2019年11月11日

会期初日の会場のようす

会期初日の会場のようす

「SMART FACTORY」の実現に向けて印刷産業の未来を考えるイベント「THINK SMART FACTORY 2019 IN KYOTO」が11月11日から13日まで、京都市勧業館・みやこめっせで開催されている。

 

労働人口の減少、コスト構造の改善などといった諸課題から、自動化による印刷工場内の省人化、人材の効率的な活用が、今後の印刷会社が生き残っていくためには必須要件になるとみられている。

そこでこのイベントでは会場全体を、受注からMIS入力、プリプレス、印刷、製本、梱包までの処理を自動化できる仕組み「SMART FACTORY」をキーワードとした印刷工場に見立てて展示。

Web受注されたものをMISに自動入力し、そこからジョブデータを通信や印刷物の断裁代に入れたバーコードで伝達して各工程の生産機に受け渡すことで、セットアップの自動化や自動運転、機器の進捗管理が図れる、効率化・省力化が進んだ「SMART FACTORY」による生産活動を披露。

出展各社がコラボレーションして受注から後加工・配送、工程管理業務までを連携させて、全体最適化されたワークフローにより実現する近未来の印刷会社像を指し示した。

 

協働ロボットが工程間の半製品の移動を担う

ロボットアームで無線綴機内にブックブロックを投入

 

ロボットアームがシートフィーダーから排出されたブックブロックを掴んで無線綴じ機に投入

ロボットアームがシートフィーダーから排出されたブックブロックを掴んで無線綴じ機に投入

国内のみならず海外からの来場者も数多く訪れているこのイベントでもっとも大きな興味を示した展示の1つが、ロボットシステム連動枚葉デジタル無線綴じ製本ラインの実演だ。

具体的な流れとしては、ホリゾン製のハイスピードオフラインフィーダー「HOF-400」から排紙されたものを丁合してブックブロックを作り、そのブックブロックを協働ロボットがアームで掴んで、ニアラインに設置した従来ならば手投げ投入する1クランプタイプの無線綴じ機「BQ-270V」のフィーダー部に投入する。

本身の厚み測定や本身と表紙のマッチング確認といった、従来ならばオペレーターが確認していた作業についても無線綴じ機側のカメラなどで自動的に認識・測定され、製本されて排出した本はベルトコンベアに乗って三方断裁機へと流れていき、三方断裁機でも本の断裁代に打ってあるバーコードを読み取り、それに収録された断裁情報に基づいて流れてくる各本ごとに自動セットアップをして断裁していった。

 

単純に荷物を自動搬送するだけにとどまらない

AGVの活用法や、実運用におけるサポート法も提示

 

AGVへの荷捌き作業で効果を発揮するパワースーツも紹介

AGVへの荷捌き作業で効果を発揮するパワースーツも紹介

省人化を象徴するような光景として、会場内には多数の自動搬送機(AGV)を活用して中間製品の搬送を行った。

その1つ、リコー製のAGVでは中綴じ製本後に帯掛けしたものをAGVに載せて中間集荷場に運ぶようすを披露した。

AGVは荷物を搬送してはくれるものの、そのAGVに荷物を積み下ろしする作業は人が行っている。

そこでリコージャパンでは、その荷捌き作業についての省力化提案として、荷捌きのような身体に高負荷がかかる作業の軽減化が図れるパワースーツを着用して実演。

高齢者や女性であっても荷捌き作業ができるソリューションとして紹介した。

 

もう1つのAGVの活用例として、リョービMHIグラフィックテクノロジー製の枚葉オフセット印刷機のデリバリー部(今回は模型を展示)にAGVが入り、印刷物が棒積みされたパレットをデリバリー部から出して移動し、ホリゾン製の折り機のフィーダー部にセッティングするフローを紹介した。

今回の実演では、オペレーターがタブレットでAGVを操作して一連の動きについて操作したが、次のステップとしては印刷機から刷了したという情報がAGVに伝わると自動的にそれを搬送し、折り機側の作業状況に応じてそのままフィーダーへセットしたり中間滞留場に置くフローの確立を目指す。

枚葉オフセット印刷機のデリバリー部(右)から折り機のフィーダー(左)へ、工程間の受け渡しをAGVで行った

枚葉オフセット印刷機のデリバリー部(右)から折り機のフィーダー(左)へ、工程間の受け渡しをAGVで行った

また、枚葉オフセット印刷機のインライン品質検査装置でエラーを検知した場合、フィーダー部で断裁代にあらかじめ施したナンバリング印字に基づいて、エラー報告されたナンバーの用紙をオペレーターが抜き取るという作業をしていたが、これについても後工程と連動させるフローも提案。

印刷したまま不良品も抜き取らずに棒積みしたまま後加工機へ運んで処理をし、印刷機側でエラー報告されているナンバーの印刷物については、後加工機の品質検査装置の自動排出機能で抜き取ることにより、印刷オペレーターの手間を除くことができる。

 

 

 

 

 

印刷機と製本・後加工機のインライン処理や

ジョブコードを読み取っての自動セットが自動化の鍵に

 

シートカット装置連動無線綴じ製本ラインでは、コニカミノルタ製のB2判インクジェット印刷機「AccurioJet KM-1」で印刷したものを、ニアラインに設置したホリゾン製のシートカット装置「SmartStacker」でA4判にシートカットしてブックブロックを作り、無線綴じ機、三方断裁機の一連のラインで製本した。インクジェット印刷時に断裁代にジョブコードを印字しており、それを読み取ることで「SmartStacker」は即座にその用紙ごとに応じたシートカットのセットアップを行い、無線綴じ機でもジョブのセットアップと本身と表紙のマッチング、三方断裁機も同様に自動セットアップする流れを示した。

バッファー装置を介してPOD機とスリッターが一体に

バッファー装置を介してPOD機とスリッターが一体に

枚葉デジタルインラインカットシステムの実演では、リコー製のPOD機「RICOH ProC7210S」とホリゾン製の「スマートスリッター」をインラインで繋げた。

POD機の排紙部から出てきた印刷物は、バッファーとなる装置でいったん受けて、スマートスリッターの生産スピードに合わせてバッファー装置から用紙が供給されていく流れで、印刷から後加工までを1工程で処理することができる。

後加工の種類によってはPOD機の生産性の方が著しく高くなる場合も想定されるが、その場合はこのバッファー以外の排紙部に次ジョブを排出することもできるほか、バッファー装置を取り外してニアラインにすることも簡単にできるので、両機の生産能力を損なう心配もない。

 

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シートカッターから流れてきた印刷物に付いているバーコードを読むと、折り機が即座に自動セットアップする

ロール給紙折加工ラインでは、連帳式のデジタル印刷機と連携したフローとして、インクジェット出力されたロール紙をフンケラー社製のアンワインダー、シートカッターを経て、折り機から帯掛けまでをインライン加工する流れを示した。

このラインでも、印刷時にジョブ情報を断裁代に印字しておき、それに基づいてシートカッターのセットアップ、折り機のセットアップが行われる。

ホリゾン製の折り機「AFV-566DF」には給紙されてくる用紙に印字されたジョブ情報を読み取って、1部ごとであっても折り機のセットアップを即座に自動で行うダイナミック折り機能が搭載されており、実演では連続して流れてくる異なるジョブを人の手による操作や作業なしに処理するフローを披露した。

 

 

 

 

 

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