イーストマン・コダック社は6月16日、オンライン記者会見を開催し、新しいインクジェット印刷機とオフセット印刷およびデジタルソリューションのラインアップ拡充を発表した。
今回の新発表は、従来のワークフローを効率化し、成長機会を創出することで印刷会社の収益性向上実現を目指した新技術となる。
会見の冒頭、あいさつに立った同社でエグゼクティブチェアマンを務めるジム・コンティネンザ氏は「我々は印刷技術の向上、デジタル印刷の強化、業界の進化にともなう生産性向上と成長を実現する製品開発のために、年間で約2500万ドルを投資している。たとえば、今回発表する“PROSPER ULTRA520インクジェットプレス”は、当社の印刷における革新的技術開発への飽くなき追求から生まれた製品の1つとなる。オフセット印刷用プレートからワークフローソフト、デジタル印刷機にいたるまで、我々のソリューションのフルラインナップを導入することにより、ユーザーのみなさんはすぐれた収益性を確保することができるだろう」と述べた。
今回発表した主な新製品は次のとおり。
▽KODAK PROSPER ULTRA520プレス
KODAK PROSPER6000プレスの伝統を継承しながらインクジェットをさらに次の段階に進展させており、高い印字面積を要するグロスコート紙に印刷する場合、バリアブル印刷で一貫して毎分150㍍の高速生産性を確保し、オフセット印刷に匹敵する品質を提供するもの。
しかもすべての機能が低いランニングコストで実現できる。
この新しい印刷機はULTRASTREMライティングシステムを採用して製造した初めての印刷機で、より小さな完全な真円形状のインク液滴を高精度で着弾させ、最高品質のインクジェット印刷画像を生成する。
高品質でコスト効率にすぐれた水性インクを使用して多様な原反への高速印刷を可能とし、生産性の最大化を念頭に設計されている。
ダイレクトメール、販促用ツール、カタログ、書籍など、幅広い用途での活用が見込まれる。発売開始は今年末を予定している。
▽UTECO SAPPHIRE EVO Wプレス
フレキソ印刷に匹敵する生産性とグラビア印刷に匹敵する印刷品質を提供する、初のデジタルパッケージング印刷機。
高解像度ULTRASTREAMインクジェットテクノロジーとQDパッケージングインクを使用し、デジタル印刷を軟包装材製作の主流となりうるモデル。
2万平方㍍までの小ロット生産、もしくはそれ以上のロットでのバリアブルコンテンツで、デジタル印刷の強みを活かすことができる。
同機は現在、受注を開始している。
▽KODAK SONORA XTRAプロセスフリープレート
同社では次世代の業界標準プレートとして注目を集める完全無処理プレートの技術革新を続けており、今回の新製品では視認性や耐傷性をさらに高め、またさらなる高感度化により生産性アップも実現した。
SONORAプロセスフリープレートの技術は世界で4000社以上の印刷会社で採用されている。
この新製品のSONORA XTRAプロセスフリープレートは今年末に販売開始を予定。(SONORA XTRAは海外市場向け製品で、日本市場向けにはSONORA CX2/NX2を提供中)
▽KODAK PRINERGY On Demandワークフロープラットフォーム
PRINERGYワークフローを最新化し、投資効果(ROI)を最大限に高める新たなグローバルプラットフォーム。
同社がクラウド環境でホスティングおよび管理し、コスト効率の高い月額サブスクリプションで利用可能となる。
KODAK PRINERGY On Demandは堅牢なセキュリティー機能を備えたマイクロソフトAzureのネットワークインフラを基盤としているため、ユーザーは自社のデータやシステムが常時、安全に保護されていることを確信することができる。
KODAK PRINERGY On Demandは現在販売中で、新しいオプションが今年末にリリースされる予定。
▽KODAK MAGNUS Q800プレートセッター
出力スピードをもう一段階向上させ、完全無処理プレート対応の世界最速四六全判CTPとして、新たにTスピードオプションを加えた。
KODAK MAGNUS Q800プレートセッターは最大毎時80版の出力能力を備え、オフセット印刷ワークフローの生産性の最大化に寄与する。
イメージング速度の向上には工程全体の自動化も不可欠であるため、合わせて最大3200版の大量処理に対応する最新型マルチパレットローダーも上市。
Tスピードについては今月からベータテストに入り、9月から販売を開始する予定。
1パレットあたり1500版の収納力を持つシングルパレットローダー/マルチパレットローダーは今月に出荷開始予定となる。
▽KODAK MAGNUS Q4800プレートセッター
2021年に上市予定の超大判サイズ(XLF)向けの新モデル。
96ページ用超大判印刷機に対応し、1650㍉幅の2枚のプレートの同時露光が可能な唯一のプレートセッターとして市場最速の生産性を実現する。
さらに、最大8種類のプレートサイズと最大4800版までのプレートをインラインで処理可能なパレットオートメーション機能を持ち、柔軟で高度な自動化も実現する。
▽KODAK NEXFINITYデジタル印刷機
商業印刷、ダイレクトメール、出版、フォトブック、パッケージなど、利益率の高いさまざまなタイプの仕事で、オフセット印刷に匹敵する印刷品質を提供するモデル。
最大356×1295㍉、610ミクロン厚の原反に対応。
最大毎分152ページの高速生産性を持つとともに、特殊インク、カスタムスポットカラー、マット仕上げやグロス仕上げといった12種類のデジタル加飾・付加価値印刷ができる第5イメージングユニットを標準装備している。