2019年10月23日

中小企業庁は、下請など中小企業の取引条件の改善に向けた取り組みの浸透状況や事業者間の取引状況を把握するための調査を行い、10月7日、「平成30年度取引条件改善状況調査結果概要」を公表した。
 
同調査は、平成29年9月に策定・公表した「未来志向型の取引慣行に向けて(世耕プラン)」に基づく関係法令の基準改正などとこれを踏まえた主要産業界における「自主行動計画」の浸透状況を調査することを目的に平成29年度から実施。また、現在、中小企業が直面している人手不足の状況や「働き方改革」にかかる影響などについても併せて調査を行った。
 

対象事業者は①製造業②サービス業③建設業④卸・小売業⑤金融業の事業者のうち、発注側事業者6400社、受注側事業者6万200社の合計6万6600社。調査期間は平成31年1月から3月までで、回収率は32・5%(2万1644社)だった。
 

調査内容は①取引条件の改善状況=世耕プラン重視課題(原価低減要請、支払い条件)、労務費などコストの価格への転嫁②その他中小企業が直面している事項=▽人手不足や働き方改革による影響、長時間労働につながる商慣行▽外国企業との取引、商社を介在した取引の状況など。
 

主な調査結果は次のとおり。
1、取引条件改善状況
①「未来志向型の取引慣行に向けて」の重点課題
「未来志向型の取引慣行に向けて」の重点課題である「価格決定方法の適正化(一律○%減の原価低減を要請されるなど)」や「支払条件の改善」について、受注側事業者では、「不合理な原価低減要請の改善」(11・3%)、「支払条件の改善」(5・8%)と、直近1年以内で改善が進みつつあることが確認された。
不合理な原価低減要請を「過去に要請されたことがある」と回答した受注側事業者のうち、2割強(24・8%)が「平成29年、30年」の2年内で「改善された」と回答するなか、印刷業は17・4%と全体平均を下回っている。
支払条件の改善状況で、「すべて現金」で受け取っている割合が低い上位10業種の内、紙・紙加工品産業が23・6%で4位、印刷業が34・2%で9位にランクされている。
 
②労働費などコストの価格への転嫁
受注側事業者では、直近1年以内のコスト変動分の価格転嫁について、「おおむね」または「一部」反映できたとの回答として、労務費52・6%、原材料・仕入価格61・9%、エネルギー価格45・1%であった。
 

2、その他中小企業が直面している事項
 
①人手不足
受発注事業者全体で、半数以上の事業者(54・1%)が「人手不足」と回答。人手不足の影響については、5割強が「売上機会の逸失」(56・2%)、「残業時間の増大」(52・1%)と回答。そのほか、「外注の増加などによる利益の圧迫」(30・5%)、「品質・サービスの低下」(28・3%)、「納期遅れなどのトラブル」(24・7%)となっている。
 

②時間外労働の上限規制
受発注事業者の約1割(9・2%)が「対応は困難」と回答。対応が困難な理由については、半数以上が「人手不足である上に採用も困難」(77・7%)と回答。
 
③働き方改革
発注側事業者の長時間労働是正などによる受注側事業者への影響の懸念について、「とくに影響はない」が全体の53・9%を占めているものの、「急な対応の依頼が増加」(15・8%)、「短納期発注の増加」(13・1%)との回答も多い。
 
 

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