まず、装填する刷版の版曲げを不要にした。

1分未満で全胴の刷版を同時交換するほか、その間に各種洗浄などの並行処理が行われる。

印刷機はMISから送られてきた複数のジョブ情報を受けて、印刷機が自律的に自動でジョブ替えを行い、インラインカメラによる色・見当・欠陥検査を行って、そのまま良品カウンターをONにして本刷りを行い、設定印刷枚数に達すると印刷を停止。

そしてすぐさま自動的に次のジョブへのセット替えおよび色・見当などの調整を最短の時間で自動的に行ってからふたたび自動的に本刷りへと入っていく。

この自動印刷作業をオペレーターの操作を要さず、受け取った一連のジョブ情報のすべての分が終わるまで連続して繰り返していく、完全自動印刷システムとなっている。

 

PlateTronicプレートロジスティクスシステムはCTPから刷版の中間保管、印刷機への装填、旧版の取り出しまで自動で実行する

PlateTronicプレートロジスティクスシステムはCTPから刷版の中間保管、印刷機への装填、旧版の取り出しまで自動で実行する

まったく新しい次世代工場像として、CTPから出力された刷版を人の手をまったく介さずに印刷ユニットに装填する、高レベルの自動化システム「PlateTronicプレートロジスティクスシステム」が紹介された。

「PlateTronicプレートロジスティクスシステム」は、CTPで刷版を出力してから印刷機の指定されたユニットのプレートチェンジャーまでの配送、さらには旧版の取り外しまでのプロセスを、人手を要さずに完了するシステム。

刷版の各印刷ユニットへはコンベアなどによって自動配送・管理され、刷版が印刷機に到達する順番は必要に応じて変更することもできる。

このシステムは小ロットで頻繁なジョブ替えを要する商業印刷会社でとくに有効で、たとえば本刷り数が約350枚のジョブでは、毎時2万回転だと約1分で刷了するが、その間に8色機ならば8胴分のプレートチェンジャーから旧版を取り外して同じ数の新版を準備することは難しい。

しかしこのシステムがあれば、多色機で極小ロットのジョブをワンマンオペレーションで繰り返すことも現実的に可能となる。

 

そのほかにも、パッケージ印刷の生産性を落とす大きな要因となるインキ替えとそれにともなう洗浄作業時間について、UV印刷の本刷り中に空き胴を洗浄できる機構、さらには4系統の洗浄液を自動供給できる仕組みも新たに備えている。

 

【高速印刷・高効率処理】

「Rapida106X」は世界で初めて、両面印刷時に毎時2万枚の印刷スピードを達成し、両面印刷機の生産性を異次元の新しいレベルへと扉を開いた。

また、印刷機に送った複数ジョブのデータについて、印刷機が自律的にもっとも生産性が上がるジョブ順に並べ替える「ジョブオプティマイザー」を発表した。

これは、その印刷機の機械構成や搭載された諸々の機能を踏まえ、各ジョブの用紙種類や用紙サイズ、用紙厚、コーティングの種類、複雑な仕様の品質レベルであるかどうかといった点、さらには印刷ジョブ中に並行して次ジョブの準備ができるかどうか、印刷面のレイアウト内容、ジョブ内容による洗浄時間の長短といった要素までも含めて総合的に勘案し、AIがもっとも最適な印刷順に並び替える。

これにより全体の総準備時間を30~50%短縮させることも可能となり、印刷機の1日あたりの生産量を増やすことができる。

 

7色+Wコーターにインラインフォイルユニットを搭載したパッケージ印刷向けのRapida106X

7色+Wコーターにインラインフォイルユニットを搭載したパッケージ印刷向けのRapida106X

そして印刷機のOEE(総合設備効率)に関する情報は「LogoTronic Cockpit」によって提供され、すべての生産データがジャストインタイム分析されてその結果がわかりやすく構造化された図で表示される。

現在の生産パフォーマンスと準備時間を一目で参照できると同時に原価計算や計画値との比較もできるので、利益をリアルタイムで把握することができる。

 

UV印刷においてインキツボ上でインキが硬化・固着してしまい、スライダーがきちんと動作しないケースが散見される。

印刷物のインキ膜厚はμ㍍単位で制御する精密さが求められるので、カラーマネジメントをする上でもインライン自動濃度調整をする上でも、このような事態が起きると大きな問題となってしまう。

また、インキツボにフィルムを使用する方式だと使用期間によってフィルムの厚みやローラーのニップが変わることもあり、さらにはインキを盛ることができない、消耗品が定期的に必要となるというデメリットがある。

そこで「Rapida106X」では、インキツボの下部からエアーを吹き出す機構を採用することでUVインキの硬化・固着を防いでいる。

これによりインキツボでのインキ流動性を保ち続けられるので、インライン自動濃度調整でも正確で安定した色再現ができるとともに、インキツボ部の頻繁なメンテナンスも不要としている。

 

【信頼できる自動品質制御】

コーティングプレートの交換も自動化され、道具不要で2分以内に完了する

コーティングプレートの交換も自動化され、道具不要で2分以内に完了する

1台のインラインカメラシステム(両面印刷機では2台のカメラを搭載)で、▽インラインカラー制御、▽品質欠陥検査、▽入稿用PDFデータと印刷物との比較--という3つの自動品質制御機能を有している。

