2019年10月15日

一般社団法人日本WPA(=日本水なし印刷協会:田畠久義会長)は10月11日、北東工業㈱(本社・大阪府大阪市中央区上町1の19の4、東條秀樹社長)の東大阪工場で工場見学会を開催した。

この工場見学会では、世界初の水なしLED-UV印刷を実現するとともに、全印刷機を水なし印刷専用として運用することで環境配慮の面のみならず、湿し水による印刷の不安定さを排除することに成功して経営面でも大きな成果をあげている北東工業の独自の取り組みや運用法について学んだ。

 

田畠会長

田畠会長

工場見学会の冒頭、あいさつに立った同会の田畠会長は、「水なし印刷の大きな特徴は環境への負荷が少ないことではあるが、ダブルデッカータイプの枚葉オフセット印刷機においてファンアウトが起きにくいという特徴もある。それにより、ダブルデッカー機のユーザーが品質面での評価から水なし印刷を採用するケースも多く、それによって当会も会員数が増加した。今回、見学をさせてもらう北東工業も、老朽化してファンアウトを起こしがちだったダブルデッカー機を水なし印刷化することで蘇らせた1社となる。また、北東工業が世界で初めて取り組んだ水なしLED-UV印刷では、ローラーの加水分解が起きないというメリットがある。その一方で、油性印刷機とLED-UV印刷機で色が合わないとか、LED-UV印刷の乾燥性に問題があるとか、光沢性に劣るといった噂を聞くこともあるが、そのような課題をどのようにしてクリアしたのかについても、今回の工場見学会では惜しみなく披露してもらえることになっている。北東工業のすぐれた取り組みをたくさん見聞きして、みなさんの会社で役立ててもらいたい」と開催の趣旨を表した。

 

北東工業では平成25年1月に最初の印刷機で水なし印刷化をして以降、順次その台数を増やしていき、現在は全7台のすべての印刷機を水なし印刷専用機として運用をしている。

その7台は、ダブルデッカータイプの菊全判8色機2台、菊全判LED-UV4色機、菊全判2色機、菊半裁5色機、菊半裁LED-UV4色機、菊四裁UV6色機という構成で、判サイズも印刷機のメーカーもバラエティーに富んでおり、しかも油性印刷機、通常のUV印刷機、LED-UV印刷機が混在している。

そのような環境であっても、どの印刷機からでも同じ色再現・印刷品質ができる安定性を追求するために、Japan Colorの標準印刷認証、マッチング認証、プルーフ運用認証、デジタル印刷認証のすべてを取得するとともに、そこで求められる水準よりもさらに厳格化した、色差のΔE2以下を自社基準として運用している。

 

東條社長

東條社長

北東工業が最初に水なし印刷を始めたのは平成25年1月のこと。

平成7年に導入したダブルデッカータイプの両面専用8色機が老朽化して、両面機の機構に起因する、とくにファンアウトの問題に対処することを目的に採用した。

その背景には、「当社では、印刷事故やミス、ロス、お客様からのクレームなどがあると、その発生から1時間以内に社内のイントラネットに報告書を上げなければならないというルールを作っている。これは私を含めた社内の全スタッフが閲覧・書き込みができるものとなっており、部門・職制・年次などは一切関係なく、その問題についてコメントを付けられるようにしている。これにより社内の情報共有化、リアルタイムなクレーム対応、声が大きい者や年長者がルールや裁定をするのではなく客観的な事実やデータに基づいた公平な対応・改善がなされるような会社になれた。ここでの現象を受け止めて、組織変更、人員配置、設備投資といった経営判断をしている」と東條社長が説明する社内システムがある。これを通して得られた印刷現場の課題、事故やクレームが多い傾向を踏まえ、水なし印刷へと舵を切った。

 

その事故やクレームの傾向として多かったのは、リピート物が前回の色と違ったり、単一商品の中で刷り出しから刷了までの間に色ムラがあるといった問題、そしてブロッキングやピンホールの問題などだった。

これらはすべて、湿し水があることによる難しさに起因するものだったことから、それを排した水なし印刷をすべての印刷機で取り組むことで、全スタッフが同じ視点・技術論で対話ができ、等しく技術を高め合え、問題が起きたらそれを公平かつ客観的に分析できるようになったという。

 

水なし印刷仕様としてリノベーションしたダブルデッカー機

水なし印刷仕様としてリノベーションしたダブルデッカー機

北東工業が水なし印刷化したもう1つの目的は、どの機械でどのオペレーターが印刷しても同じ印刷品質の製品ができることを目指しているから。

そのために、毎月テストチャートをすべての印刷機、POD機、プルーファーで刷り、それを印刷課ではなく客観性をもって第三者的な視点から判断できるDTP課において分析・評価をする。

DTP課ではそのチャートを基に、各機にどのような傾向が出ていて、どの部分の調整や交換、メンテナンスが必要となるかを指摘し、それを印刷課で実践するという仕組みを採っている。

そして、各印刷機特有のそれぞれのCTPカーブを設定し、印刷機ごとの差異をそこで吸収して、納品する印刷物の色がΔE2以内になるようにしている。

 

北東工業では平成19年から、Web営業所となる印刷通販サイト「プリントビズ」を開設し、印刷受託先を全国/全業種へと広げている。

水なしLED-UV印刷仕様の菊半裁4色機

水なしLED-UV印刷仕様の菊半裁4色機

価格面だけではなく、印刷通販の利便性を求めつつも印刷品質も妥協はしたくない会社、確認や打ち合わせをしながら進めたいといった会社から支持を受け、業績を伸ばしている。

その中には、超短納期の仕事は乾燥性が良くない紙への仕事も多くあることから、以前からLED-UV印刷機を活用しており、全台水なし印刷化にともなって平成26年7月から世界初となる水なしLED-UV印刷を実用化させている。

水なしLED-UVインキについては、都インキ㈱と一緒に開発し、稼働する各印刷機用のオリジナルインキを作ることで、乾燥性や光沢性、カラーマッチングなどの問題もクリアしている。

また、耐候性インキを使う仕事が多く、その都度インキ替え作業をすることが大きな負担になっていたことから、すべての仕事で耐候性インキを使用している。

 

 

 

 

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