2020年03月20日

マーチング委員会(井上雅博理事長)は、2月7日午後2時から東京・港区芝浦のコニカミノルタジャパン㈱本社セミナールームで、第9回全国大会を開き、基調講演、今後の施策説明、活動発表、情報交換会などを通じて全国の会員66委員会が「先義後利」理念で各地のマーチング活動に関して情報共有を図った。

 

全員で記念撮影

参加者全員で記念撮影

 

全国大会は日比野薫理事の司会進行で、はじめに基調講演として、「自分たちのチカラでできる、まちおこし!資源や活動をシェアしよう」と題して、日本事業構想研究所代表理事の木村俊昭氏が地域創生の事業構想と実践に向けてアドバイスした。
 

基調講演に先立ち、利根川英二理事・マーチングアカデミー塾塾長が「木村講師は元農林水産省企画官として、主に農林水産業を中心とした地域活性化、地域の担い手養成、農商工連携・6次産業化などを担当された。15年ほど前、新宿区役所の地下で地域創生に積極的な人たちが月1回木村講師を中心に集まり会合を開いていた。それに私と鍋島氏が参加したのが縁でお付き合いするようになった。木村講師は地方創生に対して非常に熱い志を持って、いま地方創生を担う人たちを育てている段階で、今日はいろんな事例が紹介されると思うので、皆さんも地元に戻ったら役立ててもらいたい」と紹介した。
 

木村講師は「地域創生の最も大切なことは、『あなたは、あなたの地域は、どの分野の何をどこまで明らかにし、次世代へ引き継ぐのか?』。私は地域創生に関して人財育成プログラムを明らかにしている。印刷・出版業界も人口が減っているから商売が成り立たないのではなく、ちゃんと商売になるという視点を持たないと、じり貧だという形だけで片づけてはいけない」と地域創生「五感六育」事業構想の実践を訴えた。
 

地方創生の基本はヒト・コト・モノの「あるもの探し」

 

木村講師の講演要旨は次のとおり。
 

■はじめに
日本や海外の地域に、年間100カ所ほどの現場を訪ねるが、「私のまちは特徴あるものがない」「ほかのまちと何ら変わらない」「生産や加工、販売の仕組みを創発したい」などの声をよく聴く。地域創生の基本は「あるもの探し」。大学生時から地域現場に入り約40年、私の視点では誇りの持てる産業・歴史・文化などの宝もの、「ひと」「こと」「もの」があると実感する。ここ10年間で訪ねた現場が1000カ所を超えるので、まちの強み・弱みがとてもよく見える。
 

■地域の現状と課題、今後の展開
現状は、日本においては、人口減少、基幹産業の衰退や高齢化の進展など、まちの底力が弱体化している。過疎地域では、必死に努力するも、先が見通せない状況だ。
一方、海外では、人口増加による食料確保や地域開発など、協力依頼を受けることが多い。課題を発見し、「五感(感動・四季)六育」分析から基幹産業(付加価値額)を分析し、現場を歩き、ヒアリングすること。未来に向け、「六育(知育・食育・木食・遊育・健育・職育)」のバランス、そして、タイミング、スピード、パワー、ひとネットワークによる事業構想を真のパートナーと、指標(ものさし)を決め、実現することだ。
 

■地域創生の本質とは何か?
私の約40年にわたる調査研究では、①実学・現場重視②全体最適思考③ストーリー戦略を実践し得るリーダー・プロデューサー人財の養成・定着が急務だ。アリストテレスは「フロニーモス」と叫び、心を研ぎ、イノベーションを興す人財の養成に悩んでいた。私は事業構想と人財養成プログラムの同時実践が重要と考える。とくに①順番(重要性と緊急性、現状に疑問を持て!)②視点(固定観念を捨てろ!)③全体最適な希少性あるストーリーである。
 

■日本地域創生学会の設立とモデル化
2017年8月26日、日本地域創生学会は、全体最適、「五感六育」思考で、学術的研究や政策提言、実践し、地域の未来を担うキーパーソン人財の養成とネットワーク構築を目的に設立した。先駆的モデルとして①全体最適思考による地域創生・SDGsの形成②防災・減災・食・物流・情報・省エネ(避難所)の新たな拠点形成③マスメディアと連携によるインバウンド・物産品開発などのアンケート調査研究(観光産業振興)④「五感六育」事業による地元で創る映画制作(5分もの)⑤働き方改革「快適なオフィス環境」(ソフト・ハード)⑥「五感六育」の健康の推進(ダンスうんどう・足指運動・回想法など)⑦自販機による過疎地域の商品販売戦略・調査研究などを推進中だ。その実績は8月29日午後1時からの総会・研究大会(北海道文教大学)で発表する。
 

■最後に
「あなたは、どの分野の何をどこまで明らかにし、どこからを次世代へ引き継ぐのか?」。地域の知恵を最大限に活かし、国内外の課題解決に貢献すること。2020年度は、前記の先駆的モデル創発のほか、地域創生や事業承継に関する新書籍を出版予定だ。これからも、私は国・自治体、大学や研究機関などとともに、日本の地域をはじめ、ASEAN諸国などに、地域創生モデルと地域人財の養成など、真心・恕と志を持ち、「好き・楽しい・おもしろい」、笑顔・感動と感謝、「できない」を「できる!」に変える実践をしたい。

 

新情報誌『+m(プラス・エム)』の活用法説く

 

