2020年04月01日

京セラドキュメントソリューションズ㈱(本社・大阪府大阪市中央区、伊奈憲彦社長)は、新たに商業用高速インクジェット事業に参入、新開発のインクジェットプロダクションプリンター「TASKalfa Pro 15000c」をpage2020で初公開するとともに、3月から日本国内市場での販売を開始した。

この新製品は毎時9000枚の高生産性、高耐久性、独自機構による安定した画像品質と高精度な表裏見当、幅広いメディア対応力、簡単メンテナンスなど、中小印刷会社で導入・活用されることを意識して開発したプロダクションプリンターとなる。

同社製品の国内販売を手掛ける京セラドキュメントソリューションズジャパン㈱営業本部の谷口昌副本部長に、この「TASKalfa Pro 15000c」の特徴や機能などについて話を聞いた。

 

 

――商業用高速インクジェット事業に参入した狙いについてお聞かせ下さい。

谷口副本部長

谷口副本部長

谷口 京セラドキュメントソリューションズではこれまで、事務機系のプリンターや複合機、コピー機をフルラインアップで揃え、お客さまに最適な製品を提供してきました。このドキュメント機器事業の一環として、事業拡大を図るため商業用高速インクジェット事業に本格参入することにしました。これまでにオフィス向けプリンター・複合機で培ったノウハウと京セラのインクジェットプリントヘッドの技術を合わせ、グループの総合力を活かして事業を展開していきます。

 

商業印刷向けのデジタル印刷機は、月間印刷枚数10万枚程で初期投資額が1000万円を切るような電子写真方式のプリントオンデマンド印刷機と、月間印刷枚数が1000万枚以上で初期投資額が1億円超となる連帳型のインクジェット印刷機に2極化しています。今回発表した「TASKalfa Pro 15000c」は、既存のプリントオンデマンド印刷機を圧倒する高生産性、連帳型インクジェットプリンターよりも安価な価格という、それぞれの中間ニーズを狙った製品であり、新たな市場を開拓していく計画です。

 

月間平均印刷枚数100万枚を想定

 

――この「TASKalfa Pro 15000c」はどのような特徴、機能を持っていますか?

谷口 開発にあたってとくに力を入れたのが、生産性、画像品質、メディア対応力、メンテナンス性、インラインオプションです。

「TASKalfa Pro 15000c」は京セラ製のライン型インクジェットヘッドを採用し、高速シングルパス印刷を実現しています。たしかな用紙搬送システムと安定した高速給紙で大量の連続印刷を確実に行います。また、色味が安定しているので、印刷の途中で色調整のためのキャリブレーションが入ったり、厚紙に印刷をするために速度を落としたりといった、「カタログスペックではわからない生産能力の低下」もありません。

 

TASKalfa15000c

TASKalfa15000c

安定した高速給紙を可能にしているのがエアピックシステムです。オプションの大容量ペーパーフィーダーはエアピックシステムを採用しており、左右からのエアアシスト給紙による捌き効果に加え、用紙上面をエアで1枚ずつ吸着することにより用紙搬送がスムーズに行えます。重送(多数送り)の発生を低減し、大量印刷時においてもすぐれた用紙搬送を実現します。

 

出力スピードは、このクラスのプロダクションプリンターとしては最速となるA4カット紙で毎分150枚、毎時9000枚です。この生産性は360㌘/平方㍍の厚紙でも変わりません。印刷中でも用紙補充や出力紙の取り出し、インクコンテナの交換が可能な設計により、作業を止めない「ノンストップ生産」を実現しており、月間平均印刷枚数は100万枚を想定しています。

 

バリアブル印刷では、標準搭載されているコントローラーに加えて、オプションのFiery印刷サーバーを使うことができ、1部ずつ内容の異なるバリアブル印刷や小ロット印刷、多品種印刷の生産性向上をサポートします。

 

メンテナンスについては、本体やオプション機器の内部に正面からアクセスできるため素早く容易に行うことができ、ダウンタイムを最小限に抑えられます。すべての消耗品に機器正面からアクセスできるので交換作業も簡単です。

 

印刷作業を止めずに紙・インク交換可能

 

本体の給紙容量は4565枚ですが、オプションの2500枚×2段ペーパーフィーダーを2台直結し、550枚手差しキットを装着すると、1度に合わせて最大1万4950枚をセットすることができます。また、本体上部の500枚出力トレイに加え、5000枚スタッカーを2台連結し、4000枚フィニッシャーを組み合わせると、1度に最大1万5200枚の出力紙をストックできます。スタッカーには台車が付いていますので、そのまま次の工程に運ぶことができます。

用紙は印刷中にもセットできます。また、排出先を5000枚スタッカーから別のスタッカー、あるいはフィニッシャーのトレイに移せるので継続した出力が可能です。

 

インクに関しても、サブインクタンクを搭載することで、インク切れの際にも印刷を止めることなくインクコンテナを交換することができるようにしています。

 

「TASKalfa Pro 15000c」にはこのほか、両面同時読込スキャナーが標準搭載されていて、フルカラー・モノクロともに毎分220ページ(300dpi/A4)の高速でスキャンします。原稿トレイには最大270枚セットでき、素早く処理ができます。

 

用紙位置を検知して自動で調整・印刷

 

――page2020では刷り見本を手に取って見入っている人を多く見かけましたが、印刷品質に対する反応はいかがでしたか?

