2019年11月26日

㈱ジョーメイ(本社・新潟県新潟市東区木工新町1193、加藤丈明社長)は平成27年4月に、毎時2万回転の最高印刷速度を誇るKoenig&Bauer社製の菊全判4色印刷機「Rapida106-4」を導入した。毎時2万回転という超高速モデルの導入は、国内では同社が初のケースとなる。稼働開始から約4年半という短い期間にも関わらず、その高い生産性や超高速印刷での安定性をフル活用する運用をした結果、「Rapida106-4」の累計本刷り枚数が2億通しを超えている。

 

オフ輪会社に外注していた仕事の内製化を目指す

薄紙への高速印刷性能に加え、枚葉オフセット印刷機ならではの高品質も追求

 

同社は、カタログなどの商業印刷をメーン品目とする印刷会社。菊全判4色印刷機2台と、菊半裁2色印刷機と単色印刷機を1台ずつ保有しており、5台目の印刷機として「Rapida106-4」を導入した。

倉元副工場長

倉元副工場長

同社が超高速モデルの「Rapida106-4」を導入したのには明確な狙いがあった。これまでは協力会社に外注していた仕事の内製化を目指したからだ。外注していた品目の大部分を占めていたのは、紙厚が0.06㍉位の薄紙へのカラーのページ物印刷。これを協力会社に外注し、オフ輪で印刷をしていた。「当社が元々保有していた枚葉オフセット印刷機でそれらの仕事をやろうとすると、とても時間がかかるので協力会社に外注をしていた。その仕事を内製化すべく導入したのが、この“Rapida106-4”となる。オフ輪とまったく同等の生産性とまではいかないものの、現時点における枚葉オフセット印刷機が実現できる最高速度で印刷することによって、オフ輪に迫る生産性をもって内製化することを狙っている」と同社の倉元達男副工場長は、「Rapida106-4」導入の背景を語る。

 

生産性を追い求めつつも、同社が導入したのは両面印刷機ではなく片面印刷機となる。その選択には、印刷発注者が印刷製品に求めている効果にまで想いをめぐらせる同社の意志があった。カタログには印刷発注者が提供したいと思っている商品が載せられる。その商品の魅力をきちんとカタログのビジュアルに反映させるべく、印刷発注者は印刷品質や色再現についてシビアな要求をするものだ。そこで、両面印刷機で印刷をすると先刷り面と上がり面の印刷品質に差が出てしまうので、表裏の印刷品質差が出ないように片面ずつ印刷をするために片面印刷機を選択したのだ。

 

薄紙でもチョコ停が起こらない安定した用紙搬送性能と

印刷スピードの高速性とあいまって高い生産性を達成

 

大関氏

大関氏

実際に稼働させていると、「Rapida106-4」の大きな特徴が発見できたという。それは見当性の高さだ。「刷り出し時の見当性が高いのでセットがすぐに決まる。それも大きなメリットの1つではあるが、それよりも大きな効果として、一般的に薄紙印刷ではファンアウトが発生しやすくなるのだが、“Rapida106-4”は高速稼働をさせてもそれが起こらない。機構的な詳細な理由はわからないが、印刷機の爪がすぐれているのだろう。ただ、結果としてファンアウトが発生しないことはたしかだ」と同社製造部印刷二課の大関悟氏は、その印刷品質に高評価を与えている。

 

その「Rapida106-4」では主にカタログなどの商業印刷物を印刷している。同社は大ロットの仕事が比較的多く、毎月定期的に通し数が10万超にのぼる仕事もあることから、「Rapida106-4」はハイパイル仕様になっている。「主な仕事は、紙厚が0.06~0.07㍉の薄紙印刷となる。これを既設の4色機で印刷をすると、良くても毎時9000回転程しかスピードを出すことができない。しかしこの“Rapida06-4”では、高速印刷をするには条件が厳しい薄紙であっても毎時1万5000回転前後で常時印刷し続けることができるので、生産性は1.5~2倍にのぼる」(倉元副工場長)

 

Rapida106-4

Rapida106-4

また、「Rapida106-4」は用紙搬送が安定しているためにチョコ停が起こらないことも、実生産性の高さにつながる要因の1つとなっている。このような安定した給紙と高速印刷ができる背景には、「ドライブトロニックSIS」という技術がある。これは、用紙のインフィード時の引き針をなくした機構で、用紙がインフィード部の通過時にどの位置に用紙が来ているのかを1枚1枚検知し、それに応じてグリッパーを動かして用紙を正しい位置に調整して送っていくもの。一般的な枚葉オフセット印刷機では、まず前当てに用紙を当てて、引き針で位置を調整してから用紙を送るが、それと比べると用紙位置合わせ時間が半分で済み、かつ見当精度も高くなる。さらに、紙積みの状態に関わらず確実に印刷機に用紙を送ることができるのだ。

 

これほどまでにほかの印刷機と比較して生産性に圧倒的な差があることから、同社では大ロットの仕事を優先的に「Rapida106-4」に回すとともに、この「Rapida106-4」だけは週7日・24時間体制のスケジュールを組み、小ロットの仕事やインキ替えを要する特色印刷の仕事などはほかの印刷機に回すという運用体制を敷いている。ただ、これだけの高速印刷を安定的に行うためには、印刷機のメンテナンスも重要となる。同社では毎週1回4時間+毎月1回8時間、メンテナンスを施すためのスケジュールとして確保し、万全の体制で稼働できる心配りもしている。

 

インライン色調自動補正機能の活用で

さらなる生産性向上の潜在力を開花させる

 

11月上旬段階での累計通し枚数のカウンター 左が総通し枚数で右が本刷りの枚数

11月上旬段階での累計通し枚数のカウンター 左が総通し枚数で右が本刷りの枚数

これほどまでの生産力を発揮しているが、倉元副工場長はまだ「Rapida106-4」の生産性には伸びしろがあると踏んでいる。「これまで協力会社に外注していたものが内製化でき、当初の狙いは叶っている。ただ、薄紙であっても印刷機の最高速度で回してみたいという希望を持っており、またそれが実現できる印刷機だと期待もしている」という。また、さらなる生産性向上への取り組みとして、同機に搭載されているインライン色調自動補正機能「クオリトロニックカラーコントロール」を活用する体制を整えていく方針だ。「刷り出し時の色合わせについて、今はオペレーターがインキキー操作をしている。これを基準濃度で印刷できる体制を整え、“クオリトロニックカラーコントロール”の機能を使って刷り出し時の色合わせ作業の自動化を図るとともに、本刷り中の色変動の自動制御もしていく。生産性向上に加え、オペレーター育成の面でも大きな期待をしている」(倉元副工場長)

 

日本印刷新聞 2019年11月25日付掲載【取材・文 小原安貴】

 

 

 

 

 

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