今後の施策では、利根川塾長が2020年度推進事項のポイントを説明したのち、とくに新たな情報誌『+m(プラス・エム)』について鍋島裕俊理事と瀬田章弘理事が発行の経緯と内容、活用方法について説明した。
 

鍋島理事は「『inJapan』は、インバウンド向けの性格を持った情報誌で全国の魅力ある地域資源の告知がメインであり、今後も必要なテーマである。一方で、2020年になり、マーチング委員会もSDGsを掲げる中で、マーチング委員会内部でも協創(課題に対する共通認識と活動に対する情報の共有化)の強化が重要である。併せて地域にあるさまざまな業界企業(外部)との協創も重要である。個々のマーケティング委員会が地元地域で手掛けている地域活動の事例を紹介することで、まだ地域との関係づくりが薄いと感じている委員会に、『こんな感じで進めてください』『こんな感じで地域を重ねてください』『こんな人やこんな団体とつながってください』というヒントを提供するための新しいメディアが『+m』と理解してもらいたい」と発刊の目的を強調した。
さらに事例の一つとして、ローカルメディアを①新しい視点の流通②サブスクリプション(会員制)③双方向④まちづくり⑤地域の課題解決⑥アーカイブ性を活かす⑦デザイン――の7つのエリアに分けて印刷物を展示紹介した新聞博物館ニュースパーク「地域の編集」企画展をはじめ、最近のローカルメディアの特色を紹介した。
 

新情報誌「+m」でまちなみ百景や地域創生の事例を紹介

 

瀬田理事は、新情報誌発刊の背景と内容について次のように説明した。
 

「全国のマーチング委員会を対象に行ったアンケート調査で、活発にマーチング活動している会員と動いていない会員と二極化していることがわかった。動いていない会員の理由を見ると『人手が足りない』や『時間が割けない』というのがほとんど。つまり、会社の事業活動の中でマーチング活動の優先順位が低いということである。
しかし、当社(あだちマーチング委員会)は自慢ではなく、いま案件が多過ぎて対応に苦慮している。最近も足立区のコンペに参加して足立区最大のイベントで、70万人動員する花火大会のプロモーションを一括受注することができた。
いま、10~50人規模の印刷会社は大チャンスである。地方だけでなく東京の印刷会社も厳しい。やはり地域のプラットフォームを自分たちで作ってリーダーになることが大きなポイントで、視点を変えないと仕事はもう発生しない。地方自治体の77%が地方創生総合戦略策定を外部コンサルに委託している。そのうちの54%が東京の会社である。実際にはもっと多くの皆さんへの予算が東京のコンサル会社に流れている。本来なら地域で一緒に汗をかいて真面目にやっている地元の印刷会社こそが、地方自治体のパートナーとなり、恩恵を被るべきなのに、われわれがそれを逃しているのが現実である。
マーチング委員会の理念は『先義後利』で、私も今でこそ良い流れができているが、最初から仕事をくださいとは絶対言わない。まず相手の課題を聞き出し、自社のできることを知ってもらうことに徹するなど2、3年下積みを経験して信頼関係ができてきた時に提案すると相手も乗ってきてパートナーとしての扱いになる。私の大好きな二宮尊徳の言葉に『道徳を忘れた経済は罪悪であり、経済を忘れた道徳は寝言である』というのがある。先義後利も良いが、やはり利益がないと優先順位を上げていけないというのが本音だと思う。SDGsやCSRも同じことで、義を立てることで利益をいかにとっていくかというCSVにつなげ、皆さんがビジネスとして経済循環していくための情報提供ツールが『+m』である。
現在、マーチング委員会の半分は活性化しているということは経済循環が回り出しているということ。その情報を皆さんにお伝えしたい。とくに普段会合に出られなかったり、優先順位が低い会員にこそ情報をしっかりキャッチしてもらいたい。
『+m』には、まちなみ百景や地域創生の事例を掲載する。また、皆さんの地域のこだわりのお店や商品を紙面で紹介したい。それによってお客様のためにも、仲介した皆さんのためにもなる。われわれもお中元やお歳暮など百貨店のありきたりのものではなく、われわれのアンテナでキャッチアップした良いものを贈ることで喜んでいただきたいという良い循環が生まれる。
さらに、印刷会社以外にも地方創生の成功事例がたくさんあるのでその情報を発信できるコーナーも作っていきたい。また、地方創生に役立つ協賛企業のシステムやスキームなどの情報も積極的に発信していきたい。
『+m』はオンデマンド印刷で行い、コンテンツのデータは皆さんに提供するので自由に活用してもらいたい。営業ツールとしてお客様に届けてもらい、実現可能な事例をビジネスにつなげてもらいたい。とにかく成功事例をみんなでシェアし、成功するためのいろいろなツールや、印刷会社以外の成功事例を発信することで、各委員会に少しでも利益を上げてもらいその経済循環によって地域創生のお手伝いができればと考えている」
 

活動発表では、「マーチング活動のJ・K・S」のテーマで東三河マーチング委員会の金子徹氏が自身の取り組みを語った。さらに会員紹介では、昨年7月以降に入会した4会員のうち、この日参加した、いわてマーチング委員会と鎌倉・横須賀・三浦マーチング委員会が紹介された。神戸マーチング委員会とさいたまマーチング委員会は欠席。
 
 

PAGE TOP