2020年01月02日

昨年11月、ハイデルベルグ・ジャパン㈱(本社・東京都品川区)の社長にヨルグ・バウアー氏が新たに就任した。世界の最先端の印刷テクノロジーを国内に紹介し、日本の印刷業界の革新をリードする同社の今後の方向性と新たな取り組みなどについて、バウアー社長に話を聞いた。

 

バウアー社長

バウアー社長

ヨルグ・バウアー社長

ドイツ・ハイデルベルク出身、1964年5月18日生の55歳。

ドイツのオッフェンブルグ大学卒業後、1990年にハイデルベルグ社にサービスエンジニアとして入社。

1993年に来日してハイデルベルグ・ジャパンの技術サービス本部に配属。

2000年にハイデルベルグ社のプリネクト製品部部長に就任。

2008年に再来日してハイデルベルグ・ジャパンの執行役員(プリネクト本部長)に就任。

2011年にハイデルベルグ・ジャパンの取締役に就任し、プリネクト・CtP・コンシューマブル本部、カスタマーサービス本部、営業本部の本部長を歴任。

2019年11月から現職。

 

 

 

 

 

お客様が成功すること、それがハイデルベルグ・ジャパンにとっての成功

――新社長としての抱負をお聞かせ下さい。また、社長就任にあたり社内にはどのようなメッセージを発信しましたか?

バウアー 私が考える当社にとってもっとも大事なこと、それは日本のお客様がビジネスで成功できるような本当の付加価値を提供すること、そして長期的なビジネスパートナーして選んでもらえるようになることです。

なによりもお客様が成功すること、それこそがハイデルベルグ・ジャパンが成功したと言える時です。そのためにはまず、我々がお客様のビジネスの目標をきちんと理解する必要があります。お客様の目標がどのようなものなのかを理解するには、お客様の声にしっかりと耳を傾けなくてはなりません。そして、目標を達成する上でなにが必要なのか、なにが問題なのかについて考え、それをどうしたら解決できるのか、お客様と真摯に向き合い、話し合わなくてはなりません。それができた上で、新しい解決策を提示し、その解決法をお客様と一緒に実行しましょう。そして、その解決策がお客様の目標を完全に達成するまで我々はサポートし続けなければなりません。

そのためには社員同士が相互に協力する必要がありますし、ともすれば大幅な社内プロセスの変化・改善が求められることもあるでしょう。言い換えれば、社内で問題を共有し、どのような解決策があるかをみんなで意見を出し合い、新しい方法・手段を実行する勇気も必要になります。

私は社員全員がOne Teamとなって力を結集させれば必ずや成功できると信じています。

 

――ハイデルベルググループおよびハイデルベルグ・ジャパンの強み、そして課題や問題はどこにあるとお考えですか?とくに、枚葉オフセット印刷機の国内総出荷台数は近年下降気味です。どのような対応策を採っていくのでしょうか?

バウアー 我々の強みは、装置、ソフト、印刷必需品、サービスでend to endソリューションをご提案できることです。

昨今、お客様が直面している問題は大変複雑で、それぞれが関連しています。我々は印刷ビジネスをend to endで理解している会社のみがこうした問題を解決できると強く信じています。そして、それこそがハイデルベルグです。

いつも申し上げておりますように、すでに1万3000台以上の機械、2万8000以上のプリネクトモジュールがハイデルベルグのリモートサービスに接続されており、そこから得られる情報は我々の貴重なデータとしてお客様のビジネスのために利用することができます。

 

課題としましては、我々もほかのインダストリー4.0、スマートファクトリーソリューションのサプライヤーと同様、我々のソリューションにつねに最新のテクノロジーを採り入れていかなければなりません。もっとも大切なのは、それぞれのお客様に合った特別なソリューションを提案するために、お客様の本当の目的やどこに向かっているかを我々がしっかりと理解することです。そして、お客様の生産性や品質における目標達成のためには、現場レベルでもっと深くお客様のオペレーションをサポートする必要があります。そうするためにも、我々はそれぞれのお客様と真のビジネスパートナーシップを築いていくことが必要です。

そして、我々自身も「Heidelberg goes digital」というテーマの下、働き方改革、そして仕事のプロセスを変えていかなければなりません。これも我々にとっての課題の1つです。

 

