2019年12月23日

中村会長と受賞者

中村会長と受賞者

 
日本グラフィックサービス工業会(中村耀会長)は、11月15、16の両日、東京・水道橋の東京ドームホテルで2019年全国協議会を開催した。今回は「生産性向上」をテーマに、初日に専門家によるセミナーはじめ、ジャグラ会員の事例紹介、テーブルディスカッション、年賀状デザインコンテスト表彰式、懇親会、2日目にはテーブル発表、M&A部会からの中間報告、ジャグラコンテストPR、地協報告など、全国役員らが2日間にわたって業界の課題解決に向けて活発な議論を展開した。

 
初日は午後1時に開会。冒頭あいさつで中村会長は「本日は全国からほぼすべての役員が参加されている。われわれにとって今は厳しい時代で、とくに今年は10月に消費税増税、皇室行事、自然災害などでスケジュールを組むのも大変だと思うが今日1日しっかり勉強してほしい」と述べた。

 
はじめに生産性向上セミナーとして、経営コンサルタントの中髙英明氏(㈱ストラテジー・ラボラトリーズ代表取締役兼CEO)が「生産性向上のための『気づき』と『工夫』」と題して講演。中髙講師は①働き方改革と生産性向上を正しく理解する②生産性向上の一手法としてのIT活用を取り上げ、その正しいやり方を理解することを趣旨に、経営者目線で働き方改革にどう取り組むべきかを多くの事例を交えながら解説した。

 
最後に「働き方改革は、従業員と経営者両者のために行うべきである」「生産性向上のためにIT活用は有効だが、既存の業務プロセスの見直しや、経営者の強い腹決めとそれを社内に示すことなど導入前にやるべきことをやらねば意味がない」とアドバイスした。

 

稲満信祐社長

稲満信祐社長

 
ジャグラ会員生産性向上事例発表では、㈱イナミツ印刷の稲満信祐社長が「生産性向上は働き方改革であり経営改善である―中小企業で無くなればいい!リソース共有で大企業経営を!―」と題して、それまで赤字体質だった自社を2015年に社長就任後にV字回復させるまでの約4年にわたる経営改善の取り組みを紹介した。

 
同社は1970年創業で来年創立50周年を迎える、モノクロ軽オフセット印刷と製本を中心に手掛ける社員数41人の印刷会社。昨年11月、事業譲渡により企画・制作業務機能も追加した。

 
稲満氏は大学卒業後、製薬会社に15年務めたのち、2014年2月に専務取締役として入社、2015年10月の社長就任にあわせて、外部の専門家の力を借りて、3カ年計画で改善活動に着手した。最初に取り組んだのが生産体制の整備。それまで印刷と製本が別社屋だったため、毎日30~40万枚の刷り上がりを運搬していた。そのため、営業が4~5パレットを毎朝運ぶのが日課となっていた。その際、刷り上がりを1度梱包し、運んだら開梱して整理するため、朝一番から作業開始できなかった。

 
そこで、2つの社屋を「針綴印刷・製本」と「無線印刷・製本」とそれぞれ1カ所にまとめてコンパクトな一気通貫ラインに変更。さらに機械配置を見直し、1つのフロアで仕事が完結するテストラインを設置して検証した。その結果、従来工程で製品に価値を付加しない「非有価作業率」が20~40%だったのが、テストラインでは「非有価作業率」がゼロになった。改善前の無線綴じ工程に8人従事していたが改善後は4~5人ですみ、しかも短時間で作業をこなせるようになり生産性が平均30%向上した。平常月だけでなく、繁忙期も同様の結果が出たため、全社的なレイアウト変更を行うことを決定した。

 
さらに、生産性向上のため、「多能工化の推進」と「印刷機の多台持ち」を実行。現在では進行管理から製本までの31人のうち19人が2つ以上の現場工程に入れる。大部数の定期物は、1人で2台または2人で3台の印刷機を担当することで工数が削減した。

 
稲満氏は「働き方改革の考え方は『同一労働同一賃金』ではなく『同一労働生産性同一賃金』でなければいけない」と主張し、改善を進めていく上でのルールとして①枠組みは経営側が作るが、プランの落とし込みは社内各部署からベテラン、若手問わず募ったメンバーの話合いの上、納得感を共有して進める②改善プランは数字上の裏付けを重視する(感覚論を排除)③従来の考え方に捉われない、『新しい視点で考える』④当日の各現場終了予定、生産実績、個別残業時間、休暇取得状況、改善データ、週次決算結果(営業利益ベース)などすべて情報公開して社内を透明化し、公正に評価する――ことを挙げた。
「改善活動が経営数字に大きく現れるまで4年かかったが、浮かれているとすぐ元に戻る。会社は生き物なのでデータをもとに繰り返しやらないと体質は変わらない」と継続的な改善活動の重要性を訴えた。

 
稲満氏は生産性向上のためのポイントとして①改善は管理体制と生産体制2面からのアプローチが必要②改善は戦略に沿った作戦(仕組み)まで落とす必要がある③これからは近代化を含めシステム管理・IoT化は必須④システム管理の肝は収集したデータをどのように改善にスピーディーにフィードバックしていくか――の4点をアドバイスした。最後に「いま中小企業の統廃合が叫ばれているが、10社が1社になればよいという問題ではない。中小企業特有の赤字体質から脱し10社が強くなること。1社では限界があるので共通のシステムを基盤にして企業が緩やかに連携してリソースの共有化も図っていくことが大事。人的交流、資材の共同購入・共同配送などシステム上でお互いがつながりリアルタイムに支え合っていく関係が構築できれば、まだまだ皆で強くなっていける」と締めくくった。

 

テーブルディスカッションのもおよう

テーブルディスカッションのもよう


 
テーブルディスカッションは、「生産性向上と働き方改革」のテーマで、各テーブルで活発な議論が行われた。
午後5時過ぎから2020年子年・年賀状デザインコンテスト表彰式が行われ、ジャグラ会長賞を受賞した長瀬印刷㈱(カラー部門)・㈱ながと(モノクロ部門)・日高里菜氏(学校法人専門学校HAL名古屋、学生部門)に中村会長から賞状と賞金が授与された。

 

20年6月に第62回ジャグラ文化典高知大会

 

各種事業案内では、直原孝一ジャグラ高知県支部長が2020年6月5日から8日までの4日間、高知県・ホテル三翠園で開催する第62回ジャグラ文化典高知大会の参加を呼び掛けた。最後に岡澤誠副会長が閉会あいさつを述べて終了。

 

 

 

 

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