2019年06月24日

Koenig&Bauer社は5月16~21日、同社最大の事業部門である枚葉オフセット印刷機事業の本拠地となるドイツ・ラデボイル工場で、商業印刷向けおよびパッケージ印刷向けのオープンハウス「Koenig&Bauer4.0-コマーシャルプリンティング/パッケージングプリンティング&コネクテッドサービス」を開催した。

イベント前半となる5月16・17日に開催した商業印刷向けのイベントでは、商業印刷におけるデジタルトランスフォーメーションとデータドリブンサービスの可能性に焦点を当てた提案が行われた。

具体的には、▽印刷会社内の一貫管理されたワークフローによる生産性向上、▽「ErgoTronic AutoRun」による自律的な自動印刷、▽フライングジョブチェンジ機構を使った迅速な自動ジョブ替え、▽商業印刷における大量処理および効率的なラベル生産の分科会--が行われた。

 

商業印刷におけるLED-UV印刷が本格化
枚葉オフセット印刷機の自律的な自動運転が現実に

 

メーン会場でのデモンストレーションでは、まずMISと連動した印刷機の自動運転による超高効率生産システムが紹介された。

ウィンクラー印刷技術責任者

ウィンクラー印刷技術責任者

一般的に、印刷会社内で処理されるたくさんのジョブのひとつひとつの進捗を追跡し、納期に対して適切なタイミングで印刷するには、MISによる製造工程の管理・統合によるワークフローが不可欠となる。

そこで今回は、製造工程全体に沿った個々のプロセスを、MIS「Optimus Dash」で視覚化するとともに、受注や生産状況の追跡、在庫管理や販売管理、外部サービスの管理、経理へのインターフェースなど、印刷会社のあらゆる部門の状況をリアルタイムで制御することで、全部門間における円滑なコミュニケーション、無駄のない管理、明確なコスト計算ができる点を解説した。

 

MISと印刷機を連携させたことによる超高効率処理のデモンストレーションでは、菊半裁印刷機「Rapida76」にLED-UV乾燥装置を搭載したモデルを使い、即乾性を活かしてすぐに表裏面それぞれに4色印刷をするようすを示した。

Koenig&Bauerシートフェッド社のディレク・ウィンクラー印刷技術責任者は、商業印刷におけるLED-UV印刷の利点として、安定して高い印刷品質が得られること、さまざまな素材へ柔軟に印刷ができること、即乾性によるさらなる高速処理、そして環境保護に積極的な貢献ができる点を説明した。

 

 

デモンストレーションのハイライトは、菊全判コーター付6色印刷機「Rapida105PRO」の実演。

メーン会場でのデモンストレーションのようす

メーン会場でのデモンストレーションのようす

この印刷機の主な特徴は、シャフトレスDriveTronicフィーダー、DriveTronic SRW、CleanTronic洗浄システム、LED-UV乾燥装置、そのジョブで使用していない印刷ユニットのインキングユニットを外すことができる機能などを備えている。

デモンストレーションでは、MISから送られてきた複数のジョブ情報を受けて、印刷機が自律的に自動でジョブ替え、調整、本刷りを行い、その間に印刷オペレーターはそのプロセスを単にモニターで監視するだけで、なんの操作もすることなく進んでいく。

そして、1つのジョブが終わると次のジョブへのセット替えおよび色/見当合わせなどの調整も最短の時間で自動的に行われ、印刷オペレーターはふたたびなんの操作をすることもなく本刷りが始まっていった。

 

印刷機に搭載されたインライン品質管理システムは、完全自動運転をするための重要な要素となる。

「Rapida105PRO」に搭載されているインライン色調管理システム「Qualitronic ColorControl」では、印刷された全紙の色調を監視し、色調に変化があれば自動的に印刷機のインキキーを補正するので、ジョブ全体にわたって一定の印刷品質を維持するのに役立つ。

これとインライン欠陥検出システム「Qualitronic PrintCheck」と組み合わせることで、確実な全品検査と安定品質を担保することができる。

また、さらなるシステムとして、基準とする色については入稿原稿となるPDFデータと比較し、色調管理と同時にPDFデータと比較した欠陥検査も行うインライン検査装置「Qualitronic PDF Check」も紹介された。

両機で印刷された印刷物は、JDFワークフローを介して断裁プログラムを受け取っている「Perfecta132」で断裁を行い、完全に統合された印刷会社のワークフローを披露した。

 

フライングジョブチェンジ機構で
ジョブ替えによる中断時間を極小化

 

その後会場を移して、▽大ロットの商業印刷ソリューション、▽ラベル製作手法--に関する2つのデモンストレーションによる分科会が行われた。

大ロットの商業印刷ソリューションの分科会では、油性印刷機とLED-UV印刷機の2台の菊全判8色印刷機「Rapida106」を使い、表裏4色印刷を行った。

油性印刷機に搭載された「Qualitronic PDF Check」では、▽インライン色調測定、▽インライン欠陥検出、▽印刷されたシートと印刷前のPDFとの比較――の3つの機能を単一のカメラシステムによって実現していることを紹介。

またLED-UV印刷機では、印刷機の最高速度となる毎時2万回転で印刷をしてもデリバリー部では完全にインキが硬化した状態で出てくることをアピール。

もちろん両機とも「ErgoTronic AutoRun」による自動運転が行われ、印刷スピードの速さ、非印刷時間の極小化、品質管理の自動化および安定化によって実生産性が飛躍的に高まることが紹介された。

 

それをさらに高める機構としてフライングジョブチェンジも紹介された。

これは、そのジョブで使用されていない印刷ユニットは印刷中に次のジョブの準備ができるもので、そのジョブが刷了すると自動的に印刷ユニットの接続/解除が行われ、次のジョブが実質的に中断することなく始まるというもの。

たとえば4色機を使って1/1色印刷をするにあたり、最初のジョブで1ユニット目と3ユニット目を使用し、次のジョブで2ユニット目と4ユニット目を使う。

この機構を活用することにより、ジョブ替え時間がほとんどなくなる。

 

ムラ取り作業不要で準備時間が大幅短縮
実生産性が桁違いなロータリーダイカッター

 

ErgoTronic AutoRunによる自動運転で、かつ毎時2万回転のスピードで稼働する「Rapida106-6+L」

ErgoTronic AutoRunによる自動運転で、かつ毎時2万回転のスピードで稼働する「Rapida106-6+L」

もう1つの分科会、ラベル製作手法では、インラインコールドフォイルユニット、ニスコーター、リールtoシートフィーダー(巻取紙給紙機構)「RS106」などを備えた菊全判6色印刷機「Rapida106」を使い、毎時2万枚の印刷速度でラベル印刷をし、印刷後はロータリーダイカッター「Rapida RDC106」でダイカットを行う流れを紹介した。

「Rapida RDC106」は「Rapida106」のフレームや機構をベースとして開発・製造されたロータリーダイカッターで、枚葉オフセット印刷機のブランケット胴や圧胴に相当する部分がマグネットシリンダーとなっており、そのシリンダーにフレキシブルダイを貼り付けて使用する。

毎時1万5000回転(インモールドラベルでは1万7000回転)の最大処理能力を持つとともに、準備作業において大きな時間と労力を要するムラ取り作業も一切不要となることから、平盤打ち抜き機を遥かに上回る高い実生産性を実現している。

ジョブデータに応じてフィーダーからデリバリーまでの各部の自動プリセットが行われ、操作性についてもとてもシンプルなものになっているのでワンマンオペレーションで運用することもできる。

 

【つづく】

 

 

 

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