2020年04月01日

紙器パッケージ製品の企画・デザインから製造・納品までのオールインワンシステムによる事業展開をしている㈱タナパックス(本社・愛知県あま市七宝町沖之島十坪20の2、田中正博社長)では2019年11月、その製造体制のさらなる強化を図るべく、Koenig&Bauer Iberica製のフラットベッド型ダイカッター「OPTIMA106」を導入した。同社では2016年2月、それまでは社内外注をしていた印刷工程を内製化するためにKoenig&Bauer製の菊全判6色コーター付UV印刷機「Rapida106-6」を導入し、顧客から信頼されるような製品品質の向上・安定化と短納期対応を両立する一気通貫の体制を完成させている。今回の「OPTIMA106」の新規導入をもって、そのオールインワンシステムをさらにいっそう強固なものとした。

 

4年前に導入したRapida106-6の
高生産性が外注の大幅削減に寄与

 

同社は昭和27年に創業したパッケージ製造に特化した紙工会社。化粧箱・貼り箱のほかにシールや紙製什器の製作などを行っており、上流工程となる企画・製版・デザインからの一貫した製造体制を敷いている。

Rapida106-6

Rapida106-6

同社がオールインワンシステムを構築する上でもっとも最後に取り組んだのが印刷工程で、2016年2月に菊全判6色コーター付UV印刷機「Rapida106-6」を導入した。それまで印刷工程については、同社の敷地に専用工場を建ててそこに協力会社に入ってもらう社内外注で対応しており、菊全判5色コーター付機と菊全判2色機の2台で生産。この2台をもって同社製品のおよそ半分を印刷し、残りの半分は外注をしていた。「事業も成長していて生産性を上げる必要もあり、かつ顧客からの信頼を獲得するには上流から下流までの全工程を社内で備える必要があると判断した。そこで、新たに自社内で印刷工程もまかなうべく印刷機の導入に踏み切った。社内外注の2台の印刷機で行っていたものを“Rapida106-6”1台に集約したが生産性は飛躍的に向上しており、全生産量は増えているにも関わらず印刷工程の外注比率は2割を切るまでになった。この2割弱についても、印刷機の生産能力不足で納期に間に合わないために外注したものではなく、単色物やサイズが小さいものなど、印刷機が持つ能力とマッチしない仕事を外注している。導入当初に期待していた内製化による外注費削減、納期短縮、品質向上という点が狙い通りに果たされた」(田中社長)

 

最高速でも余裕がある稼働状況
堅牢な作りと高い精度を両立

 

田中社長

田中社長

印刷工程の生産性だけが向上してもその後の工程の生産性がそれに見合ったものでなければ、工場内に中間滞留品が増えるだけになる。そこで同社では、Koenig&Bauer製印刷機によるこの成功を踏まえ、平盤打ち抜き機の更新による生産性向上を目指した。稼働する平盤打ち抜き機は、これまでは国産機2台と輸入機1台の計3台構成で、そのうちの国産機の老朽化が進んでいたので入れ替えを検討した。「この国産の平盤打ち抜き機は、貼り箱用途の薄紙から板紙、そして薄い段ボールまで処理できるのでとても重宝していた。ただ、稼働期間も長くなって更新時期を迎えていた。入れ替えについて考えていたところに、Koenig&Bauer JP㈱(本社・東京都中央区、岡田修社長)から“OPTIMA106”の提案・紹介を受けた。Koenig&Bauer Ibericaの製造工場を実際に見学してみて、とてもしっかりとした作りの機械で当社のニーズに合うことがわかった」と「OPTIMA106」の導入経緯について田中社長は語る。

フラットベッドダイカッター「OPTIMA106」について田中社長が「しっかりした作り」と評価した点、それは稼働音の静粛性が高いことからわかる筐体の堅牢さ、そして用紙搬送がベルトだけではなくギア駆動を採用することによる狂いのない精度だ。「以前の平盤打ち抜き機では条件が良くても毎時5000~6000回転でしか稼働させられなかったが、この“OPTIMA106”では毎時8500回転で稼働させられるので生産性は1.5倍におよぶ。隣で稼働する機械より速いスピードで稼働しても稼働音が全然小さい。毎時8500回転がこの機械の最高回転速度ではあるが、その速度で回してもまだ余力を残しているかのような感じに見受けられ、機械がまったく無理をしていない。品質検査のカメラも搭載しているがほとんど反応がないことからも精度の高さを感じる。これも機械自体の堅牢性の高さとギア駆動がもたらされた効果なのだろうと思う」と、同社の加藤修二生産技術責任者は高く評価している。

 

むしり作業もインラインで処理
トータルスループットが向上

 

加藤生産技術責任者

加藤生産技術責任者

この「OPTIMA106」は、スジ入れ・断裁に加え、インラインでのストリッピング(カス取り)機能を搭載したモデルで、コートボールやプラスティック、さらには最大3㍉(Eフルート)までの段ボールへの加工も可能としている。現在、同社では3台の平盤打ち抜き機の仕事の分担について、大ロットのものを生産性がもっとも高い「OPTIMA106」に振り分けるようにしている。また、打ち抜き後のむしり作業をするためのブランキングシステムを設備しているが、その機械の処理能力は打ち抜き機の総処理能力の6割程しかないため、同社では残りの分は手作業で対応していた。そこで、この「OPTIMA106」はインラインでのストリッピング機能も有していることから、その機能を活かせるような仕事を優先的に回すことでトータルスループットを向上させている。

稼働開始から3ヶ月が経ち、“OPTIMA106”単体の生産性だけでなくこれを核として生産工程全体の生産性を高めるような効果的な運用法も見えてきた。「オペレーターも最初は高速稼働させることに不安をもっていたが、今ではそれもなくなった。機械操作を特別に得意としているオペレーターばかりが揃っているわけではないが、それでもきちんと回すことができている。これまでのように木型をネジでかしめて固定するのではなくエアーを吹いて空気圧で締めて押さえる機構や、給紙パイルの横ズレにも自動で対応してくれる機能など、機械による自動化によって助けてもらっている部分もあるのだろう」(加藤生産技術責任者)

 

真の意味での高生産性の実現へ
長所をフルに活かす運用を意識

 

OPTIMA106

OPTIMA106

同社ではKoenig&Bauer製品への信頼度が高い。印刷機を4年にわたって使っているが、稼働速度が速いというだけではなく停止時間がないので、真の意味での高生産性がもたらされたという。「これまで印刷機を使ってきて、故障やトラブルで止まることなく本当によく回すことができている。これも機械がしっかりとしているからだ。そしてこの“OPTIMA106”についても、最高速で稼働させても余裕を感じるということは長持ちする機械だと思う。印刷機とは作っている工場は違うが、製品の製造・開発に注いでいる哲学や精神、社風は共通しているのだろう。せっかくすぐれた機械を導入したので、その良さを生産効率アップにつなげられるよう、実際に使うオペレーターにも意識をして活用してもらいたい」と田中社長は「OPTIMA106」への期待を表した。

 

月刊 印刷界 2020年4月号掲載【取材・文 小原安貴】

 

 

 

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