京セラドキュメントソリューションズ㈱(本社・大阪府大阪市中央区、伊奈憲彦社長)のインクジェットプリントヘッドを自動でメンテナンスする技術が、第70回「工業技術賞」を受賞した。
「工業技術賞」は一般社団法人大阪工研協会が主催するもので、科学技術の振興と若い研究者・技術者の育成のために、同会会員企業所属の技術者または特別会員研究者の中から、将来性も含めて工業化へ大きく寄与する研究開発や現場技術の進歩改善に功績に対して贈られる。
今回同社が受賞した技術は「クリーニング液供給システムを用いたプリントヘッドメンテナンス技術の開発」。
これは、同社が新規事業として今年3月から国内市場で販売を開始した商業用インクジェットプリンター「TASKalfa Pro15000c」に搭載されているプリントヘッドを自動でメンテナンスする技術となる。
インクジェットプリンターの出力品質を維持するためには、プリントヘッド表面で乾燥してしまったインクや汚れを除去し、つねにクリーンな状態に保つ必要がある。
そのためにこの技術では、乾燥したインクを溶解させる独自のクリーニング液を開発し、この液をヘッド端部に設けた専用ノズルからブレードに供給することにより、ヘッド表面を拭くことで汚れを除去することに成功している。
さらに、クリーニング液のみでの仕上げ拭きやブレード自体の洗浄システムを組み込むことにより、メンテナンスフリーでA4判6000万枚の印字を可能にしている。
同社ではプリンターや複合機の開発で長年培ってきた長寿命技術をベースに、部品交換の少ない、環境にやさしいインクジェットプリンターとして「TASKalfa Pro15000c」を製品化した。
同社では今後も、さらに高い信頼性を安価なシステムで実現できる製品開発を進めていく方針を採っている。
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