2020年07月27日

「今まで製紙パレットの廃棄処理にかかっていた費用と時間そして保管スペース。これらが、すべていらなくなります。パレットの廃棄と処分にお困りの方へ、製紙パレットを無料で回収します」。――製紙会社・印刷会社など多くの企業から、製紙パレットなど再利用可能な各種パレットの回収を委託され、重要家から無償で回収している㈱製紙パレット機構(本社・東京都中央区、岩田憲明社長)は、不要になった製紙パレットの回収を呼び掛けている。「木材資源の節約」=地球環境保全、「再利用」=産業廃棄物削減など現在の社会的要請に応える事業である。
 

製紙パレット共同回収システムの流れ

製紙パレット共同回収システムの流れ

 

製紙パレットが、製品の輸送後に破損・汚損などがなく、製紙会社に戻ってくれば、パレットの再使用ができる。そのため、製紙会社は共同で「木材資源の愛護」と「流通合理化促進のためのパレットプールシステムの推進」を目的として1973年7月に「製紙パレット共同回収機構」を設立した。同組織は通商産業省(現・経済産業省)所管の産業構造審議会流通システム化推進会議の答申を受けて日本製紙連合会の中に設けられた。その後、76年4月、事業の多角化を図るため「株式会社製紙パレット機構」として発足し、製紙パレット共同回収事業に参加する製紙会社の物流コスト削減と貴重な木材資源の再利用に寄与するため、製紙パレットの系統的回収網を整備・拡大してきた。また、指定回収協力会社の企業基盤を充実させ、回収体制を安定・強化した。
 

77年には、関西、中部事業所を開設。その後、東北、中国、四国地区の回収を開始。2006年4月には北海道(札幌・旭川)地区、08年4月には九州地区の回収を開始。17年沖縄県からの回収開始により日本全国からパレット回収が可能になった。
現在、指定回収協力会社のデポ(小型物流拠点)は、北海道から九州まで全国に11カ所ある。

 

仕分けされたパレットをメーカーがデポから引き取る

仕分けされたパレットをメーカーがデポから引き取る

 

回収対象となるパレットは、製紙パレット共同回収事業への参加37社(=後掲)の再利用可能な製紙パレット。
無記名、改造、輸入紙、他業種のパレットなど再利用できないパレットは回収対象外となる。指定回収協力会社は回収対象パレットだけを回収する。
指定回収協力会社が行う空パレットの回収・返送業務に要する費用は、製紙会社が負担しており、需要家からは無償で回収する。
指定回収協力会社が回収した空パレットはデポに搬入され、メーカー・工場ごとに仕分けされ、仕分けされた空パレットがメーカーによって引き取られる。

 

1976年度の156万枚からスタートし、年々回収実績を伸ばし、86年度331万枚、99年度426万枚、2008年度525万枚、17年度459万枚、19年度453万枚と推移してきた。
 

パレットには所有者が明示されている

パレットには所有者が明示されている


 

しかし、回収されているパレットは全体の約6割。
 

用紙搬入時に紙を載せているパレットは製紙メーカーの所有物で、印刷加工終了後は速やかに返却しなければならない。もし、用紙の物流以外に流用した場合は、「法令違反」に当たる。
 

用紙を載せているパレットは「貸与」されているもので、転用などを防ぐためにパレットに社名・工場名を明示し所有権が明確されている。
 

大手製紙メーカー6社は、年間の2カ月間を分担して各社で周知のためのビラを出荷伝票に添付するなどして、用紙の搬入以外に製紙パレットを利用することはコンプライアンス上の問題があるので、空パレットは速やかに無償回収システムで返却するよう呼びかけている。
 

「ホワイト物流」拡大で新たな課題も

 

最近の大きな課題として「ホワイト物流」の問題がある。
 
「ホワイト物流」の「ホワイト」はホワイト企業/ブラック企業と対照させた場合の「ホワイト企業」を指す言葉である。物流を担うトラックドライバーのホワイト化を目指すものだ。
トラックドライバーが大幅に不足し、物が運べないという問題が起きている。トラックドライバーの労働時間が非常に長いことが大きな要因だと言われている。積み込みや荷卸しする時に順番を待たされるために発生する拘束時間が長い。積み込みを手積み手降ろしで行う場合は、荷役作業に非常に手間がかかっているという現状がある。このままでは、トラックドライバーの成り手がいなくなるという強い危機感から、国を挙げて「ホワイト物流」に取り組み始めた。
 
運んでいる物流業者と荷主が協力しあって改善していく運動が「ホワイト物流」で、これに賛同する企業は具体的にその方策を挙げなければならない。その簡単にして一番の切り札が「パレット化」である。
 
手積み手降ろししていた部分をパレット利用に改めるという「一貫パレチゼーション」に変更すると宣言している会社が非常に多い。

そのため、製紙パレットが不正に流用される事態が起きている。
 

パレットが不足している状況で、手頃な製紙パレットは流用されやすい。これは全業種に関わる問題である。製紙メーカー名の表示されたパレットに白紙以外の商品が載せられたり、輸送されたりしているのは不正流用されていると考えられる。
 

古紙回収業者の用語に「アパッチ」というものがあるという。これは正規の古紙回収業ではない業者が勝手に古紙を回収してしまい、正規業者の業務を阻害することを指すが、製紙パレットでも同じようなことが「ホワイト物流」の影響で起き始めている。
 
この問題提起が回収デポから出てきたので、不正な持ち出しを注意喚起する屋外ポスターを作って、指定マークのある業者以外はパレットを回収させないよう努めている。
 
工場出荷時、1パレットで良かったものが、どんどん小口化していき、各印刷会社に配送されるため、最終的には約5倍のパレットが必要になると言われている。そのため紙を保管・輸送する物流業者もパレットをある程度プールせざるを得ない事情もある。
木材パレットを回収し再利用することにより木材資源を節減し地球環境保護に貢献すること。回収したパレットを再利用することは製紙メーカーのコストダウンにもつながる。
 

【共同回収事業参加37社】
 

▽王子物流▽日本製紙▽北越コーポレーション▽三菱製紙▽中越パルプ工業▽特種東海製紙▽大興製紙
 

▽アテナ製紙▽エリエールテクセル▽王子製紙▽王子マテリア▽王子エフテックス▽王子イメージングメディア▽王子パッケージング▽王子タック▽大阪製紙▽コクヨ工業滋賀▽国永紙業▽五條製紙▽小林クリエイト▽大王製紙▽大昭和加工紙業▽大日本印刷▽立山製紙▽トライフ▽東京製紙▽凸版印刷▽トッパン・フォームズ・サービス▽日本製紙パピリア▽日本通信紙▽富士フイルム▽丸井製紙▽丸住製紙▽ユポ・コーポレーション▽リンテック▽レンゴー
 

製紙パレット機構URL:http://www.spallet.co.jp/
 
 

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