2019年11月26日

本社外観㈱都城印刷(本社・宮崎県都城市早鈴町1618、田中賢一社長)では「プリントコンビニ-ぷりんと本舗」の屋号を掲げ、オフセット印刷のみならず、デザイン、屋外サイン、ディスプレイ、のぼり、垂れ幕、ステッカー、テキスタイル印刷、ノベルティ商品、カーラッピング、出力サービスなど、その名が表す通り、地域の印刷関連需要を一手に引き受けるビジネスを展開している。いち早く従来型の御用聞きスタイルからの脱皮を図り、地域社会の役に立つことを目指して紙媒体以外にも営業分野を広げて成長中だが、やはり同社のビジネスの大黒柱となっているのはオフセット印刷分野だ。そのオフセット印刷を強化するべく今年5月、宮崎県内では初となるLED-UV印刷機「RYOBI924LED-UV」を菱栄機械㈱から導入した。

 

紙媒体以外への高付加価値な印刷サービスも展開

コンビニ風な店舗作りで地元産業の振興を力強くサポート

 

店内風景1昭和26年に創業した同社は地元に根差した営業を行う、オフセット印刷の前工程から後工程までの一貫生産体制を敷く総合印刷会社。オフセット印刷機は、菊全判2色機、菊半裁4色機、菊半裁2色機、四六四裁単色機を取り揃える。

そんな同社が事業範囲拡大を目指し始めたのは平成22年のこと。市場全体の傾向として、オフセット印刷需要が漸減していることから、紙媒体以外への高付加価値な印刷サービスも手掛けることを視野に入れ、「プリントコンビニ-ぷりんと本舗」事業をスタートした。本社屋が都城駅前から伸びる地域の主要幹線道路沿いに立地していることから、外観を一般消費者も入りやすいようにし、また店内も明るく改装してさまざまな取り扱い商品やサービスを見やすくし、正に「印刷に関するコンビニエンスストア」へと変貌を遂げた。「通常は1つの店舗を作る際、看板は看板屋に、印刷はそれぞれの印刷会社に発注する。一方、事業範囲を広げた当社では、発注者にそのような面倒をかけず、デザイナーがロゴを制作し、チラシやパンフレット、店内装飾物、ノベルティグッズの製作、さらには看板設置にいたるまで、店舗まるごとを総合的にプロデュースできる」と島盛裕二取締役統括部長はその概要を説明する。

このような気鋭の精神を持つ同社が次に取り組んだのが、事業の根幹となるオフセット印刷分野の強化だ。これまで、同社のオフセット印刷分野のメーン品目はチラシだったが、近年はその傾向に変化が出ているという。「都城市は畜産や農業などの第一次産業がとても盛んで、またふるさと納税額も全国トップクラスとなっている。それにともないパンフレットの需要が増加している」と田中社長は語る。ただ、これらのパンフレットの仕事は短納期対応が求められる。この仕事を取り込む戦略を考える上でインキサプライヤーの東洋インキ九州㈱に相談したところ、LED-UV印刷機の導入・活用という提案を受けた。その提案を受けて同社では、リョービMHIグラフィックテクノロジー㈱に登録されて正規アフターサービスを受けられる、フルリノベーション済のA全判LED-UV4色印刷機「RYOBI924LED-UV」を菱栄機械㈱(本社・千葉県柏市、高木雄二社長)から導入した。

 

進む短納期化への対応とインキ乾燥にまつわる事故

課題解決への適切なソリューションがLED-UV

 

RYOBI924LED-UV

RYOBI924LED-UV

同社では4色印刷の仕事が増加傾向にあるのだが、自社で印刷しきれない仕事は外注対応していたために外注費が増加していた。また、短納期の仕事ではインキ乾燥時間が十分に取れないことから、汚れや裏写りといった印刷事故が起こることもあったという。それらの点を踏まえ、東洋インキ九州㈱からLED-UV印刷機の導入・活用という提案を受けていたのだ。また、基本的に同社のカラー印刷の仕事は、パンフレットなどのページ物が多くを占めることから、それに見合ったA全判機を選択している。

実際に稼働し始めると、その効果・生産性の高さは想定を大きく超えるものだった。「これまで4色印刷は菊半裁機でやっていたので、まず面付けが倍になる。そして、インキが即乾するのですぐに裏面印刷ができる。色合わせなどの自動化機能もあって、本紙が得られるまでの立ち上がりスピードも全然違う。正確な数値ではなく体感的な話にはなるが、生産性はこれまでの3~4倍に達しているのではないだろうか」と島盛取締役は、その効果に驚きを隠さない。さらに同社では、LED-UV印刷による即乾性を活かしたドンテン印刷をする上でいっそうの効率化を図るべく、㈱ターナ製の自走機能付用紙反転装置「ターナトルネード」も導入している。

島盛取締役

島盛取締役

LED-UV印刷を始めるにあたり、当初はランニングコストが増えることへの懸念もあったという。それが蓋を開けてみると、逆にコストダウンに繋がった。「材料費が多少高くはなるが、外注費削減および内製化の目標は達成して、かつ印刷現場の残業時間もほぼゼロになった。また印刷事故が起きないので検品や刷り直し、それにともなう休日出勤・残業もないのでトータルコストは下がっている。さらに、印刷工程だけでなく後工程のスケジュールがしっかり組めるので、そこでの無駄な待ち時間や残業がなくなり、当社の働き方改革に寄与していることも大きな効果のひとつだ」(島盛取締役)

 

 

 

LED-UV化によって印刷通販への発注から回帰する顧客も

短納期化で困っている地元印刷会社のサポートに同機の活用も

 

田中社長

田中社長

LED-UV印刷による短納期対応ができるという認識が顧客に広まったことにより、これまでネット注文に流れていた仕事も戻ってきているという。やはり、直に打ち合わせや色校正といったやり取りができる安心感があり、かつ配送で1日かかることがないという要素も大きいようだ。ただ、LED-UV印刷機の生産性の高さが予想をあまりにも超えていたがゆえ、それでも印刷機をフル稼働させるだけの仕事量を確保できていない状況にあるという。「印刷機の能力をフルに活かすためには営業強化策を講じる必要がある。提案型営業スタイルを身に着けるための教育を積極的に実施している。それと並行して、印刷機の空き時間を活用してオリジナル製品の開発も行い、将来的にはその販売もしていきたい。また、宮崎県内で短納期の仕事に困っている同業者の下請けも行い、地元印刷業のサポートもできたら嬉しく思う」と、LED-UV印刷機を活用した今後の事業展開について、田中社長は見通しを語った。

 

日本印刷新聞 2019年10月7日付掲載【取材・文 小原安貴】

 

 

 

 

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