2019年12月23日

神楽殿前から直会殿へ

神楽殿前から直会殿へ

日本カレンダー暦文化振興協会(中牧弘允理事長、暦文協)は、12月3日の『カレンダーの日』に、東京・代々木の明治神宮で「新暦奉告参拝」の斎行と、記念講演を開催した。「新暦奉告参拝」は来年「令和2年(2020)」の暦原本を奉告し、国民の平和と幸福を祈願する神事で、役員、一般会員ら約100人が参加した。

 

中牧弘允

中牧弘允理事長

 
中牧理事長はじめ役員は、午前9時30分に明治神宮の神楽殿前から神職の後に続いて、直会殿で修祓を受けたのち、本殿奥で参拝と玉串拝礼を行い、一般にはまだ目に触れない来年の暦原本を奉告し、暦を手にするすべての人々の平和と幸福を祈願した。10時に希望者も参加して、神楽殿で令和2年の幸福を祈願し、祈祷を斎行した。

 
このあと、参集殿に移動し、記念講演『暦と歳時記』が、令和元年度文化功労者に叙せられた、俳人・現代俳句協会特別顧問の宇多喜代子氏によって行われた。

 
講演に先立ち、中牧理事長は「昨年の今頃は改元を迎えるにあたり不安な面持ちだった。マスコミへの対応に苦慮したが、今年は平穏な面持ちで今日を迎えることができた。講演に迎えた宇多喜代子先生は、今年文化功労者の栄誉を受けた。時期が時期だけにノーベル賞の記念講演のようになるのではないかと楽しみにしている」と述べた。

 

宇多喜代子

宇多喜代子氏


 
宇多氏は講演で要旨次のとおり述べた。
 
「俳句の愛好者が増えてきたが、必携は歳時記である。世界最大のベストセラーは聖書だと言われているが、日本では歳時記だと思う。
日本は四季を拠り所にして文化が生成されているが、ベースになっているのが稲作である。稲ほど日本文化に合った食物はない。稲作を毎年繰返してできたのが、年中行事である。日本人の精神風土というか精神性を育てたのが、稲作が育てた年中行事である。
文化庁の役職で各地の小・中学校で話をすることがある。そこで俳句は理科であると話す。文学だから表現するのは国語力だが、それ以前に宇宙の運行が暦をつくっている。植物、動物、食べ物など、皆理科で勉強するものだ。月は形を変えるのを知っているかい、と聞くと知っている生徒は一人もいなかった。女子大生に聞いても同じようなものだ。今はスマホでうつむいてばかりいる。これは国民の義務として空を見なさい、と決めてもいいくらいだ。月はいつも丸いものだと思っている。月がない日もあるというと『エー!』という。形を変えて1カ月に1度マンマルになるんだと。その満ち欠けを見て今日は何月何日だと分るんだ、と言うと『エー!』。機会があったら空を見なさいと学生に言っている。初歩の初歩みたいな話をしているのだが、それくらい知識としての暦生活が不明になっていると実感している。
私は生活空間の中で一番変わったのは、正月だと思う。母に新しい靴を買ってとねだっても、正月まで待ちなさいと言われた。そして正月になると下着から何もかも新しくなった。正月というのは再生だった。屠蘇というのは再生という意味である。それが変わったのが、スーパーマーケットが元日営業をするようになってからか?現在正月は、単なるロングバケーションになってしまった。
日本人はかつて自然に対してもっと敬虔だった。おそれというものをもっていた。就職・結婚する若い方は歳時記をセットで揃えたらいい。新聞社に就職した方は、これを持っていたことによって見出しをつけるのに、どれだけ助かったかと言っていた。マスコミの方は必携である。人と自然と合体したものが、季語、歳時記である。それには暦を大いに利用させてもらっている。暦を一番親しく感じているのは、俳人である」

 

2020(令和2)年暦予報

 
講演の後、「2020年(令和2年)暦予報」と題して、中牧理事長が20年限定として「『海の日』が7月第3月曜日から、7月23日に移動」「『体育の日』が『スポーツの日』に名称変更、以後同名称で継続。10月第2月曜日から7月24日に移動。10月の祝日なし」「『山の日』が8月11日から8月10日に移動」など来年の暦トピックスを発表した。
 

強口邦雄

強口邦雄特別理事

 

最後に全国カレンダー出版協同組合連合会・強口邦雄特別理事から「昨年カレンダー業界は苦慮していたが、首相官邸に2度も出向き、業界関係者、暦を応援してくださる方々の力でしっかりしたカレンダーをつくることができた。人間はバイオリズムで生活している。カレンダーを通してこういう時期なんだと感じていただいて、正しいバイオリズムで健康に健やかに生活していけたらと思う。カレンダーも俳句同様、世の中の人に大事だねと思っていただけるように頑張っていきたい」と閉会の辞があった。

 

 

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