㈱ハシモトコーポレーション(本社・神奈川県相模原市中央区宮下2の11の4、橋本欽至社長)は今年8月から、㈱アキヤマ機械製ダブルデッカータイプの菊全判4/1色印刷機に国内印刷会社では初となる中国・Shanghai Haohui Optoelectronic Technology社(以下、上海COOL UV社)製のUV LED装置「UltraCure」を表裏両面に後付け搭載して稼働させている。
それを受けて11月8日、同社工場でその運用状況を披露する実機見学会を開催し、これまで以上の強力な硬化性能を持つUV LED装置の威力と、それを活用した同社の生産体制を紹介した。
同社は、カタログやパンフレット、DMをはじめとした商業印刷全般に加え、封筒印刷を主力品目とする印刷会社。
6台の枚葉オフセット印刷機が稼働し、そのうちの4台(菊全判5色機、A全判4色機、四六全判4/1色機、菊全判4/1色機)にLED-UV印刷機を後付け搭載し、特色インキの調色から印刷までを社内で処理できる体制を整えている。
同社が最初にLED-UV乾燥装置を搭載したのは平成26年9月のこと。
インキがしっかりと硬化した状態でデリバリー部に出てくることから、印刷事故・トラブルがないこと、また主力製品である封筒は特殊な後加工を要するのでそこでのコスれによるトラブルの防止、さらには短納期への対応も目論んでの採用だった。
そこでの運用実績が良かったことから順次LED-UV化を進めていき、今回の菊全判4/1色印刷機「JP40」に後付け搭載した上海COOL UV社製のUV LED装置「UltraCure」を搭載した印刷機は、同社としては4台目のLED-UV機となる。
実際に印刷を行っているオペレーターからは「これまでのLED-UVと比べると出力が大きく、ほとんどのものは30%程の照射強度で乾いてしまう。原反への影響も少ないのでとてもいいものだと思う」という感想の声を寄せた。
会の中であいさつに立った同社の橋本社長は「今年4月に中国・広東省の東莞で開催されたPRINT CHINA2019へ見学に行った際、小さな小間を構えていたのが上海COOL UV社だった。私自身は専門家ではないのだが、直感的にこの会社はすごいと思い、本社・工場に赴いて見学もさせてもらったが、やはり納得するものがあったので決断をした。後付け搭載してから約3ヶ月が経つが、もちろん期待通りに順調な稼働をしている。当社としては4台目のLED-UV印刷機となるが、当社から出荷される製品はインキが完全に乾いていることから、顧客からも喜んでもらえている」と述べた。
文化財保護活動が評価され
江蘇省国際友城合作メダルを受章
同社では2年程前から無錫市に拠点を構え、文化財保護活動を行っている。
具体的には、移動可能は組み立て式の超高精細デジタルスキャナーを美術館や博物館に持ち込んで、さまざまな文化財をデジタルアーカイブするものだ。
歴史的にもすぐれた貴重な作品が、経年劣化や破損、さらには火災や盗難などのリスクもあることから、人目に触れることなく保管されるケースが多い。
そこで、本物は大事に保管しつつ、デジタルアーカイブしたものを精巧なレプリカとして出力することで、すぐれた作品を広く公開できるようになることから、中国では全土でこのような取り組みが進められている。
同社のこのような文化財保護活動が評価され、今年の10月23日に同社の橋本社長が中国江蘇省から江蘇省国際友城合作メダルを受章した。