枚葉オフセット印刷機の出荷台数は減少していますが、その現象だけがトレンドではありません。小ロット化が進んでいるゆえに1日あたりの仕事数が増えているというトレンドにも目を向けなくてはなりません。そして、印刷現場で働くオペレーターも大変不足しており、働き方改革によって残業時間を減らさなくてはならないというプレッシャーも増加しています。こうした環境・トレンドの中においても、我々のソリューションポートフォリオおよびビジネスモデルによってお客様のお役に立てると確信しています。

前述のように、我々の成功、それはお客様の成功です。我々のご提案、ソリューションポートフォリオはすでに枚葉オフセット印刷機だけを提供することからはかけ離れているのです。我々は以前にも増して、ワークフローと印刷必需品、そしてサポートとともに高度に自動化された新しい印刷機を古い複数台の印刷機と入れ替えることをご提案しています。

労働力不足と残業時間を減らすことへのプレッシャーがある今、お客様は短い時間、少ないオペレーターでより多くの生産をしなければなりません。こうしたトレンドへの回答が、Push to Stopやend to endワークフローソリューションです。我々は製品やソフトのライフタイムに沿って、よりプロアクティブなサービスを提供することによってお客様をサポートしていきます。我々はそれをライフサイクルソリューションと呼んでおり、我々の新しいビジネスモデル「ハイデルベルグサブスクリプション」もこうしたトレンドに対する答えの1つになります。

 

――近年、自動化・省人化という点に印刷業界の注目が集まっており、先日開催されたHDF21でもAIの活用をテーマにしていました。ハイデルベルグ社ではAIを活用した印刷会社向けのパッケージソリューションを開発・提供する予定があるのでしょうか?

また、お聞かせいただける範囲でdrupa2020における出展概要などについてもお聞かせ下さい。

バウアー 実際、たとえばダイナミックスケジューリング/仕事順の意思決定、そして完全自動での仕事替えなど、我々のPush to Stopテクノロジーやプリネクトソリューションは、すでにAIをベースとしたソリューションとなっています。我々はソフトウェアソリューションにフォーカスする強いグローバル組織を抱えており、機械に付属するソリューションやプリネクトのend to endワークフローのプリネクトを長い間開発してきました。そして、こうしたお客様のニーズによって開発されて高い生産性をもたらした我々のソリューションは、我々の製品に対しての自信を持たせてくれています。そして、今後もさらにすぐれたソリューションが開発されることが期待できます。

 

drupa2020につきましては、残念ながら今の段階では多くを語ることができませんが、いつものようにハイデルベルグのdrupa会場、そしてウィスロッホ-ヴァルドルフ工場では多くのご期待に応えるものをご覧頂けると思います。ハイデルベルグ・ジャパンは6本のdrupa2020ツアーを企画しており、現在お客様を募集中です。そのうちの1つには私自身も企画から関わり参加もするつもりですので、ぜひみなさまのご参加をお待ちしています。

 

――自動化が浸透して、どの印刷会社も安定的に均質な印刷製品を効率的に提供できるような状況になった時、印刷会社が次に見出すべき競争力、差別化ポイントはどの辺になると思われますか?

バウアー 多くの会社が同じ製品で品質とパフォーマンスで競争するという業界は印刷業界だけではありません。これは、今日ではきわめて普通のことです。ほかの業界を見て下さい。自動車製造業はどのように競争しているでしょうか。サービス業界は、ERP/CRMのシステムプロバイダーはどうでしょうか?多くのサプライヤーの1つとして、我々は1つの製品の特徴や利点の説明を超えた方法で競争しなければなりません。競合に勝つために具体的で説得力のあるご提案をするためのベースは、お客様の目標やニーズを理解することなしにはできません。だからこそ、我々は生産に気を取られることなく、お客様がクライアントにもっとフォーカスできるようにサブスクリプションビジネスモデルをご提案します。

 

――日本の印刷関連業界へのメッセージをお願いします。

バウアー 我々ハイデルベルグ・ジャパンは、お客様にとっての良きビジネスパートナーとしてこれまでもベストを尽くしてきたように、これからもお客様の成功のお役に立てるように引き続きベストを尽くしていくつもりです。我々の業界には多くのチャレンジがありますが、私はまだまだエキサイティングで素晴らしい将来が待っている業界だと思っています。我々は働き方改革を進め、ハッピーインダストリーを実現するお手伝いをぜひさせて頂きたいと思っています。

 

日本印刷新聞 2020年1月6日付掲載【取材・文 小原安貴】

 

 

 

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