2020年03月19日

全日本印刷工業組合連合会(臼田真人会長)は、新型コロナウイルスの感染拡大による日本経済全体への深刻な影響、とくに印刷産業として年度末に集中する全国各地の官公需業務の停滞を懸念して、2月25日付で梶山弘志経済産業大臣に対し、「新型コロナウイルスの感染拡大による今年度末における官公需対応のお願い」の緊急要請文を提出していたが、その1週間後の3月3日、異例の速さで国(経済産業省・中小企業庁)からの、「配慮要請」ならびに「要請文」の発表・発出を実現した。

 

官公需取引の改善へ

 

全印工連では、これまでも国に対して、①適正価格での受注②知的財産権の保護③官公需業務の年度末集中――の3つの課題解決を求め、とくに昨年は臼田会長が都道府県中小企業者調達推進協議会(※地方自治体においても、「国の契約の基本方針」に定められた中小企業者の受注確保の取り組みを浸透させることを目的として設置された会議)に出席し、印刷産業の官公需取引の改善、とくに年度末集中の問題解決を訴えたところであり、今回、その成果が実ったかたちとなった。全印工連では今回の官公需取引の改善をきっかけに、さらに民間取引における商習慣の改善につなげたい考えだ。

 

予定価格の見直しまで踏み込む

 

今回の国の発表(「配慮要請」ならびに「要請文」)では、次の3項目の周知徹底を求めている。

 

1、柔軟な納期・工期の設定・変更及び迅速な支払
国等は、中小企業・小規模事業者との物件等の契約において、例えば翌年度にわたる納期の変更など、年度末等の納期・工期について柔軟な対応を行うとともに、支払時期については、発注に係る工事等の完了後(前金払、中間前金払においてはその都度)、速やかに支払いを行うよう努めるものとする。
2、適切な予定価格の見直し
国等は、新型コロナウイルス感染症の拡大により影響を受けている需給の状況、原材料費及び輸送費等の最新の実勢価格等を踏まえた積算に基づき、適切に予定価格の見直しを行うものとする。
3、官公需相談窓口における相談対応
国等は、官公需相談窓口において、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業・小規模事業者の相談に適切に対応するものとする。
今回、とくに注目すべき点は、原材料費から輸送費までサプライチェーンの影響を意識した、「最新の実勢価格を踏まえた予定価格の積算見直し」まで踏み込まれているところである。

 

なお、この「配慮要請」はすでに中小企業庁のホームページに掲載され、「要請文書」は3月3日に中小企業庁から国・地方自治体など(352カ所、各都道府県知事、人口10万人以上の市の長および特別区の長あて)に対して中小企業庁長官名で一斉に配信された。

 

全印工連では、今回の国の異例の早い対応を受け、日本を代表する地場産業ならびに日本全国各地域の活性化を担う基幹産業として、社会的責任を十分果たせるよう、産業界を挙げて官公需への対応に全力を注ぐと同時に、一層の官公需取引改善活動に努めていく考え。

 

 

全印工連は3月5日午後、都内で記者会見を開き、臼田会長、滝澤光正副会長、池尻淳一専務理事が今回の経緯や今後の対応について説明した。

 

臼田会長は「2月25日付で経済産業大臣あてに文書で新型コロナウイルスの感染拡大による官公需取引の年度末納期の柔軟な対応を要望したところ、さっそく中小企業庁から連絡があり、『官公需における配慮要請』を各府省等へ発出・発行していただいた。私が驚いたのは、配慮要請の中に『適切な予定価格の見直し』を加えていただいたことである。ご存じの通り、全印工連ではかねてから最低制限価格制度ならびに予定価格の適正化を訴え続けており、前田泰宏中企庁長官が実はわれわれの要望にプラスセットして、今回の中企庁発行の各官公庁等に向けた配慮要請をしていただいた。併せて、各府省等の官公需相談窓口における相談対応を含め、問い合せ窓口も設置していただき、われわれ全印工連組合員のみならず、中小・小規模事業者の印刷産業に対して、また官公需取引の全国の中小・小規模事業者に対しての窓口をものすごいスピード感を持って対処していただいことをご報告したい。改めて、このような非常事態と言える中、速やかにご対応いただいた経産省コンテンツ課の髙木課長はじめ、今回声明文を配信していただいた前田中企庁長官に対し、中小企業・小規模事業者、印刷産業を代表して心から感謝申し上げる。ただ、対策についてはまだまだこれからなので、引き続き、全印工連としては組合員からの相談窓口も全印工連内に設置して、官公需取引に関する取引状況を注視していきたい」と述べた。

 

さらに、池尻専務理事が「今回の件については全国の理事長に発表済みで、今回の発令を有効活用し、取引先と交渉するよう通達している。何か問題があれば私の方(全印工連)へ連絡いただければ中企庁、経産省コンテンツ課に申し入れを行う」と補足説明した。

 

全印工連では、毎年1回春に官公需活動に関するアンケート調査を実施しているが、今年はゴールデンウイーク明けの5月ごろに配慮要請の効果を確認する項目を加えて実施したい考え。

 

 

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