2019年12月26日

ROLAND 708 EVOLUTION

ROLAND 708 EVOLUTION

社内全プロセスの自動化・合理化を推し進めている㈱真興社(本社・東京都渋谷区猿楽町19の2、福田真太郎社長)では、製造部門においてはJDFをベースとしたスマートファクトリー化を図っている。その中の主工程である枚葉オフセット印刷では、各印刷機のプリセットを印刷現場ではなく1人の工務担当者が前もって行うシステムを組み、群管理された3台の印刷機はどの印刷機でも自動プリセットが図れ、かつ同じ印刷品質が得られる仕組みを組んでいる。その仕組みを支えているのが、マンローランド社製の印刷機ワークフローシステム「インテグレーションパイロット」だ。そして今年初頭、「インテグレーションパイロット2.0」との高い親和性を持つマンローランド社製の最新鋭の菊全判両面兼用8色印刷機「ROLAND708EVOLUTION」を導入し、飛躍的な生産性向上を収めている。

 

印刷価格が下落している今、コスト削減には自動化が必須

工務部門ですべての印刷機をプリセットできる仕組みを構築

 

福田社長

福田社長

東京・渋谷の都心部に位置する同社は、大正8年に創業。高度な組版技術を要する専門書や美術書などの書籍印刷を主力業務とし、そのほかに商業印刷やダイレクトメール、帳票なども取り扱う総合印刷会社だ。同社の特筆すべき点は自動化・生産管理への積極的な取り組みで、平成21年の段階ですでに、CIPPIアワードで「プロセス自動化技術を最も革新的に活用した事例部門」と「最優秀プロセス自動化の導入事例(アジア・パシフィック地域)」の2部門で金賞を受賞するなど、世界の最先端を走るワークフローを構築している。

そのような同社で稼働する印刷機は、マンローランド社製の菊全判4色印刷機「ROLAND704ダイレクトドライブ」と「ROLAND704HiPrint」、ハイデルベルグ社製の菊四裁4色印刷機「スピードマスターSM52-4」、そして「ROLAND708EVOLUTION」の4台。主力となる菊全判機をすべてマンローランド社製で揃えているのは、同社が推し進める自動化ワークフローを構築する上でメリットがあるからだ。「印刷価格が下落している今、コストを抑えるには自動化を進めることは必須となる。印刷工程での高生産性を実現するには、段取り・スケジューリング、カラーマネジメントシステム、自動運転、検品・検査の4要素をうまくリンクさせて自動化することが基本となる。1つ1つの操作は数十秒程かもしれないがそれが積み重なると大きい。そこで印刷オペレーターにはなるべく操作はさせないようにして、工務部門でジョブ情報を入力しておくことで各印刷機のプリセットができるような仕組みにしている。そこで大きな力を発揮しているのが、印刷機ワークフローシステムの“インテグレーションパイロット2.0”だ」と同社の福田社長は語る。

 

これまでのジョブのプリセット情報を印刷機ではなくサーバーで保存

以前と異なる印刷機でリピートジョブをしても適切なプリセットが可能

 

この「インテグレーションパイロット2.0」の特徴は、複数台の印刷機を一括で群管理できるところ。一般的な印刷機では各印刷機それぞれでジョブ情報が保存されるが、「インテグレーションパイロット2.0」では複数台の印刷機で行ったジョブ情報すべてをサーバーで一括保存する。そして同様の用紙を使ったジョブをふたたび行う際、以前とは異なる印刷機で刷ることになっても、その印刷機に応じたプリセット情報が提供されるので、複数台あるどの印刷機で刷っても自動化が図れるとともに、同じ印刷結果が得られる。しかも、同社で稼働する菊全判機でもっとも古いものは平成8年製だが、古いバージョンのOSを搭載した印刷機でも最新鋭機と同じようにコントロールすることができる。そこで同社では、印刷現場から離れた場所にいる工務担当者がMISから流れてくるジョブ情報を基にして印刷機のプリセット情報を生成し、全ジョブのデータをある1ヶ所に置いておく。そして、各印刷機のオペレーターは無作為にそこからその日に行うジョブを取っていくという流れを採っている。

 

これができるのは、全社的なカラーマネジメントシステムが確立していること、そして絵柄に応じて刷り順を考える必要がないからだ。まず、色校正を自社で出すことを大前提としており、印刷は自社標準印刷でのみ行う。そして「ROLAND708EVOLUTION」には印刷物の濃度と見当を自動調整する「インラインカラーパイロット」が搭載されており、R・G・Bの3回のフラッシュ露光をすることで印刷物内のカラーバーを読み取り、それに応じて印刷機のインキキー調整がされる。これにより本刷りから刷了までの色調が一貫して安定するほか、刷り出し時の色合わせに要する損紙は8色印刷でも60~120枚に抑えられているという。「用紙価格が上がっているのでサイズに余裕がない紙が支給されることが多いが、このシステムでは咥え尻にカラーバーを入れられるのでとても大きな意味がある。また予備紙の支給も少ないことから白紙を通す前にヤレ紙を使うことがあるが、その際も始めの●●枚は読まないという設定ができるので、使い勝手が良くて重宝している」(福田社長)

 

印刷機自体の基本性能がすぐれている上、

ユーザーの使い勝手が向上する細やかな技術も搭載

 

DSCN5909書籍印刷、つまりは文字物が多い同社では、使用インキ量がとても少ない仕事も多々あるが、この「ROLAND708EVOLUTION」には小面積安定化プログラムが搭載されている。これは、使用インキ量がとても少ない場合は自動的にインキスライダーが1つおきに完全に閉じるシステム【写真・左】で、過剰なインキがインキツボに戻る仕組みとなる。ゴーストも出にくいことから、薄いものから濃いものへと1日のジョブの順番を並べる必要もなく、また版面設計にも苦がないという。

同社では専門書の仕事が多いことから、平均ロットは1000通し強という少なさながら、40ジョブ超を1シフト内で行うこともある。それを実現するために重要なのがジョブ替え時間の短縮化だ。「ROLAND708EVOLUTION」はダイレクトドライブ機構を搭載しており、各種洗浄作業と刷版交換を同時処理することができる。また、あらゆるプリセットが自動で行われた後、自動で運転を開始し、前述の「インラインカラーパイロット」による迅速かつ自動での色合わせ作業により、前ジョブの刷了から次ジョブの本刷り開始までにかかる時間は約2分半という短さだ。

 

フィーダー部でも印刷機の操作・指示ができて利便性にもすぐれている

フィーダー部でも印刷機の操作・指示ができて利便性にもすぐれている

福田社長は「この“ROLAND708EVOLUTION”はさまざまな自動化機能もそうだが、フィーダーの安定性やデリバリーでの紙の落とし方、ベタ品質など、印刷機の基本性能にも優れており、とにかくすごい印刷機だ。版曲げを必要としない機構、ファンアウトを起こさない機構、紙面内の絵柄バランスに応じてインキローラー内の流動経路を変えて色出しを早める機構など、ユーザーの使い勝手向上に向けた細やかな技術にも助けられている。また、日々の印刷業務の中では急な印刷予定の変更を要するケースが多々ある。その際も“インテグレーションパイロット2.0”を活用すれば、印刷オペレーターが自らサーバーへアクセスし、臨機応変にジョブデータを取って印刷を行えるので生産効率が大幅にアップする」と、マンローランド社の開発・設計に対する思想と姿勢について高い評価を表した。

 

日本印刷新聞 2019年11月25日付掲載【取材・文 小原安貴】

 

 

 

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