「QualiTronicカラーコントロール」は印刷中の全印刷物のカラーバーのインキ濃度をインラインで測定し、10枚ごとにインキキーを自動補正するもの。

「Rapida106X」の迅速なインキングユニットの反応と相まって、たとえば自社基準印刷だと刷り出し時の損紙数を25~50枚に抑えることができる。

 

「QualiTronicプリントチェック」は、インラインカラーコントロールに品質欠陥管理機能をアップグレードしたもの。

本刷りが開始されると設定された枚数の印刷物をスキャンし、比較の基準となるデータを生成し、すべての印刷物をこの基準データと比較する。

印刷物に基準データと異なる部分を検出するとモニターに表示されるとともに、デリバリーに排出されたその印刷物にタグを付けることもできる。

これらのプロセスはすべて事前にオペレーターが準備する必要はなく、完全に印刷機が自律的に実行する。

 

「QualiTronic PDFチェック」は、印刷されている印刷物をインラインカメラで撮ったものを入稿用PDFデータと比較する検査装置。

PDFとの比較は100dpiのスキャン解像度で、印刷中のすべての印刷物に対して実行される。

システムが印刷物とPDFの違いを検出するとオペレーターに警告表示する。

さらに、「QualiTronic PDF HighRes」では、印刷物の品質検査をさらに高い精度で実行する。

印刷された各印刷物は290dpiの解像度でチェックされ、わずかな欠陥でも約90μ㍍の精度で検出する。

 

ErgoTronicAppによりモバイル機器で印刷機を操作できる

ErgoTronicAppによりモバイル機器で印刷機を操作できる

「Rapida LiveApps」の形式で2つのスマートツールを提供している。

「ErgoTronicApp」を使用すると、印刷工程全体をモバイルデバイスで視覚化できる。

オペレーターや関係者は、現在および次以降のジョブのすべてのジョブデータ、生産時間、通知、サポートを含むメンテナンス指示を見ることができるので、的確に作業を実行できる。

これによりモバイル機器が印刷機コンソールとなり、そこからあらゆる操作をすることができるようにもなる。

「ProductionApp」は、店舗の在庫の管理、消耗品のバッチの追跡などができるもの。

このアプリを使うとジョブが完了した後でも、どの印刷ジョブがどの材料、インキ、消耗品で生産されたのかについて正確な情報を把握することができる。

 

【メンテナンス作業削減による生産時間の増大】

稼働する各印刷から送られてくるデジタルデータに基づいたサービスや稼働実績を把握することが、Koenig&Bauerの枚葉オフセット印刷機の最適化されたメンテナンスプロセスの基盤となる。

印刷機の稼働実績ファイルのデータに基づいて、ユーザーに即したサービスが展開されている。

「PressCall」は、リモートメンテナンスサービスとの通信を改善し、言語の障壁を取り除いて通信を最適化している。

また、「Visual PressSupport」ではオペレーターのスマートフォンを使用して印刷機を直接Koenig&Bauerのサービススタッフが目視できるので、リモートメンテナンスによって提供できるサービスの範囲を拡大している。

写真、ビデオ、オーディオ、およびコメント機能によりトラブル発生状況がより明確になるほか、指示やサポートもしやすくなる。

 

毎月のパフォーマンスレポートでは、印刷機の実稼働データと主要なパフォーマンスの指標がわかりやすいグラフィック形式で表示される。

パフォーマンスデータは、同様の方法で使用されている世界中のほかの印刷機のデータと比較もできる。

 

また機械構造的にもメンテナンス時間削減が考えられており、シールドベアリング化をすることで給油箇所を減らすことでメンテナンス作業時間の短縮化を図っている。

たとえば菊全判コーター付6色機の場合では、給油箇所が200ヶ所減少されている。

 

【デジタル化とAIの活用による収益性向上】

印刷機のセンサーから得られるデジタルデータを利用してAI分析することで「Rapida106X」の生産性を極限まで高める開発がされ続けている。

印刷機からのセンサーデータは、実際の印刷機のダウンタイムが発生する前に障害を特定する手段として、ますます重要になっている。

ここにAIを組み込んだ方法を使用すると、センサーの応答を分析して正常な動作と異常な動作を区別できる。

異常が検出されるとすぐ、自動的にサービスチケットが生成され、担当のサービスエンジニアは一連の対策を講じて、必要に応じてユーザーに連絡してメンテナンスについて話し合い、計画外の機械停止を回避する。

 

LogoToronicには、新しく多目的な運用および印刷データベースのレポートツール「Performance Analytics Plusオプションが追加された。

これを使用すると、印刷機のパフォーマンスを最大化するためにさまざまな視点からプロセスを分析できる。

ジョブ履歴、生産時間の記録など、個々の要件に合ったダッシュボードで確認することができる。

ユーザー自身の長期的な戦略を監視できるようにする複雑なトレンド分析についても、数回クリックするだけで生成できる。

 

 

 

 

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