インク吐出タイミング補正

インク吐出タイミング補正

谷口 たくさんの印刷のプロの方々から高い評価を頂き、スタッフ一同とても喜んでいます。

「TASKalfa Pro 15000c」はプロダクションプリントに求められる色味の維持性と安定性により、高い画像品質を実現しています。解像度は600×1200dpiです。

フォトタイプのプリンターでは1枚目と1000枚目では色味が変わってしまったというようなお悩みをよくお伺いします。「TASKalfa Pro 15000c」はインクジェット方式による高い生産性を保ちながら1枚目、1000枚目、さらには1万枚目でも色味を安定的に維持したまま出力します。また、インク吐出タイミング補正機能により、色ズレのない高画質を実現しています。その仕組みは、まずスピードセンサーにより紙の微妙な送り速度をリアルタイムで検知します。そして検知した速度データをプリントヘッドに送り、そのデータをもとに速度変化に合わせてインクの吐出タイミングを調整して、つねに最適なタイミングでインクを吐出します。こうした作業により高い画像品質を保っています。

 

高精度な表裏見当

高精度な表裏見当

商業印刷では表裏見当も重要な要素ですが、「TASKalfa Pro 15000c」ではコンタクトイメージセンサー(CIS)が印刷中の用紙の両端位置を検知し、用紙位置データをリアルタイムでビデオコントローラーへ送信し、そのデータに基づいて両面の画像を正確な位置に印刷します。これにより、物理的に用紙位置を調整することなく、ズレのない両面印刷ができます。

 

また「TASKalfa Pro 15000c」では、CISが用紙のある領域を検出し、インクが用紙上にのみ吐出されるようにコントロールします。そのため、パンチ穴が開いている箇所や紙の角が折れているような箇所にはインクが吐出されず、搬送ベルトのインク付着による画像の悪化を防ぎます。

今回独自開発した水性顔料インクは、耐光性、耐水性にすぐれ、環境にもやさしい高発色インクとなっています。鮮やかに発色し、にじみや裏うつりの少ない印刷を行うことができます。

 

封筒やエンボス紙など多様なメディアに対応

 

――どのような紙種、紙厚に対応していますか?

多種多様な紙種に対応谷口 インクジェットヘッドと用紙の距離を用紙種に合わせて調整する機能と専用の水性顔料インクにより、普通紙、厚紙、インクジェット専用紙、インクジェットマット紙、ハガキ、タブ紙、エンボス紙、封筒、さらにバナー紙など多種多様な用紙に対応しますので、幅広い印刷業務に活用することができます。熱をかけないので表面がコットン素材みたいなものにもきれいに印刷ができます。厚紙は360㌘/平方㍍まで、サイズはA6からSRA3の定型サイズに対応。さらにオプションのバナートレイは1220㍉までの長尺サイズをサポートしています。

こうしたさまざまな用紙に対応するため、最適カール調整機能も搭載しています。機械式&温風式デカーラーが搭載されたダブルデカーラーシステムは、用紙タイプに応じた最適なカール量調整を自動で行います。反転デカーラーユニットは後処理に最適なカール量となるように高速温風ファンを使用しています。

 

ビジネスに合わせて柔軟にカスタマイズ

 

――インラインオプションについて紹介して下さい。

高速印字に適したインク

高速印字に適したインク

谷口 給紙用ペーパーフィーダー、排紙用スタッカーに加え、仕上げの多彩なオプション機器を用意しています。お客さまはそれぞれのビジネスに適したシステムにカスタマイズできます。

お奨めの構成としては、スタンダードモデル、ベースモデル、プリンティングサービスプロバイダーモデル1/2、フルオプションモデルがあります。スタンダードモデルは本体+2500枚×2段ペーパーフィーダー+反転デカーラーユニット、プリンティングサービスプロバイダーモデル2は本体+2500枚×2段ペーパーフィーダー+反転デカーラーユニット+5000枚スタッカー+4000枚フィニッシャーの構成となっています。

4000枚フィニッシャーは、シフト排出と100枚までのステープルができます。また、フィニッシャーの拡張ユニットとして、中綴じ/2つ折り/3つ折りに対応した中折りユニット、2穴/3穴のパンチ加工に対応したパンチユニット、長尺用紙をスタックできるバナー用排紙トレイをラインアップしています。

 

「TASKalfa Pro 15000c」は、サイズがとてもコンパクトな点も特徴のひとつです。幅は740㍉、操作パネルを含まない高さは1000㍉と、高い生産性、高耐久性にも関わらずコピー機並みのサイズです。全長はスピードモデルで4460㍉、プリンティングサービスプロバイダーモデル2で5840㍉です。日本は地価が高いことから、工場スペースもコスト負担になります。したがいまして、「コンパクト」な機械サイズであることはお客さまにとって大きなメリットだと思います。

 

印刷業界は市場ニーズがますます多様化しており、印刷会社は新たな対応を求められています。「TASKalfa Pro 15000c」はこれまでお話ししましたように、オフィス向けプリンター・複合機で培ったノウハウと、京セラのインクジェットプリントヘッドの技術を融合して開発したプロダクションプリンターで、高い生産性、すぐれた画像品質、幅広いメディア対応力、ビジネスに合わせてカスタマイズできる豊富なインラインオプション、簡単メンテナンスなど、さまざまなすぐれた特徴・機能を持っています。事業拡大に向けて、またビジネスの可能性を拡げる選択肢のひとつとしてぜひ導入を検討して頂きたいと思います。

 

日本印刷新聞 2020年3月23日付掲載

 

 

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